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チーム間の調整テクニックのひとつ「ただ話す」

2023.10.31

こんにちは、CX事業本部デザインチームの小峰です。

先日、Agendというメディアさんからインタビューいただきました。

仕事のすれ違いを「ただ、話す」で解決していく、スクラムから学んだチームコミュニケーション―――――クラスメソッド小峰さんインタビュー

この中で「ただ話す」を紹介しています。

今回は、これについて少し深掘ってみます。

これを知ったのはインタビューでもお話した通りLeSS Frameworkがきっかけでした。複数チームによるアジャイル開発体制を検討している中で出会いました。いわゆる「大規模アジャイル」の一種です。

「ただ話す」は、大規模アジャイルの学習のために「大規模スクラム Large-Scale Scrum(LeSS) アジャイルとスクラムを大規模に実装する方法」という本を購入し、そこで紹介されていたものになります。

調整と統合

スクラムガイドでは主に1チームでのスクラムについて言及されています。複数チームでのスクラムを否定してはいませんが、言及はほぼありません。

スクラムチームは自己管理型のチームです。

複数のチームが自己管理化された調整と統合を作り出すにはどうすればよいのでしょうか? これがLeSS導入における課題であるとみなされています。

継続しているほとんどのチームはチーム内での調整と統合には慣れていることが多いでしょう。しかし他のチームや他の部署などチーム外との調整と統合には不慣れであったり、課題を感じている方々が多いのではないでしょうか。

LeSSのルールでは、

チーム同士の調整はチームに委ねられています。中央集権的な調整ではなく、個別の判断で自由かつ非公式に調整するほうが好ましいです。

と定義されています。これに基づいたテクニックのひとつが「ただ話す」です。

ただ話す

先に紹介した書籍「大規模スクラム Large-Scale Scrum(LeSS) アジャイルとスクラムを大規模に実装する方法」では、著者が下記のように語っています。

大規模なグループで何年も働き、複数チームにまたがる調整テクニックを数多く観察した結果、最も上手くいきそうなテクニックを発見しました。手順は次の通りです。

(1)あなたは、チームBとの”調整が必要”なことに気づきます。
(2)立ち上がって、
(3)チームBのところに歩いて行き、
(4)「やぁ、話し合おうよ!」と言います。

これが「ただ話す」です。

「ふざけんな!」という声が聞こえてきそうでです(笑) 書籍でも「これはバカげた冗談のように聞こえるかも」と前置きしつつ「本気で言っています」と書かれています。私も本気です。これはオフラインを前提に書かれていますが、オンラインでもSlack等で声がけしてハドルで会話する、という行動ももちろん可能です。

著者が遭遇してきたパターンが紹介されています。私はこれを読んで「なるほどたしかに!」と思いました。

より正式な調整方法の環境が整っていると、調整が少なくなる
人は「正しい」環境で調整が必要だと感じる

経験がある方も多いはずです。例えば「誰か」あるいは「他のチーム」と情報共有なり相談をして意思決定や次のアクションを決めないといけない、といった状況はよくあります。

そんな中で、次の日に定例会議があることに気付き、「定例で話そう」と思うわけです。その後に生じる出来事は色々なパターンが考えられます

  • 会議中に数分話して解決
  • 会議の議題が多く、話を差し込む間がなく、話せなかった
  • 会議に対象となる人が参加しておらず、結局後で個別に声がけすることになった
  • 会議中に別のメンバからのあまり重要でもない指摘や意見が入り、決められなかった
  • 話すのを忘れてしまった

など身に覚えのある方々もいらっしゃると思います。

大事なこと

問題は、

会議のような調整方法はどれが望ましいか?

ではなく、

調整し話す必要があることをチームはどう知るか?

です。

チームは”今”、”誰”と話す必要があるのかをどうやって見つけていますか?

特に大規模な人数編成の場合は調整の方法にコストが割かれがちです。参加者を募ったり、皆が忙しい中で隙間を縫って会議を設定したり、アジェンダを準備したり、質疑応答に備えた検討をしたり。

そういった調整準備に手間をかけることが不要であると言い切るつもりはありませんが、なるべく避けた方が効率が良いことは明らかでしょう。

大事なことは調整の必要性に気づくことと、誰と話す必要があるのかを理解して、すぐに行動に移すことです。

さいごに

今回は簡単にですが「ただ話す」について改めて紹介いたしました。

LeSSの調整と統合については、他にも様々なテクニックや考え方が詰まっています。

スクラムではなくとも、大規模ではなくとも、参考になるものもあると思うので、よろしければぜひご覧ください。

調整と統合 - Large Scale Scrum (LeSS)