[レポート] Maker Faire Shenzhen 2017に行ってきました #MakerFaireShenzhen
先週末の2017/11/10~12の三日間、中国の深圳市で「Maker Faire Shenzhen」が開催されました。このイベントに(お休みをいただいて)参加してきましたので、レポートします。
深圳市とは
深圳市は、香港の北に隣接したとても大きな街です。深圳市とその周辺には1400万人もの人が居住しています。経済特区に指定されており、世界の工場としてここ数十年で未曾有の発展を遂げた地域です。香港と深圳は同じ中国領ですが、香港の植民地返還後の処置に伴う一国二制度となっているおり、通貨も違えば言語も違い、香港と深圳を行き来するためにはイミグレを越えていく必要があります。しかし、境界があるとはいえ毎日ここを越えて仕事や学校に通う人もいるくらい、人の行き来が多い場所です。
そんな世界の工場たる深圳とその周辺ですが、最近は工場はベトナムやタイなど他国へ移動しつつあるなど状況は変わってきています。現在の深圳市は、生産を請け負う工場というよりは、より上流の企画や設計を担う場になりつつあります。ドローンで世界を制したDJI、モバイルアプリで世界最大の売上を誇るテンセント(騰訊)など、深圳市に本社を構える企業が多数あります。そんな会社が入る高層ビルが、あちらこちらでグイグイと建設中という非常に活気溢れる街です。
現在の深圳の重要な点は、ハードウェアの起業家が集積する地域であり、スタートアップが続々と生まれていることです。ソフトウェアにおけるシリコンバレーの、ハードウェア版といえます。このへんの事情は書籍「メイカーズのエコシステム」に詳しいです。
メイカーフェア
メイカーフェアは、手を動かして実際に物を作っている人たちの祭典です。日本でも毎年東京で、その他世界各地で開催されています。 中国でもこれまで、深圳の他に北京、西安、成都の4都市で開催されています。ものづくりの裾野を広げ、起業を後押しするべく、地方政府も強力にプッシュしているようです。
会場の様子
以下、写真多めでレポートします。
今年の会場は「深圳職業技術学院」いわゆるポリテクです。深圳のメイカーフェアは毎年違う場所で開催されていて、今回は学校の敷地内での開催です。
主催者の一つであるSeeedStudioのブース。
ソラコムとSeeedStudioは協力関係にあるとのことで、ソラコムの展示もありました。センサーデータの収集や、スマホからのコントロールを展示していました。
「MAKERS GO PRO」というのが今回のスローガンです。あの「GO PRO」ではなく、メイカーを仕事にする、という意味合いでしょうか。事実深圳のメイカーフェアはスタートアップの展示が多いのです。
メカニカルな彫刻的作品。
水に濡らしたハケで描くと、パネルのLEDが描いた通りに光ります。大きめの展示は良いですね。
その説明板ですが、レーザ加工機でかなりの文字数の文章を彫ってあります。
大きなLED万華鏡。ありそうですが、これまで他で見たことが無かったです。
タマゴの殻を切削加工する展示。繊細な感じが良いです。
その加工機ですが、3Dプリンタで作られた部品が見えています。
実際に乗って動かせる多足歩行機。足元がローラーで支えられているのはご愛嬌。
やはりロボットものの展示は多いですね。
ホイルソーにドリルを両手に装備したロボなんて厨二魂をくすぐります。
コイルガンに吹き矢という危ない系の工作。写真を撮り損ねましたがテスラコイルもありました。手に持った金属棒に放電を受けるという(貴重な?)体験をさせてもらいました。
フロッピーディスクドライブの機構を活用したペンプロッタ。ヘッドシークの精密なスライドスクリューをうまく利用しています。
玉入れをするロボコン的な競技体験。操縦しているのは来場者です。
ドローン操縦体験。操縦しているのは来場者です。ドローンに針を付けて風船を割るなんて競技もやってました。
こちらもロボット。
microbitと並んで、MicroPythonの入門書もありました。
こちらはm5stackという無線マイコンモジュールを内臓した液晶付きのモジュールです。いろいろなシールドがあり、見た目ゲームボーイそっくりな筐体もあります(左上)。もちろんゲームが動きます。
m5stackの開発中の変化を並べて展示してありました。プロトの状態から、投資を受け会社にして製品化されるまですこしづつ改良が加えられてきたようです。
磁気浮上デバイス。浮いたまま給電もするので光ります。
カホンで来場者と楽しそうにセッション。
宇宙進出も見据えた展示。無重量空間で快適に寝るための装備だそうです。
学校関係の展示も別枠で並んでました。左は空気の状態を測定する機械のようです。
講演会場ではフォーラムも開催されていました。言語は中国語と英語です。
まわりには軽食や飲み物を販売する縁日のような屋台も並びます。
最寄りの地下鉄の駅も、全面的にラッピングされていました。
会場から見える建物は、ほぼすべてが建築中。
会場のある地域は少し街の中心から離れているのですが、都心に行くと同様に高層ビルが建築中という状態です。
感じたこと
もっとも印象に残ったことは客層が明らかに若いことです。しかも若い女の子がとても目立ちます。こういうイベントに来ていろいろ見て回ることが、おしゃれなことなんだというようです。女の子が多いせいか手芸的要素のある柔らかめな展示に人気が集まっていたようです。これまで参加したことのあるMaker Faire Tokyoではもっぱら子供連れの親子が多かった気がしますので、対照的な印象を与えました。
日本からの出展も少なくなく、人気を集めていました。気合の入った展示ばかりで、さすが海外に出てくるだけのことはあります。
まとめ
初の海外のメイカーフェア参加でしたが、日本との違いを感じられて興味深かったです。しかし共通するのは、こっちもあっちもみんな楽しそうってことですね。ちなみに入場料は無しで無料で見学できます。
メイカーフェアの他にも、スマホによるQRコード決済の超絶普及の状況や、溢れんばかりのシェアリング自転車、深圳の超巨大な電気街など見所が多くあります。興味が湧いたら、ぜひ訪れてみてください。