ノンテック人材の力と多様性の重要性:ING銀行 IT部門リーダーのスピーチから学ぶ

ノンテック人材の力と多様性の重要性:ING銀行 IT部門リーダーのスピーチから学ぶ

ING銀行のITリーダーが語るノンテック人材の力と多様性の重要性についてのスピーチをレポートします。

Tech Show Frankfurt 2024にてドイツ大手金融機関である ING 銀行の IT部門 リーダー2人による興味深いスピーチを聞く機会がありました。このスピーチでは、テック業界におけるNon-Techバックグラウンド人材の重要性と、多様性がもたらすメリットについて語られました。

“Non-Tech” な人たち

IT関連の従事者には、様々なバックグラウンドを持つ人々が一つの会社で働いていることがよくあります。技術を専門的に学んだ人から、全く異なる分野での専門知識を持つ人まで、多様な経歴を持つ人々が集まります。 本記事でのノンテック(Non-Tech)とは、テック/技術を専門的に学んだことがない人、技術以外の専門知識でキャリアを積んできた人と定義したいと思います。セミナーでもテックバックグラウンドを持たない人材として ノンテックというワードを使っていました。

セッション概要

タイトル:From TECH-Zero to (Non-) TECH-Hero: Non-Tech Bacgrounds as IT´s secret weapon(テックゼロから(非)テックヒーローへ:非テックバックグラウンドが IT の秘密兵器)

スピーカー:ドイツ大手金融・銀行の IT 部門の管理職お二人。政治コミュニケーションと行政が専門だったそうですが、テック業界でのサクセスストーリーも織り交ぜて語ってくださいました。

Agathe Engelmann (IT Lead Service / Core / Data (Vice President, IT Director) - ING Deutschland), Jeanine Morina (IT Area Lead Home / Head of Area IT Home - ING Deutschland)

 

ノンテック人材が持つパワー

新しい視点と問題解決能力

業務で直面する問題に対して新しい視点を提供します。他の分野で培われた知識や経験が、従来の方法では解決できなかった問題に対して新しい角度からの解決策を提案することができます。そのポテンシャルにより、チーム全体の問題解決能力が向上します。

特定の仕事を引き受ける力

テック人材が好まない仕事や不得手な業務があります。例えば、社内政治やCレベルとのコミュニケーション、サービスを取り巻く課題の整理・プロセス化などです。ノンテック人材はこれらのタスクを引き受け、チーム全体の生産性を向上させることができます。

殻の外からの学び

テック人材にとって新しい学びの機会になります。技術スキルの切磋がテック業界では最重要課題であることは間違いありませんが、それ以外の分野に関する知識にも触れることで、バランスを整えることができます。 ノンテック人材にとっても、常に新しいことを学ぶ環境に身を置いています。(これがこの業界に身を置く大きなメリットではないかと個人的には思います)お互いにとって相乗効果がある!

多様性がもたらすメリット

チームの成熟と成長

男女、年齢、文化、テックとノンテックなど、多様な視点が交わることで、チームはより成熟し、成長します。

顧客満足の向上

我々がサービスを提供する顧客も多様であるため、チームが多様性を持っていることで、より顧客のニーズに合わせたサービスを提供することができます。これにより、顧客満足度が向上し、売り上げや組織のパフォーマンスも向上します。

 

ノンテック人材をテック業界に引き入れる努力

人事:昇進と採用

テック業界だからといってハードスキルだけを重視するのではなく、本当に必要なソフトスキルを洗い出し、それを採用・昇進要件に取り入れることで、より多様な人材を引き付けることができます。

セッション後のQ&Aにて興味深い質問が出ました。ノンテック人材がテックチームのリーダーに昇進する場合、チームメンバーからの反発はないかという質問でした。やっぱりそういうことも現場ではよくあるそうで、スピーカーの Agathe さんも実際リーダーになった際には苦労した経験があるそうです。ノンテック人材は、問題解決能力やサポート力で自身の価値を証明・説得する努力が必要だそうですが、昇進や採用の可能性を広げて、あけておくことが大事だとおっしゃってました。

ING銀行の施策:Smart Mover Program

ING社では、ビジネスやサービス部門から IT 部門へのキャリアチェンジを支援する「Smart Mover Program」を実施しているそうです。社員が、1年間学校と仕事を両立できるようにサポートするプログラムで、エンジニアロールを担うための最低限の教育を会社が提供します。

スピーチの締めくくりには、人間関係を築き、「stupidな質問もできる勇気」を持つことが、成長と成功の鍵であると述べられていました。

 

結論

私自身も、政治学とコミュニケーション学を学んだ後、新卒でIT業界に飛び込みました。クラスメソッドという専門家集団と出会い、技術スキル不足を補うために日々奮闘しています。足りない部分ばかりを見つめている時は、果てしなく高い壁を感じますが、今回のセッションで自分の価値を地道に証明し続けていけば、組織に貢献できるということを再認識できました。

テック業界における多様なバックグラウンドを持つ人々の価値を理解し、彼らの力を最大限に引き出すための努力を続けることが、これからの成功に繋がると感じました。

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