JAWS-UG IoT専門支部「これからの方もDiveDeepも!FreeRTOSでIoT」に参加しました
こんにちは、製造ビジネステクノロジー部の若槻です。
2024/12/17 に開催された JAWS-UG IoT 専門支部のオンライン勉強会「これからの方もDiveDeepも!FreeRTOSでIoT」に参加してきたのでレポートします。
このイベントでは、AWS の組み込み系 OS である FreeRTOS について、基礎から実装、そして事例について学びました。re:Invent 2024 直後の開催ということもあり re:Cap セッションもありました。
録画(YouTube)
イベント概要
タイトル | 登壇者 | 動画チャプターリンク |
---|---|---|
【基礎】FreeRTOSの概要とESP32デバイス上での動作事例 | AWSJ シニア IoT コンサルタント 小林さん | リンク |
【応用】ここにもFreeRTOS - STM32で使ってみる | IoT専門支部 立石さん | リンク |
【事例】FreeRTOSで実現する空調機向けIoT通信機器開発への挑戦 | ダイキン工業株式会社 鍋島さん、高島さん | リンク |
【re:Cap】AWS re:Invent IoT関連の話題紹介 | Maxさん(ソラコム) | リンク |
【LT】IoT初心者がCO2センサーからユーザに通知するまで | raiha さん | リンク |
【LT】AWS IoT Greengrassの新機能 | AWSJ 市川さん | リンク |
レポート
発表内容の簡単なレポートを以下にまとめます。
※発表資料はアップロードされ次第リンクを追加します。
【基礎】FreeRTOSの概要とESP32デバイス上での動作事例
AWSJ 小林さんからは FreeRTOS の基礎的な内容と ESP32 での利用について説明がありました。
数あるマイコン向けの OS の中での FreeRTOS の位置づけや、コアとなるスケジュール機能によりリアルタイム性を実現していること、AWS に買収されてから AWS との連携が強化されていることなどを学ぶことができました。
また無線内臓のマイコンである ESP32 では標準で FreeRTOS が使われており、AWS との接続も下記のようなサンプルを利用して簡単に行えることが紹介されました。AWS との通信を試したい場合に入門編のデバイスとして良さそうですね。
【応用】ここにもFreeRTOS - STM32で使ってみる
IoT専門支部 立石さんからは STM32 で FreeRTOS を使ってみたという内容でした。STM32 も ESP32 と同じくらいポピュラーなマイコンで、こちらでも FreeRTOS の利用が適しているとのことです。
この STM32 向けの開発ツールである CubeMX を試してみたが CMSIS-RTOS の API が FreeRTOS API をラップしており、内部で変換処理が行われているとのことでした。FreeRTOS 以外の OS にも容易に対応できるようにアプリからは FreeRTOS が隠蔽されているというのは注意が必要そうですね。
【事例】FreeRTOSで実現する空調機向けIoT通信機器開発への挑戦
ダイキン工業株式会社のお二方からは FreeRTOS に関する事例の紹介がありました。
まず高島さんからは、自社の空調機製品のデータを収集、加工しクラウドに送信するアダプターで FreeRTOS が使われていると説明がありました。その際に優先度の低い処理が実行できず完了しない問題が発生したが、FreeRTOS 標準のタイムスライス機能だとオーバーヘッドなどがあったため、自作タスクにより対応したとのことでした。無いものは自分たちで作るという精神はやはり大事ですね。
次に鍋島さんからは、以前までは FreeRTOS をソースコードの開示提供なく利用するために OpenRTOS のライセンスを購入していたが、AWS に買収された後はライセンス費用を削減できたとの話がありました。買収によって AWS と連携しやすくなる以外にもそのような恩恵があったのですね。またデバイスから Amazon Data Firehose へのデータ送信に利用している Credential Provider の認証情報の最大サイズが大きくなる変更があってデータ送信が動かなくなるトラブルがあったとのことでした。IoT デバイスでは限られたメモリ領域の中でコードやデータをハンドリグする必要があるため、FreeRTOS に限らず参考になりそうな事例共有でありがたいです。
【re:Cap】AWS re:Invent IoT関連の話題紹介
ソラコムの Max さんからは re:Invent 2024 の IoT を中心とした re:Cap でした。
Max さん自身がカメラを駆使して収めた re:Invent 会場での映像や写真は現地参加できなかった人にも雰囲気がとても伝わったのではないでしょうか。
また re:Invent はラーニングカンファレンスとされており、セッションを受け身で聞くだけでなく、仲間づくりをするなど現地でしか得られない情報量があると力説されており、実際に現地参加した私としてもまさにその通りだと思いました。
IoT 関連アップデートは今年の re:Invent では 4 つしかありませんでしたが、来年で AWS IoT Core が 10 周年を迎えるということもあり、来年は IoT が盛り上がるだろうし盛り上げていきたいと締め括られました。IoT 専門支部でもぜひ盛り上げていきましょう!!
【LT】IoT初心者がCO2センサーからユーザに通知するまで
raiha さんからは自宅にあった ESP32 で測定した CO2 濃度を AWS に送信して電子ペーパーで表示してみたという内容の LT でした。
配信を行った会議室の CO2 濃度が上昇する様子を直前まで計測されてスライドに差し込まれていたのは面白かったです。また実際に電子ペーパーの IoT デバイスを見せてもらうこともでき(写真は撮り損ねました...)、実体のあるものを間近で触れられるのは IoT の醍醐味だと思いました。このようなチャレンジ精神やエンタメ精神は私も見習っていきたいです。
【LT】AWS IoT Greengrassの新機能
AWSJ 市川さんからは AWS の機能をエッジデバイスで利用できる AWS IoT Greengrass の新機能に関する LT がありました。
今まで AWS IoT Greengrass V2 は Java の実行環境が必要だったのである程度大きなデバイスでないと使いにくいという課題がありました。しかし AWS IoT Greengrass Nuecleus Lite がリリースされ、より小さな組み込みデバイスでも対応可能になったとのことです。
Nuecleus Lite がリリースされたのはイベント当日の朝で、試された内容をハマりどころ含め早速ブログ化されていました。このスピード感は素晴らしいですね。まだリリース間もないので十分で無い部分もあるようですが、今後のアップデートが楽しみです。
おわりに
2024/12/17 に開催された JAWS-UG IoT 専門支部のオンライン勉強会「これからの方もDiveDeepも!FreeRTOSでIoT」に参加してきたのでレポートしました。
IoT 専門支部としては久し振りのイベント開催ではありましたが、当日は多くの方に視聴や SNS での反応をして頂き、なかなか盛り上がったのではないでしょうか。引き続き運営メンバーとしてもいち AWS IoT ユーザーとしても今後の IoT 専門支部の活動を盛り上げていきたいと思います。
以上