NTT東日本とクラスメソッドの新会社 ネクストモードをどんな会社にしていきたいか

NTT東日本とクラスメソッドの新会社 ネクストモードをどんな会社にしていきたいか

「クラウドであたらしい働き方を」お客様に提供していくネクストモード。アフターコロナの働き方として新しいスタンダートはどんな考え方に支えられているのか。社長みずからの言葉でお答えしていきます。
Clock Icon2020.06.08

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クラウドであたらしい働き方を

WINEをこよなく愛する里見です。

「クラウドであたらしい働き方を」届けていく会社、ネクストモードを設立します。2020年7月1日から、代表取締役社長を務めさせていただきます。

6月8日に実施したネクストモード株式会社の記者会見資料は下記です。

https://www.ntt-east.co.jp/release/detail/20200608_01_01.html

職場の働きにくさ、システムの非効率を少しでも良くしていくことをミッションとして、すべてのお客さまにクラウドを届けていきたいと思います。

ここではネクストモードをどんな会社にしたいか、社内のカルチャーを支える考え方について、お伝えします。

クラウドをもっと身近に

AWSをはじめとしたパブリッククラウドは、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)によるリモートワークの浸透によって、ますます世の中に浸透してきました。自宅から会社のパソコンにアクセスするには、これまでのオンプレミスによるシステム構築では困難だからです。パブリッククラウドであれば、何時でも何処でも、インターネットにさえ繋がっていれば会社のシステムにアクセスすることができます。

一方で、「クラウドはよく分からないので導入に躊躇している」、「導入しても有スキル人材がいないので運用できない」など、クラウドを利用することについてお悩み・不安を抱えているお客さまが多く存在するのも事実です。これまでのノウハウが使えるかわからないため、新しいシステムの導入に慎重になるのは当然です。

NTT東日本のパブリッククラウド活用の営みもいっきに進めてきたわけでなく、むしろ一歩一歩、着実に、慎重に進めてまいりました。全社でいっきに導入するのではなく、基幹システムと離れたところから徐々に導入してきました。こうして積み重ね的な営みの途中の成果として、新会社ネクストモードで全社員がリモートで働く環境をフルクラウドで構築するまでに至りました。ネクストモードでは、これまでのNTT東日本という大企業でのクラウド導入経験とクラスメソッドのクラウド活用力を掛け合わせて、お客さまにあたらしい働き方を届けていきたいと思います。

アフターコロナの働き方 フィードフォワード

アフターコロナの働き方は、これまでの働き方ではなくなっていくでしょう。今回の危機は、ある意味で変わっていくいいチャンスでもあると思っています。リモートワークで働いていると、有意義な時間の過ごし方に気が付き、後戻りするのが難しくなります。コロナが終わったからといって昭和の働き方に「フィードバック」するのではなく、あたらしい未知の働き方に「フィードフォワード」していくべきだと考えます。クラウドを積極的に活用して、効率的な働き方にトライする絶好のタイミングではないでしょうか?

ところで、この「フィードバック」と「フィードフォワード」はなにが違うのでしょうか?

たとえば昭和の時代、上司にお酌をするのが当たり前だった職場で過ごしてきた人がマネージャーになったときにどのような行動を取るでしょうか?

同じように部下にもお酌を強要するのは論外として、通常の上司であれば、「自分の若い頃は飲み会で上司にお酌をしたが、これからはしなくてもいい」と言うのではないでしょうか。この上司の発言で、いままでの飲み会の悪い習慣は改善できたと言えるでしょう。しかし、一歩踏み込んで、自分の上司の送別会に部下にでなくてもいいとまで言えるでしょうか?新入社員に懇親会への参加を強制していないでしょうか?

確かに、フィードバックの考え方は、大きな現状の考え方は変えずに改善をしていく際に役に立ちます。変化のない業務の場合には、フィードバックですこしずつ変えていけばいいわけです。

しかし、過去の過ちを指摘するフィードバックの思考は、居酒屋で愚痴を言い合うサラリーマンを産みだします。つまり、ともするとフィードバックの考え方は、マイナスの思考を産みだし、所属する組織の悪口大会にもつながります。会社をディスってスカっとしているようでいて、実際には周りを含めて萎縮させてしまう姿は、年齢に関係なく見られるのではないでしょうか。つまりは、マイナス面から批判的意見を導くフィードバックは、「飲み会の強制をやめる」という変化に到達できない点に限界があるといえるかもしれません。

それに対して、例えばコロナをキッカケとして「飲みたい人は飲みながら、リモートからWEBで繋いでライトニングトークをやろう。」となれば、これまでの慣習を変えることができるかもしれません。飲酒率が年々低下していく中で、これまでの考え方をアップデートしなければ、いつまでも古い習慣に引きずられてしまいます。大きな変化をもたらす際には、過去の失敗に対してダメだしをするだけでなく、「これからはこうやっていこうか?」「次回はこの失敗をプラスしてみよう」などのように、未来の解決に向けた視野でクリエイティブな施策を提案できるかどうかが鍵となってきます。つまり、フィードフォワードとは、過去から学んだことを未来に活かすことで、変化をもたらす思想と言えます。

この未来に向けたオルタナティブな解決策を示していくことが、いま、アフターコロナの働き方にも求められています。つまり、コロナが発生する前の働き方にそのまま戻るのではなく、これまで学んでことをこれからの働き方にフィードフォワードして変わっていくタイミングなのです。

※「Mrアルマンブログ」から引用

2019年 PDCAはもう古い・・未来思考型 FFA

パターナリズムは昭和の考え方か

とはいえ、未来に向けた解決策は会社によって一様ではありません。リモートワークでよく耳にするのは、社員をどこまで監視するかです。見えないところで働いている社員を信頼できるか、リモートでアクセス可能なシステムにどこまで制限をかけるか、そんな声をよく耳にします。こうした考えがどうしてでてくるのか、マネージャーになるまで自分もわかりませんでした。

法の世界では、分別をまだ持たない子供に対して国家が「親」として振る舞い、自由や権限を奪うことで保護していくことをパターナリズム(国親思想)といいます。例えば未成年者にアルコールを禁止することは、アルコールを飲む自由を奪うことになります。この規制に対しては、自分で自分のからだを害する行為をするのは自由であり、憲法13条の幸福追求権で保証されているという高尚な反論まであります。しかし、あえて国が温情的に私人の行動に干渉するのは、未成年者へのアルコールによる健康への害を考えるとやむを得ない制約だといえます。ただ、この制限は最低限のものに留めないと不自由で仕方がありません。「人格的自律そのものを回復不可能な程度に永続的に害する」場合に限って、例外的に自由を制約しても許される、と考えるべきです。大人にもアルコールを飲むなと国が規制をしたら、自分の体を自ら害する自由はあるはずだと、反対する人は多いのではないでしょうか。

国と子供の立場を会社に置き換えると、会社はどこまで社員の自由を制約すべきか、ということになるでしょう。スーツを着て満員電車で同じ時間に通勤することがすべての職場で正しいのか。仕事の内容によって、たとえ同じ会社でも規制やルールにダイバーシティがあっても良いのではないか。そんな議論がここからでてくることになります。

ガードレールを整備する

ブレーキをかけるのではなく、どんなにスピードを出しても安全なセキュリティを整備する、つまりどんなに自由に振舞ってもシステムが守ってくれる、というガードレールの考え方があります。これもパターナリズムと似た考え方に見えるかもしれませんが、実は大きく違います。従来の会社のセキュリティ対策は、「人格的自律そのものを回復不可能な程度に永続的に害する」ようなことにならないように、社員教育を徹底し、ルールや制度を教え込み、禁止リストを守らせるというパターナリズムの考え方に近いものでした。先ほどの具体例でいえば、親が子供にお酒は飲んじゃダメ、ということを示してあらかじめブロックするわけです。国が親で、社員は子供という考え方は、会社は家族という昭和の高度成長を支えた考え方でもあったかもしれません。

しかし、パターナリズムの考え方に基づいて、見えないところで働く社員の行動をすべて監視することは困難です。とある会社では、コロナウイルス対策として社員が飲み会に参加して感染しないように携帯のGPSで監視していたようです。しかし社員は、携帯電話を置いて飲みに行くようになりました。その後は、安否システムを導入して定期連絡を義務付けたようです。コロナウイルスの場合には命がかかっているため判断が難しいですが、監視はいたちごっこでコストがかかり、限界があります。

また一方で、監視をした方が良い職場もあります。危険な作業を伴う職場では、社員の自由よりも命が重要です。たとえば、軍隊では厳しい規律で部隊を統制することで、安全を確保しています。射場では、反復呼称や決められた手順を守ることで、小銃を扱っていても安全でいられ、他人の命も傷付けません。医療の世界でもインフォームドコンセントの普及により患者の自由な自己決定が尊重され、癌を本人に告知しないようなこともなくなっていますが、生命の危険が迫っている患者に対しては本人の同意なく医師が患者の最善の利益の決定を行います。この医師の決定は本人の意思よりも生命を重要視したパターナリズムによる決定です。建設業作業等も危険を伴うものであり、マニュアルの整備と順守が重要となってきます。安全に配慮した職場環境の整備をなによりも優先にすべき職種があり、会社が社員を守る必要性が存在しています。

※ 医療におけるパターナリズム

「http://plaza.harmonix.ne.jp/~y-paolo/psycho02.htm」から引用

このように安全を重視する職場の場合には、パターナリズムは命を守る重要性とリンクし、優先すべきものとなるでしょう。したがって、パターナリズムそのものが悪いわけではなく、その適用場所がいたずらに広がってないかをもういちど検証するべきではないか、ということです。

たとえば、多くのコンピュータシステムや多くの民間企業における働き方は従来のパターナリズムの考え方に縛られる必要がないシーンも多いかと思います。パターナリズムは、ゲートキーパーであるため、いちどプロセスを止める必要があるためビジネスのスピードを鈍らせます。それでもゲートキーパーは本当に必要なのか、例えばいったん規制のもととなる法規に立ち戻って、見直していくキッカケにクラウドの導入がなるのではないかと考えています。

「ガードレールを整備する」という考え方は、パターナリズムの対局である自由主義とも異なります。つまり、なんでも自己責任だと言って放置するのではなく、社員がお互いに信頼し、自律的に考えて動く仕組みを緩やかに会社が整備していくことをいいます。管理の仕組みを肥大化させるのではなく、かといって放任するのでもなく、自由と自治のある職場で主体的に働いてもらった方が生産性はあがるという考え方です。権限を委譲し、社員自らに判断してもらう。社員は子供ではないわけで、もっと自ら自由を取り戻していくべきです。社員にはガードレールを超える著しい逸脱をした場合にその責任が課せられますが、自由と引き換えに責任を負っても経営にコミットしたいと思う若い社員が増えてきているのではないでしょうか。そのような社員の自立性、自発性を会社の経営の力に変えていければ、強い組織が作れるのではないかと考えます。

ネクストモード株式会社では、クラウドでガードレールを整備することであたらしい働き方に変えていくことが、生産性をアップさせ、日本を良くしていくと考えています。

あたらしい働き方とは?

リモートワークがあたりまえとなりつつあります。しかし、そんな中でもなかなか昭和の働き方から抜けられず、課題を抱えている会社は多いと思います。

たとえばリモートで会社のPCにログインできたとしても、eメールを中心に業務をしていると、ファイルの共同編集などが大変です。社外とやり取りができるチャットを導入するだけで、スピード感が得られます。

昭和の働き方は、禁止リストを列挙し、閉じられたネットワークで社員もシステムも囲い込むことで会社が親となり守ってきました。しかし、インターネットによって会社のシステムが世界とオープンに繋がってくると、この禁止のリストは膨大となってきます。そのやり方も、インターネットの初期はクラウドもなくシンプルなシステムでしたから、合理的であったと言えるかもしれません。しかしそのルールも、いまではすっかり古い慣習となり、なぜその業務が必要であるかの合理的な説明ができないまま、非効率な働き方を続けている会社は少なくないと思います。

先ほどの医療の例でいえば、医者が患者に多くの説明をしないで治療方針を決めてしまうパターナリズムは、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)と言われる生活の質に影響を与えます。つまり、延命処置をするのか、最後まで無理な延命治療はせずに意識が明瞭なまま死にたいのかという生き方の選択肢を患者に与えないと、残された時間を有意義に過ごせたかもしれないのに、パターナリズムによってその可能性の芽が摘まれてしまいます。これは働き方にもあてはまります。パターナリズムにより働き方の自由が奪われるとQOW(クオリティ・オブ・ワーク)と言われる労働の質に影響を与えます。健康を決める力を患者に委ねるように、働き方を決める力も社員に委ねる時代です。リモートワークに限らず、子育てや介護による時短勤務、副業、様々な働き方の多様性が求められる中、一律に働き方を会社が決めるのではなく、できるだけ幅を持った運用をするためのガードレールが必要ということなのでしょう。

働き方をいっきに変えていくことは難しいかもしれませんが、ひとつでも取り組むことで、フィードフォワードの考え方は浸透し、未来のアイディアに向けて前向きに議論するキッカケとなります。特に大企業がこれまで向かっていた方向を変化するには時間がかかります。しかし、到達すべきゴールの旗をすこし先の未来に立てれば、大きな艦隊もゆっくりと方向転換することができます。大企業の変化が社会に与える影響は大きいです。そして、その第一歩がクラウドの導入であることは少なくありません。

ネクストモード株式会社では、すべてのお客さまにクラウドを届けることで、あたらしい働き方を届けていきたいと思っています。まだ見ぬ未来を想像する楽しさを、お客さまと一緒に体験していきたいと思います。すこし先の未来を実現する会社、ネクストモード株式会社にご期待ください。

※クラウドであたらしい働き方を実現する、SaaS活用の話は https://dev.classmethod.jp/articles/still-day1-nextmode/ で記載しています。

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