
# AWS Organizationsを跨いだコスト分析 — Members Cost Explorerで混在構成のコストを一元管理する
はじめに
「複数アカウントのコストを横断的に分析したい」
しかし、アカウントの管理形態が混在していると、これが意外と難しくなります。お客様個別のOrganizations配下のアカウントと、アカウント単位での管理のアカウントが併存していると、AWS Cost Explorerだけでは横断的なコスト分析ができません。
本記事では、クラスメソッドメンバーズをご利用のお客様向けに、なぜこの「管理形態の混在」が生まれるのかを整理した上で、Members Cost Explorerを使って一元的にコスト分析する方法を紹介します。
前提:クラスメソッドメンバーズにおけるアカウント管理形態
クラスメソッドメンバーズでは、AWSアカウントの管理形態として大きく2つのパターンがあります。
- お客様個別のOrganizations配下:お客様自身がOrganizationsを構築し、SCPやControl Tower等でガバナンスを効かせる。組織管理プランv2(4%割引)等が適用される。
- アカウント単位での管理:個別Organizationsに属さず、アカウント単位でメンバーズに加入する。一律割引プランv2(7%割引)等が適用される。
本記事で扱う「混在構成」とは、同一のお客様が、この両方の形態のアカウントを併用している状態を指します。いずれもクラスメソッドメンバーズに加入していることが前提です。
なぜ管理形態の混在が生まれるのか
「全アカウントを1つのOrganizationsにまとめればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、実際の運用ではそうもいかない事情があります。よくあるパターンを3つ紹介します。
パターン1:情シスOrgと部署の野良アカウントの混在
情報システム部門がOrganizationsを構築し、SCP(サービスコントロールポリシー)やControl Towerでガバナンスを効かせている一方で、各部署が独自に作成したAWSアカウントが存在するケースです。
これらの「野良アカウント」は、情シスのOrganizationsに属さず、アカウント単位で管理されていることがあります。統制と現場の自由度のバランスから、このような混在が生まれます。
パターン2:バラバラなアカウントを徐々にOrg化していく過渡期
最初はアカウントがバラバラに作られていて、管理が追いつかなくなってからOrganizations化に着手するケースです。
全アカウントを一気にOrganizationsに取り込むのは現実的ではなく、段階的に移行していく過程では必然的に混在構成になります。
パターン3:割引率の最適化
前提セクションで触れた通り、個別Organizations配下(組織管理プランv2:4%割引)よりも、アカウント単位での管理(一律割引プランv2:7%割引)の方が割引率が高い場合があります。
ガバナンス要件が厳しくないアカウントであれば、あえて自社Organizationsに取り込まずアカウント単位で管理した方がコストメリットが大きくなります。ガバナンスと割引率のバランスで、意図的に混在構成を選択するケースです。
課題:Organizations跨ぎだとコスト分析がバラバラになる
混在構成には合理的な理由がありますが、コスト分析の面では課題があります。
AWS Cost ExplorerはOrganization単位でしかデータを参照できません。つまり:
- 自社Organizationsのアカウント → 自社のAWSマネジメントコンソールで確認
- バラバラのアカウント → 統合的には見れない。それぞれ確認が必要。
結果として、組織全体のコストを横断的に分析するには、それぞれのデータを別々に取得して手元で結合する必要があります。
AWS CLIで aws ce get-cost-and-usage を使えばプログラム的に取得できますが、これもOrganization単位での実行になるため、複数Orgを跨ぐには別々に叩いて結合する手間が発生します。
解決:Members Cost Explorerで一元分析
Members Cost Explorerは、メンバーズに加入している全アカウントを、管理形態(個別Org配下 / アカウント単位)を問わず横断的に分析できます。
個別Organizations配下のアカウントも、アカウント単位で管理しているアカウントも、同じ画面にフラットに表示されます。
Members Cost Explorerの何が新しいか
Members Cost Explorerは、AWS純正のCost Explorerに近い分析体験を、クラスメソッドメンバーズ上で実現したものです。加えて、メンバーズならではの以下の点が大きな特徴です。
- 純正CEに近い操作感:グループ化やフィルターなど、AWS Cost Explorerと同様の分析操作ができる
- プロジェクト横断:メンバーズにはプロジェクト(請求書単位のグルーピング)の概念があるが、Members CEではプロジェクトを跨いだ横断分析ができる
- Payer横断:同じメンバーズ組織内であれば、異なるPayerアカウント配下のアカウントも束ねて分析できる



つまり、個別Organizations配下のアカウント(組織管理プランv2)とアカウント単位で管理しているアカウント(一律割引プランv2)が混在していても、メンバーズ組織全体のコストを一画面で俯瞰できます。
まとめ
AWSの運用では、ガバナンスと割引率の最適化を考えると、複数のOrganizationsにアカウントが分散する混在構成は珍しくありません。
この混在構成のデメリットとして「コスト分析がバラバラになる」という点が挙げられますが、Members Cost Explorerを使えばOrganizations の境界を超えた一元的なコスト分析が可能です。
混在構成のメリット(ガバナンス・割引率の最適化)を享受しつつ、コストの可視性は犠牲にしない — これがリセラーツールならではの価値だと感じました。
割引とガバナンスのバランスでOrganizations構成を悩んでいる方の参考になれば幸いです。







