Kiro CLIはぶっちゃけどんな場面で使えばいいか考えてみた

Kiro CLIはぶっちゃけどんな場面で使えばいいか考えてみた

2026.02.19

こんにちは、せーのです。

Kiro CLIって、Claude CodeやCodex、Geminiなどと比べるとまだ知名度がそこまで高くないですよね。「ぶっちゃけどんな場面で使えばいいの?」が自分でもはっきりしなかったので、同じタスクを複数のターミナルAIでやってみるうちに、Kiro CLIの強みと使いどころを探してみることにしました。

ということで、どんな場面で使えばいいかを、同じタスクで3ツールを比べながら見つけてきた話を共有します。

Kiro CLIとは(おさらい)

Kiro CLIは、Amazon Q Developer CLIの後継としてAWSから提供されているターミナル用AIコーディングアシスタントです。公式の移行ガイドでは「Kiro CLI is the next update of the Q CLI」と明言されています。

比較の相手として、この記事では次の2つを並べます。

  • Claude Code(Anthropic):汎用のコーディングアシスタント。CLAUDE.mdやAgent Teamsが強み
  • Codex CLI(OpenAI):GPT-5系に最適化。サンドボックスやCI/CD向けのexecモードが特徴

3つとも「ターミナルで動くAIエージェント」ですが、出自が違うので得意分野が違います。違いを整理すると、Kiro CLIは「AWSと深くつながったCLI」Claude Codeは「何でもできる汎用」Codex CLIは「セキュリティと自動化重視」、というイメージです。

Kiro CLI Claude Code Codex CLI
開発元 AWS Anthropic OpenAI
位置づけ Q Developer CLI後継 汎用AIエージェント GPT-5-Codex特化
インストール curl -fsSL https://cli.kiro.dev/install | bash curl -fsSL https://claude.ai/install.sh | bash npm i -g @openai/codex
対応OS macOS / Linux macOS / Linux / Windows macOS / Linux / Windows(WSL)
AIモデル Auto / Claude Sonnet 4 / 4.5 / Haiku 4.5 Opus 4.6 / Sonnet 4.6 / Haiku 4.5 GPT-5.3-Codex / Spark / Mini
料金(個人) 無料(50cr) / Pro $20 Pro $20 Plus $20 / APIキー

同じタスクで比べてみた

「Lambda + DynamoDB の REST API を CDK v2(TypeScript)で作って」という同じ指示を、Kiro CLI・Claude Code・Codex CLIの3つにそれぞれ出してみました。目的は「どれが最強か」ではなく、Kiro CLIがどんな場面で光るかを探すことです。

比較結果

同じ指示「Lambda + DynamoDB の REST API を CDK v2(TypeScript)で作って」を3ツールに投げた結果です。

観点 Kiro CLI Claude Code Codex CLI
ファイル構造 スタック内に Lambda を fromInline で集約。bin/app.ts, lib/api-stack.ts, cdk.json 等の最小構成。 cdk init から構築。lambda/get-items.ts・post-items.ts を TypeScript で分離し、NodejsFunction でバンドル。 bin/app.ts, lib/api-stack.ts, lambda/get-items.js・post-items.js(JavaScript)。Lambda は JS + AWS SDK v2。
IAM最小権限 grantReadData / grantWriteData で GET は Scan、POST は PutItem のみ付与。✓ grant(fn, "dynamodb:Scan") / "dynamodb:PutItem" で明示的に最小権限。✓ grantReadData / grantWriteData で分離。✓
テストコード なし なし なし
所要時間 約 28 秒(Credits 0.32) 約 3 分 24 秒 約 1 分 6 秒(exec モードで計測)
体験の印象 最速で一通り完成。ツール実行ごとに y/n/t の確認あり。構成がシンプルで追いやすい。 初回ビルドで @types/aws-lambda 不足を自ら検知して修正。CORS・ログ設定まで入れ、Ghost レビューまで実施。丁寧だが時間はかかる。 exec で非対話実行可能。Lambda は JS+SDK v2・Node 18。CORS は「最小構成のためスキップ」と明言。

この「同じタスクで比べる」過程のなかで、Kiro CLIならではの強みがはっきり見えてきました。以下、その強みを整理します。

比べてみて見つけた、Kiro CLIの強み

知名度はまだでも、AWSまわりで使うときの差がかなり出ます。

1. AWSツールがビルトインのカスタムエージェント

タスクに特化したカスタムエージェントを定義し、ターミナル上で切り替えて使えます。

# 利用可能なエージェント一覧
/agent list

# 新しいエージェントを作成
/agent create

カスタムエージェントには以下を定義できます。

  • ツール権限: ファイル操作、コマンド実行、AWS CLIツールなど、どのツールを使えるか
  • コンテキスト: どのファイルやディレクトリを参照するか
  • プロンプト: エージェントの振る舞いを制御するシステムプロンプト
  • MCP連携: どの外部ツールにアクセスできるか

Claude Codeにもカスタムエージェントがありますが、Kiro CLIの場合はAWSツールがビルトインで使えるのがポイントです。AWSリソースを触る作業をエージェントに任せたい場面で、比べてみて「ここが違う」と感じました。

2. Steering(プロジェクト知識をIDEとCLIで共有)

個人的にKiro CLIでいちばん「これいいな」と思った機能です。

Steeringは、マークダウンファイルでプロジェクト固有の知識をKiroに永続的に持たせる仕組みです。Claude CodeのCLAUDE.mdに近いですが、より構造化されています。

スコープ 配置場所
ワークスペース <project-root>/.kiro/steering/*.md
グローバル ~/.kiro/steering/*.md

Kiroが推奨する基本構成は3ファイルです。

ファイル 内容
product.md 製品の目的、対象ユーザー、主要機能、ビジネス目標
tech.md フレームワーク、ライブラリ、開発ツール、技術制約
structure.md ファイル構成、命名規約、インポートパターン

ここで大事なのが、IDEとCLIでSteeringが共有されることです。.kiro/steering/に置いておけば、IDEで開発しているときもCLIでターミナル作業しているときも、同じルールが効きます。同じタスクを他ツールでやると「設定はIDE用とCLI用で別」になりがちなので、Kiro CLIのここは強みだと感じました。

3. MCP連携(AWS MCPが充実)

Kiro CLIはModel Context Protocol(MCP)にネイティブ対応しています。設定はコマンドラインから行えます。

kiro-cli mcp add \
  --name "awslabs.aws-documentation-mcp-server" \
  --scope global \
  --command "uvx" \
  --args "awslabs.aws-documentation-mcp-server@latest" \
  --env "FASTMCP_LOG_LEVEL=ERROR"

チャット中に/mcpと打てば、現在のMCPサーバー一覧を確認できます。追加実験では上記の AWS Documentation MCP をグローバルに追加済みで、チャットで「AWSの公式ドキュメントでLambdaのコールドスタート対策を検索して」のように依頼すると MCP 経由で検索結果が得られます。

AWS関連のMCPサーバーはawslabs/mcpで公開されています。AWS Documentation MCP、CloudWatch MCP、AWS API MCPなど、AWSとの親和性の高さはKiroならではです。比べてみて、AWSドキュメントを引きながらの作業がしやすいと実感しました。

4. Hooks(実行前後の自動化)

エージェントのライフサイクルの特定ポイントで、カスタムコマンドを自動実行する機能です。

Hook タイミング 使いどころ
AgentSpawn エージェント起動時 環境情報の収集
PreToolUse ツール実行前 セキュリティチェック
PostToolUse ツール実行後 ログ記録、フォーマット
Stop 応答完了時 テスト実行、クリーンアップ

特にPreToolUseは面白くて、終了コード2を返すとツールの実行をブロックできます。例えば「本番データベースへの書き込みを禁止する」といったガードを組み込めます。同じタスクを安全に回すうえで、Kiro CLIのHooksは差になると感じました。

機能の差は「設計思想」の差

3ツールの機能を一覧で比較すると、次のとおりです。

機能 Kiro CLI Claude Code Codex CLI
カスタムエージェント .kiro/agents/*.json .claude/agents/*.md AGENTS.md + config.toml
プロジェクト設定 Steering(3ファイル構成) CLAUDE.md(階層継承) AGENTS.md
MCP ネイティブ(AWS MCP充実) ネイティブ サポート(Experimental)
Hooks 5種(AgentSpawn/PreToolUse等) 6種(PreToolUse/Stop等) なし
サンドボックス なし(ツール権限で制御) なし(権限モードで制御) 3段階(read-only/workspace-write/full)
IDE連携 Kiro IDE(設定共有) VS Code / JetBrains / Desktop VS Code / JetBrains
自律実行 あり あり あり(exec + --json)
Web検索 あり あり あり
セッション管理 /chat save & resume --resume / fork / rewind exec resume --last
並列エージェント delegate + use_subagent Agent Teams マルチエージェントロール

基本的な能力はどれも押さえています。差が出るのは設計思想です。

  • Kiro CLI: AWS中心。ビルトインのAWSツール、AWS MCPの充実、SteeringのIDE/CLI共有が特徴
  • Claude Code: 汎用性重視。CLAUDE.mdの柔軟な階層、Agent Teamsの協調
  • Codex CLI: セキュリティ・自動化重視。サンドボックス、CI/CD向けのexecモード

ぶっちゃけ、どんな場面で使えばいいか

同じタスクで比べてみた結果、Kiro CLIがとくに映える場面は次のとおりです。

Kiro CLIが向いている場面

  • AWSがメインの開発・運用
    • AWS MCP(ドキュメント検索、CloudWatch、AWS API)がそのまま使える
    • IAM Identity Centerでエンタープライズ利用もしやすい
    • Q Developer CLIユーザーは設定移行がほぼゼロ
  • IDEとCLIの両方で同じルールを使いたい
    • Steeringを.kiro/steering/に置くだけで、Kiro IDEとKiro CLIで共有される
  • AWSリソースを触る作業をエージェントに任せたい
    • カスタムエージェントにAWSツールをビルトインで渡せる
  • 実行前にガードをかけたい
    • HooksのPreToolUseで、危険な操作をブロックできる

他ツールとの併用もあり

「Kiro CLIだけ」にしなくても大丈夫です。月$20の価格帯なので、2つ使っても$40。例えば次のような使い分けが現実的です。

  • Kiro CLI + Claude Code: AWSインフラ・AWSまわりの作業はKiro CLI、それ以外のアプリ開発はClaude Code
  • 日常はClaude Code、PRの自動修正はCodex CLI: メイン開発はClaude Code、CI/CDの自動修正にCodex CLIのexecモード

まとめ

Kiro CLIを使ってみて感じたのは、**「知名度はまだでも、AWSまわりでは差が出る」**ということです。同じタスクをClaude CodeやCodex CLIと比べるうちに、次の点がはっきりしました。

  • AWSツールがビルトインのカスタムエージェントで、AWSリソース操作を任せやすい
  • Steeringでプロジェクト知識をIDEとCLIで共有できる
  • AWS MCPが充実していて、ドキュメントやCloudWatchを引きながらの作業がしやすい
  • Hooksで実行前後のガードや自動化をかけやすい

「ぶっちゃけどんな場面で使えばいいか」の答えとしては、AWSが主戦場の人にはKiro CLIをまず試すのがおすすめ、それ以外の汎用開発やCI/CD自動化は他ツールと組み合わせる、という使い分けがよさそうです。3ツールとも月$20から始められるので、まずは同じタスクを自分で比べてみると、自分用の使いどころが見つかると思います。

追加実験で実施したこと(2026-02-19)

記事公開後に、次の追加実験を実施し結果を反映しました。

  • Kiro CLI: AWS MCP の導入
    • kiro-cli mcp add --name "awslabs.aws-documentation-mcp-server" --scope global --command "uvx" --args "awslabs.aws-documentation-mcp-server@latest" で AWS Documentation MCP をグローバルに追加。設定は ~/.kiro/settings/mcp.json に保存されます。Kiro CLI 起動後にチャットで「AWSの公式ドキュメントでLambdaのコールドスタート対策を検索して」と依頼すると、MCP 経由でドキュメント検索結果が得られます。
  • Kiro CLI: Steering の配置
    • 同一タスク用プロジェクト(kiro-test)に .kiro/steering/ を用意し、product.md(製品目的・機能)、tech.md(CDK v2・Node 20・最小権限などの技術方針)、structure.md(bin/lib/lambda の構成)の 3 ファイルを配置しました。同じプロジェクトで再度 CDK タスクを依頼すると、Steering の内容が参照されます。
  • Codex CLI: 同一タスクの所要時間
    • 空ディレクトリで codex exec --full-auto "Lambda + DynamoDB の REST API を CDK v2(TypeScript)で…" を実行し、作成完了まで 約 1 分 6 秒(実測)でした。対話式ではなく exec モードのため、CI やスクリプトからの利用を想定した比較として参考になります。

以上により、比較表の Codex の「所要時間」を約 1 分 6 秒に更新し、Kiro の MCP・Steering は「設定手順と確認方法」を記事内で示せる状態にしました。

参考資料

Kiro CLI

Claude Code

Codex CLI

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