MCP Apps v1.3 の新機能まとめ

MCP Apps v1.3 の新機能まとめ

この記事では、v1.3 系で追加された新機能やバグ修正をまとめて紹介します。MCP の基本を知っていて、Apps の最新動向をキャッチアップしたいエンジニアの方を想定しています。
2026.03.31

はじめに

MCP Apps は、Model Context Protocol(MCP)の初の公式拡張仕様です。MCPサーバーが提供するツールにインタラクティブなHTML UIを付与し、AIチャットの会話内で直接レンダリングできる仕組みを提供します。

2026年1月26日の正式発表以降、活発な開発が続いている MCP Apps ですが、2026年3月23日〜27日の5日間で v1.3.0、v1.3.1、v1.3.2 の3バージョンが立て続けにリリースされました。

この記事では、v1.3 系で追加された新機能やバグ修正をまとめて紹介します。MCP の基本を知っていて、Apps の最新動向をキャッチアップしたいエンジニアの方を想定しています。

MCP Apps のおさらい

MCP Apps について簡単に振り返ります。すでにご存じの方は次のセクションまでスキップしてください。

MCP Apps は MCP の拡張仕様(SEP-1865)で、ui:// という独自の URI スキームを使ってインタラクティブな HTML UI をリソースとして宣言します。ホスト(Claude Desktop や VS Code など)がこのリソースをフェッチし、サンドボックス化された iframe 内で描画する仕組みです。

通信フローは以下のようになっています。

┌──────────┐    JSON-RPC     ┌──────────┐    JSON-RPC     ┌──────────┐
│  MCP App │ ◄─────────────► │   Host   │ ◄─────────────► │  MCP     │
│  (iframe)│   postMessage   │ (Agent)  │                 │  Server  │
└──────────┘                 └──────────┘                 └──────────┘

重要なポイントとして、MCP App(iframe 内の UI)と MCP Server は直接通信しません。必ず Host(Agent)を経由します。

現在、以下のクライアントが MCP Apps に対応しています。

クライアント 対応状況
Claude / Claude Desktop 対応済み
VS Code GitHub Copilot 対応済み
Goose(Block) 対応済み
Postman 対応済み
MCPJam 対応済み
CopilotKit(AG-UI 経由) 対応済み

MCP Apps の基本概念やサンプルの動かし方については、DevelopersIO の【入門】MCP Appsとは?公式サンプルを試して概要と内部的な仕組みを理解するがとても参考になります。

v1.3.0 の新機能 — 3つの大きな変更

v1.3.0 は 2026年3月23日にリリースされました。今回の v1.3 系リリースの中核となるバージョンで、以下の3つの大きな変更が含まれています。

ui/notifications/request-teardown 通知の追加

PR #215 で追加された新機能です。

これまで MCP Apps の UI パネルを閉じるには、ユーザーが手動でパネルを閉じるか、ホスト側の制御に依存する必要がありました。v1.3.0 では ui/notifications/request-teardown という新しい通知タイプが追加され、UI 側からホストに対して「このパネルを終了(teardown)してほしい」とリクエストできるようになりました。

たとえば、フォーム送信が完了した後に自動的にパネルを終了したい場合、以下のように実装できます。

import { App } from "@modelcontextprotocol/ext-apps";

const app = new App({ name: "My Form App", version: "1.0.0" });

// フォーム送信後にパネルを閉じる
submitButton.addEventListener("click", async () => {
  const result = await app.callServerTool({
    name: "submit-form",
    arguments: { /* フォームデータ */ },
  });

  // 送信成功後、ホストにパネルの終了をリクエスト
  app.requestTeardown();
});

app.connect();

ユースケースとしては、フォーム送信完了後の自動終了、ワンタイムの確認ダイアログ、タスク完了後の UI 終了などが考えられます。

ただし、requestTeardown() はあくまで「リクエスト」であり、実際にパネルが終了するかどうかはホスト側の実装に依存します。ホストが承認した場合、ui/resource-teardown が送信され、View 側の onteardown ハンドラが呼ばれてからクリーンアップが実行されます。すべてのクライアントが即座に対応しているとは限らない点に注意が必要です。

PDF annotations / interact tool / page extraction

PR #506 で追加された、pdf-server サンプルの大幅な機能拡張です。

pdf-server は MCP Apps の公式サンプルの1つで、PDF.js を使ったインタラクティブな PDF ビューアを提供します。v1.3.0 では以下の機能が追加されました。

アノテーション機能: PDF にハイライト、下線、取り消し線、ノート、矩形、円、線、フリーテキスト、スタンプ、画像などのアノテーション(注釈)を追加できるようになりました。

対応するアノテーションタイプは以下のとおりです。

タイプ 説明 PDF サブタイプ
highlight テキストのハイライト /Highlight
underline 下線 /Underline
strikethrough 取り消し線 /StrikeOut
note 付箋ノート /Text
rectangle 矩形 /Square
circle /Circle
line /Line
freetext フリーテキスト /FreeText
stamp スタンプ(APPROVED など) /Stamp
image 画像 /Stamp

interact ツール: AI モデルが PDF を操作できる interact ツールが追加されました。ナビゲーション、アノテーション追加、テキスト検索、ページ抽出、フォーム入力などをプログラム的に実行できます。

たとえば、以下のようなプロンプトが可能になります。

ユーザー: この論文のタイトルをハイライトして、1ページ目に APPROVED スタンプを追加して
→ モデルが interact ツールを呼び出し、highlight_text と add_annotations を実行

ユーザー: 1〜3ページのテキストを抽出して
→ モデルが interact ツールの get_text アクションを実行

ページ抽出: 特定のページ範囲のテキストやスクリーンショットを取得できます。

// モデルが interact ツールを呼び出す際の引数例
{
  "name": "interact",
  "arguments": {
    "action": "get_text",
    "intervals": [{ "start": 1, "end": 3 }]
  }
}

モバイル対応改善

PR #555 で、map-server、pdf-server、threejs-server のモバイルレスポンシブ対応が改善されました。モバイルデバイスでの MCP Apps 利用がよりスムーズになっています。

v1.3.1〜v1.3.2 のバグ修正

v1.3.1(2026-03-23)

PR #561 で、pdf-server の detached-buffer バグが修正されました。PDF のチャンク読み込み時に range re-request を行うとバッファが切り離されてしまう問題と、E2E テストのアサーションが古くなっていた問題が解消されています。

v1.3.2(2026-03-27)

2つの変更が含まれています。

1つ目は PR #567 による auto-resize の水平スクロール位置が破壊される問題の修正です。MCP Apps では iframe の高さを自動調整する auto-resize 機能がありますが、リサイズ時に水平スクロール位置がリセットされてしまうバグがありました。横に広いコンテンツ(テーブルやコードブロックなど)を表示している際に、スクロール位置が勝手に戻ってしまうストレスフルな問題が修正されています。

2つ目は PR #565 による examples/pdf-server/plugin/ ディレクトリの削除です。このプラグインの正規版は knowledge-work-plugins リポジトリに移管されるため、ext-apps リポジトリからは削除されました。

まとめ

MCP Apps v1.3 系のリリースをまとめると、以下の3点がポイントです。

  1. UI からの終了リクエスト(request-teardown 通知)により、フォーム完了後の自動終了など UI ライフサイクルの制御が可能に
  2. PDF サーバーの大幅強化(アノテーション、interact ツール、ページ抽出)により、AI が PDF を操作する本格的なユースケースが実現
  3. エコシステムの急速な拡大(FastMCP、CopilotKit/AG-UI、AWS AgentCore)により、MCP Apps を活用できる環境が増加

5日間で3バージョンがリリースされたことからもわかるように、MCP Apps は非常に活発に開発が進んでいます。今後の MCP エコシステムの中心的な存在になっていくことは間違いなさそうです。

参考リンク

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