
Kiro CLIはぶっちゃけどんな場面で使えばいいか考えてみた
こんにちは、せーのです。
Kiro CLIって、Claude CodeやCodex、Geminiなどと比べるとまだ知名度がそこまで高くないですよね。「ぶっちゃけどんな場面で使えばいいの?」が自分でもはっきりしなかったので、同じタスクを複数のターミナルAIでやってみるうちに、Kiro CLIの強みと使いどころを探してみることにしました。
ということで、どんな場面で使えばいいかを、同じタスクで3ツールを比べながら見つけてきた話を共有します。
Kiro CLIとは(おさらい)
Kiro CLIは、Amazon Q Developer CLIの後継としてAWSから提供されているターミナル用AIコーディングアシスタントです。公式の移行ガイドでは「Kiro CLI is the next update of the Q CLI」と明言されています。
比較の相手として、この記事では次の2つを並べます。
- Claude Code(Anthropic):汎用のコーディングアシスタント。CLAUDE.mdやAgent Teamsが強み
- Codex CLI(OpenAI):GPT-5系に最適化。サンドボックスやCI/CD向けのexecモードが特徴
3つとも「ターミナルで動くAIエージェント」ですが、出自が違うので得意分野が違います。違いを整理すると、Kiro CLIは「AWSと深くつながったCLI」、Claude Codeは「何でもできる汎用」、Codex CLIは「セキュリティと自動化重視」、というイメージです。
| Kiro CLI | Claude Code | Codex CLI | |
|---|---|---|---|
| 開発元 | AWS | Anthropic | OpenAI |
| 位置づけ | Q Developer CLI後継 | 汎用AIエージェント | GPT-5-Codex特化 |
| インストール | curl -fsSL https://cli.kiro.dev/install | bash |
curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash |
npm i -g @openai/codex |
| 対応OS | macOS / Linux | macOS / Linux / Windows | macOS / Linux / Windows(WSL) |
| AIモデル | Auto / Claude Sonnet 4 / 4.5 / Haiku 4.5 | Opus 4.6 / Sonnet 4.6 / Haiku 4.5 | GPT-5.3-Codex / Spark / Mini |
| 料金(個人) | 無料(50cr) / Pro $20 | Pro $20 | Plus $20 / APIキー |
同じタスクで比べてみた
「Lambda + DynamoDB の REST API を CDK v2(TypeScript)で作って」という同じ指示を、Kiro CLI・Claude Code・Codex CLIの3つにそれぞれ出してみました。目的は「どれが最強か」ではなく、Kiro CLIがどんな場面で光るかを探すことです。
比較結果
同じ指示「Lambda + DynamoDB の REST API を CDK v2(TypeScript)で作って」を3ツールに投げた結果です。
| 観点 | Kiro CLI | Claude Code | Codex CLI |
|---|---|---|---|
| ファイル構造 | スタック内に Lambda を fromInline で集約。bin/app.ts, lib/api-stack.ts, cdk.json 等の最小構成。 | cdk init から構築。lambda/get-items.ts・post-items.ts を TypeScript で分離し、NodejsFunction でバンドル。 | bin/app.ts, lib/api-stack.ts, lambda/get-items.js・post-items.js(JavaScript)。Lambda は JS + AWS SDK v2。 |
| IAM最小権限 | grantReadData / grantWriteData で GET は Scan、POST は PutItem のみ付与。✓ | grant(fn, "dynamodb:Scan") / "dynamodb:PutItem" で明示的に最小権限。✓ | grantReadData / grantWriteData で分離。✓ |
| テストコード | なし | なし | なし |
| 所要時間 | 約 28 秒(Credits 0.32) | 約 3 分 24 秒 | 約 1 分 6 秒(exec モードで計測) |
| 体験の印象 | 最速で一通り完成。ツール実行ごとに y/n/t の確認あり。構成がシンプルで追いやすい。 | 初回ビルドで @types/aws-lambda 不足を自ら検知して修正。CORS・ログ設定まで入れ、Ghost レビューまで実施。丁寧だが時間はかかる。 | exec で非対話実行可能。Lambda は JS+SDK v2・Node 18。CORS は「最小構成のためスキップ」と明言。 |
この「同じタスクで比べる」過程のなかで、Kiro CLIならではの強みがはっきり見えてきました。以下、その強みを整理します。
比べてみて見つけた、Kiro CLIの強み
知名度はまだでも、AWSまわりで使うときの差がかなり出ます。
1. AWSツールがビルトインのカスタムエージェント
タスクに特化したカスタムエージェントを定義し、ターミナル上で切り替えて使えます。
# 利用可能なエージェント一覧
/agent list
# 新しいエージェントを作成
/agent create
カスタムエージェントには以下を定義できます。
- ツール権限: ファイル操作、コマンド実行、AWS CLIツールなど、どのツールを使えるか
- コンテキスト: どのファイルやディレクトリを参照するか
- プロンプト: エージェントの振る舞いを制御するシステムプロンプト
- MCP連携: どの外部ツールにアクセスできるか
Claude Codeにもカスタムエージェントがありますが、Kiro CLIの場合はAWSツールがビルトインで使えるのがポイントです。AWSリソースを触る作業をエージェントに任せたい場面で、比べてみて「ここが違う」と感じました。
2. Steering(プロジェクト知識をIDEとCLIで共有)
個人的にKiro CLIでいちばん「これいいな」と思った機能です。
Steeringは、マークダウンファイルでプロジェクト固有の知識をKiroに永続的に持たせる仕組みです。Claude CodeのCLAUDE.mdに近いですが、より構造化されています。
| スコープ | 配置場所 |
|---|---|
| ワークスペース | <project-root>/.kiro/steering/*.md |
| グローバル | ~/.kiro/steering/*.md |
Kiroが推奨する基本構成は3ファイルです。
| ファイル | 内容 |
|---|---|
product.md |
製品の目的、対象ユーザー、主要機能、ビジネス目標 |
tech.md |
フレームワーク、ライブラリ、開発ツール、技術制約 |
structure.md |
ファイル構成、命名規約、インポートパターン |
ここで大事なのが、IDEとCLIでSteeringが共有されることです。.kiro/steering/に置いておけば、IDEで開発しているときもCLIでターミナル作業しているときも、同じルールが効きます。同じタスクを他ツールでやると「設定はIDE用とCLI用で別」になりがちなので、Kiro CLIのここは強みだと感じました。
3. MCP連携(AWS MCPが充実)
Kiro CLIはModel Context Protocol(MCP)にネイティブ対応しています。設定はコマンドラインから行えます。
kiro-cli mcp add \
--name "awslabs.aws-documentation-mcp-server" \
--scope global \
--command "uvx" \
--args "awslabs.aws-documentation-mcp-server@latest" \
--env "FASTMCP_LOG_LEVEL=ERROR"
チャット中に/mcpと打てば、現在のMCPサーバー一覧を確認できます。追加実験では上記の AWS Documentation MCP をグローバルに追加済みで、チャットで「AWSの公式ドキュメントでLambdaのコールドスタート対策を検索して」のように依頼すると MCP 経由で検索結果が得られます。
AWS関連のMCPサーバーはawslabs/mcpで公開されています。AWS Documentation MCP、CloudWatch MCP、AWS API MCPなど、AWSとの親和性の高さはKiroならではです。比べてみて、AWSドキュメントを引きながらの作業がしやすいと実感しました。
4. Hooks(実行前後の自動化)
エージェントのライフサイクルの特定ポイントで、カスタムコマンドを自動実行する機能です。
| Hook | タイミング | 使いどころ |
|---|---|---|
AgentSpawn |
エージェント起動時 | 環境情報の収集 |
PreToolUse |
ツール実行前 | セキュリティチェック |
PostToolUse |
ツール実行後 | ログ記録、フォーマット |
Stop |
応答完了時 | テスト実行、クリーンアップ |
特にPreToolUseは面白くて、終了コード2を返すとツールの実行をブロックできます。例えば「本番データベースへの書き込みを禁止する」といったガードを組み込めます。同じタスクを安全に回すうえで、Kiro CLIのHooksは差になると感じました。
機能の差は「設計思想」の差
3ツールの機能を一覧で比較すると、次のとおりです。
| 機能 | Kiro CLI | Claude Code | Codex CLI |
|---|---|---|---|
| カスタムエージェント | .kiro/agents/*.json |
.claude/agents/*.md |
AGENTS.md + config.toml |
| プロジェクト設定 | Steering(3ファイル構成) | CLAUDE.md(階層継承) | AGENTS.md |
| MCP | ネイティブ(AWS MCP充実) | ネイティブ | サポート(Experimental) |
| Hooks | 5種(AgentSpawn/PreToolUse等) | 6種(PreToolUse/Stop等) | なし |
| サンドボックス | なし(ツール権限で制御) | なし(権限モードで制御) | 3段階(read-only/workspace-write/full) |
| IDE連携 | Kiro IDE(設定共有) | VS Code / JetBrains / Desktop | VS Code / JetBrains |
| 自律実行 | あり | あり | あり(exec + --json) |
| Web検索 | あり | あり | あり |
| セッション管理 | /chat save & resume | --resume / fork / rewind | exec resume --last |
| 並列エージェント | delegate + use_subagent | Agent Teams | マルチエージェントロール |
基本的な能力はどれも押さえています。差が出るのは設計思想です。
- Kiro CLI: AWS中心。ビルトインのAWSツール、AWS MCPの充実、SteeringのIDE/CLI共有が特徴
- Claude Code: 汎用性重視。CLAUDE.mdの柔軟な階層、Agent Teamsの協調
- Codex CLI: セキュリティ・自動化重視。サンドボックス、CI/CD向けのexecモード
ぶっちゃけ、どんな場面で使えばいいか
同じタスクで比べてみた結果、Kiro CLIがとくに映える場面は次のとおりです。
Kiro CLIが向いている場面
- AWSがメインの開発・運用
- AWS MCP(ドキュメント検索、CloudWatch、AWS API)がそのまま使える
- IAM Identity Centerでエンタープライズ利用もしやすい
- Q Developer CLIユーザーは設定移行がほぼゼロ
- IDEとCLIの両方で同じルールを使いたい
- Steeringを
.kiro/steering/に置くだけで、Kiro IDEとKiro CLIで共有される
- Steeringを
- AWSリソースを触る作業をエージェントに任せたい
- カスタムエージェントにAWSツールをビルトインで渡せる
- 実行前にガードをかけたい
- Hooksの
PreToolUseで、危険な操作をブロックできる
- Hooksの
他ツールとの併用もあり
「Kiro CLIだけ」にしなくても大丈夫です。月$20の価格帯なので、2つ使っても$40。例えば次のような使い分けが現実的です。
- Kiro CLI + Claude Code: AWSインフラ・AWSまわりの作業はKiro CLI、それ以外のアプリ開発はClaude Code
- 日常はClaude Code、PRの自動修正はCodex CLI: メイン開発はClaude Code、CI/CDの自動修正にCodex CLIのexecモード
まとめ
Kiro CLIを使ってみて感じたのは、**「知名度はまだでも、AWSまわりでは差が出る」**ということです。同じタスクをClaude CodeやCodex CLIと比べるうちに、次の点がはっきりしました。
- AWSツールがビルトインのカスタムエージェントで、AWSリソース操作を任せやすい
- Steeringでプロジェクト知識をIDEとCLIで共有できる
- AWS MCPが充実していて、ドキュメントやCloudWatchを引きながらの作業がしやすい
- Hooksで実行前後のガードや自動化をかけやすい
「ぶっちゃけどんな場面で使えばいいか」の答えとしては、AWSが主戦場の人にはKiro CLIをまず試すのがおすすめ、それ以外の汎用開発やCI/CD自動化は他ツールと組み合わせる、という使い分けがよさそうです。3ツールとも月$20から始められるので、まずは同じタスクを自分で比べてみると、自分用の使いどころが見つかると思います。
追加実験で実施したこと(2026-02-19)
記事公開後に、次の追加実験を実施し結果を反映しました。
- Kiro CLI: AWS MCP の導入
kiro-cli mcp add --name "awslabs.aws-documentation-mcp-server" --scope global --command "uvx" --args "awslabs.aws-documentation-mcp-server@latest"で AWS Documentation MCP をグローバルに追加。設定は~/.kiro/settings/mcp.jsonに保存されます。Kiro CLI 起動後にチャットで「AWSの公式ドキュメントでLambdaのコールドスタート対策を検索して」と依頼すると、MCP 経由でドキュメント検索結果が得られます。
- Kiro CLI: Steering の配置
- 同一タスク用プロジェクト(
kiro-test)に.kiro/steering/を用意し、product.md(製品目的・機能)、tech.md(CDK v2・Node 20・最小権限などの技術方針)、structure.md(bin/lib/lambda の構成)の 3 ファイルを配置しました。同じプロジェクトで再度 CDK タスクを依頼すると、Steering の内容が参照されます。
- 同一タスク用プロジェクト(
- Codex CLI: 同一タスクの所要時間
- 空ディレクトリで
codex exec --full-auto "Lambda + DynamoDB の REST API を CDK v2(TypeScript)で…"を実行し、作成完了まで 約 1 分 6 秒(実測)でした。対話式ではなく exec モードのため、CI やスクリプトからの利用を想定した比較として参考になります。
- 空ディレクトリで
以上により、比較表の Codex の「所要時間」を約 1 分 6 秒に更新し、Kiro の MCP・Steering は「設定手順と確認方法」を記事内で示せる状態にしました。
参考資料
Kiro CLI
- Kiro CLI公式
- Kiro CLIドキュメント
- Kiro CLIスラッシュコマンド一覧
- Q Developer CLIからの移行ガイド
- Kiro Steeringドキュメント
- Kiro Hooksドキュメント
- Kiro MCP連携ドキュメント
- AWS MCP Servers (GitHub)
- Kiro料金ページ








