Oracle Enterprise Manager Cloud ControlでRDSを管理する:Target追加編
こんにちは、菊池です。
Amazon RDS for Oracle を Enterprise Manager (EM) Cloud Control 12cで管理する記事の第2回です。
前回の記事でOEMの管理サーバであるOMSを構築し、EMへブラウザでアクセス可能にするところまでを紹介しました。今回はいよいよ、RDSを管理対象として追加してみたいと思います。
構成
必要な設定は以下の2点です。
- RDSのオプショングループでOEM_AGENTを追加
- Enterprise Managerにてターゲットの手動追加
詳細な追加手順は公式ドキュメントを合わせて参照ください。
Enterprise Manager Cloud Control 向け Oracle Management Agent | AWS
RDSオプショングループの設定
まずはRDSのオプショングループの設定です。すでに稼働しているRDSインスタンスがある場合、
- インスタンスに適用されているオプショングループにOEM_AGENTを追加
- 新規にOEM_AGENTを追加したオプショングループを作成し、オプショングループごと変更
の2通りの方法がありますが、インスタンスに適用されているのがデフォルトオプショングループの場合、オプションの変更はできませんので2.の方法が必須になります。
新規にRDSのインスタンスを作成する場合には、あらかじめOEM_AGENTを追加したオプショングループを作成しておくのがよいでしょう。
それではオプショングループを作成していきます。RDSのメニューからオプショングループの作成に進みます。
任意の名前・説明を入力し、適用するRDSに合わせてDBエンジンとバージョンを選択します。エンジンはoracle-ee、バージョンは12.1を選択しました。
オプショングループが作成されたら、オプションの追加を選びます。
オプションにOEM_AGENT、バージョンは12.1.0.5.v1を選択、ポートはデフォルトの3872のままです。セキュリティグループの項目ですが、ここで指定したセキュリティグループに対しAgentへの通信が許可されます。OMSサーバに設定したセキュリティグループを選択しましょう。
OMS_HOSTには、EMをインストールしたEC2のIPアドレス、OMS_PORTは1159を入れます。AGENT_REGISTRATION_PASSWORDには、EMインストール時に設定した管理パスワードを入力します。「すぐに適用」は稼働中のRDSに対して設定する場合のオプションです。
以上でオプショングループが設定されました。
続けて、稼働中のRDS(Oracle EE)インスタンスに対し、オプショングループを適用します。
対象のインスタンスを選択し、インスタンスの操作 -> インスタンスの変更へ進みます。
オプショングループの項目で、先ほど作成したオプショングループを選択します。
すぐに適用したい場合は、チェックを入れます。運用中の場合にはメンテナンス時間に適用しましょう。
変更内容のレビュー画面に進みますので、問題なければ適用します。しばらくして、変更中のステータスからオプショングループが変更され同期中となれば適用完了です。
OMSへの接続に失敗すると、自動でオプショングループがロールバックされます。その場合はOMSのIP、ポートやセキュリティグループが正しいか確認しましょう。
最後に、DBインスタンスのDBSNMPアカウントの認証情報をリセットします。SQL*PlusでRDSインスタンスに接続し、以下のコマンドを実行します。
$ sqlplus master/******@ora SQL*Plus: Release 12.1.0.2.0 Production on Fri Oct 28 07:49:49 2016 Copyright (c) 1982, 2014, Oracle. All rights reserved. Connected to: Oracle Database 12c Enterprise Edition Release 12.1.0.2.0 - 64bit Production With the Partitioning, OLAP, Advanced Analytics and Real Application Testing options SQL> ALTER USER dbsnmp IDENTIFIED BY ****** ACCOUNT UNLOCK; User altered. SQL>
Enterprise Managerへのターゲットの追加
続けて、Enterprise Managerへの操作です。
EMのWEBコンソールへ接続し、ログインします。ユーザ名はSYSMAN、パスワードはインストール時に設定したものです。
ログインができたら、画面右上の設定から、ターゲットの手動追加へ進みます。
下記画面のように、ターゲットタイプ:データベース・インスタンスを選択し、モニタリングエージェントを検索します。
RSDインスタンスのエンドポイント名を持ったターゲットが見つかるはずですので、選択します。
インスタンスの追加プロパティの項目を入力します。
項目 | パラメータ |
ターゲット名 | 任意 |
ターゲットシステム | 任意 |
モニターユーザ名 | dbsnmp |
モニターパスワード | 先ほどSQLでリセットしたパスワード |
ロール | 標準 |
Oracleホームパス | /oracle |
リスーナーマシン名 | RDSのエンドポイント |
ポート | RDSのポート(デフォルトは1521) |
データベースSID | RDSのSID名 |
確認画面が出ますので、問題なければ実行します。
正常に完了しました。
ターゲットに、追加したRDSのDBインスタンスが表示されれば追加完了です。
まとめ
以上でOracle Enterprise Manager Cloud Control 12cへのRDSの追加が完了です。OMSの構築から、Targetの追加と2回に分けて紹介しましたが、これでRDSをEMで管理することができるようになりました。
ただし、RDS上のOracle Databaseでは、通常の環境とは管理可能な項目が異なる部分があります。今後、具体的な管理方法やその差分を紹介していきたいと思います。