パナソニック「Vieureka」数十億台のIoTカメラが繋がった未来とは #devio_showcase

パナソニック「Vieureka」数十億台のIoTカメラが繋がった未来とは #devio_showcase

Vieurekaは多様なシーンで遠隔から簡単にIoT機器を管理し、映像からデータを生成・分析・活用するためのIoTプラットフォームです。IoTカメラおよび画像認識/AIアプリケーションの遠隔管理、制御を行うクラウドサービスVieureka Managerの役割、今後の展開などについてご紹介します。
Clock Icon2020.12.18

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「カメラが数百万から数十億台が繋がったら何が起こるのかというのを想像してみてください」ーークラスメソッドのイベント「Developers.IO Showcase」にて行われたパナソニック・宮崎秋弘様のセッション「Vieurekaが創る未来 数十億台のIoTカメラが繋がり“世界の今をデータ化する”社会インフラ」では、そんな話がありました。

本記事はそのレポートとなります。IoTカメラとAWSのサービスを活用して構成されたシステム基盤がどのような“未来”を作り、公開しているのかをご紹介します。

なお、レポート内容の詳細、技術支援に関するご相談がございましたらクラスメソッドの担当者が承ります。下記のフォームにてご入力ください。

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発表者

パナソニック株式会社 テクノロジー本部 エッジコンピューティングPFプロジェクト Vieureka CEO 宮崎秋弘氏

カメラという社会インフラ

「Vieureka」はカメラを使って様々なセンサーのデータを蓄積し、生理学的・人間的にどのように行動しているのかをカメラのデータで分析するカメラを使ったIoTインフラです。

人間は五感のうち87%を視覚から認識すると言われています。そして視覚によって得られる位置、動き、かたち、大きさ、色など人が認識できるものは行く行くはAIに置き換わるとも言われているそうです。

その流れで「カメラに着目すると、いつかカメラは電気ガス水道と同じように新たな“社会インフラ”になるのではないかと。そこで、カメラというインフラデータを分析してサービスに利用してもらうことを日本で作り、パートナーと協創していきたい」と宮崎氏はVieurekaの立ち上げ背景を語りました。

カメラが数十億台繋がるために

Vieurekaの特徴的な機能について、宮崎氏は以下の3つを挙げました。

ひとつめの「画像解析」について、Vieurekaのカメラは意味のあるデータのみを収集し、カメラの映像をクラウドにアップロードしても、1つ1つ見ることはありえないと説明します。

その仕組みの特徴が2つ目の「分散処理」です。Vieurekaでは画像分析をクラウドで全てやるのではなく、エッジデバイスを使うことで分散しています。

3点目の管理については数十億におよぶようなカメラの管理について、所有者やパフォーマンス、使用しているアプリケーション、収集している画像のタイプなど電気やガスや水道と同じようにインフラ管理の仕組みを持っていると話しました。

Vieureka Platformとは

インフラとしてパートナー企業が多様な活用を可能にするのがVieureka Platformです。すでに出回っているものとは異なり、映像をAI処理するエッジデバイスがハードウェア内の処理ではなくソフトウェアでの解析を実現させています。

これにより、ソフトウェアをクラウドから配信し、用途に応じてソフトウェアの入れ替えが可能なので、同じカメラでも様々な利用シーンで使えるというメリットが生まれます。また、映像はカメラで処理し、メタデータのみをクラウドに送信しています。

Vieurekaのアーキテクチャ

このように、Vieurekaはプラットフォーム、エッジデバイスとインフラ管理(Vieureka Manager)に特化し、画像解析アプリケーションはパートナー様が提供/運用するイメージです。

Vieureka Manager

続いて、宮崎氏からはVieurekaを管理する「Vieureka Manager」についての説明がありました。

エッジデバイスを一元管理

Viereka Managerは世界中のエッジデバイスをクラウドで一元管理するもので、カメラの状態、オンライン/オフライン、動いているアプリケーションやバージョンを視覚化します。

このVieureka Managerをパートナー様に提供することで、パートナーが自らサービスやアプリケーションの運用をカメラのある現地に赴くことなく管理することが可能になっています。

アーキテクチャの改善

このVieureka Managerですが、従来のアーキテクチャはEC2によるIaaS構成、運用保守コストが課題となっていました。サーバレス化した新アーキテクチャでは運用保守コストを最小化させられると宮崎氏は説明しています。

エッジデバイス(カメラ)について

Vieurekaの肝となるAI×IoTカメラのエッジデバイスは2020年4月に高性能CPUとGPUを搭載した新型がリリースされています。これが画像解析とディープラーニングによる解析を可能にしています。

従来品のように、パソコンなどの設備がある場合、店舗への配置の敷居は高いものでした。しかしエッジデバイスはカメラを置くだけでサービスを実現、あとはリモートで運用管理が可能です。カメラ単体で稼働することで大幅にコストを削減できます。

また、カメラ側でプライバシーに関連するデータを排除し、メタデータのみクラウドに送信することでカメラ撮影におけるプライバシーに配慮しています。今後はパートナー様から様々なエッジデバイスが展開される予定とのことです。

ディープラーニングの強化

宮崎氏はVieurekaの稼働にあたり、農業や漁業(養殖場)などさまざまな産業でディープラーニングのご要望がありました。そしてエッジデバイスでのディープラーニングのサポートを実現しました。

これは推論エンジンAmazon SageMaker Neoで実現されており、今後はAmazon Kinesis Video Streamを今後導入し、カメラ側から学習用のデータを集める仕組みが予定されています。これにより、画像データからディープラーニングの学習サイクルが構築できることになるのです。

要望からの遠隔アップデート例

セッションでは成長を続けるVieurekaがアップデートされた事例として、サッポロドラッグストアー様が紹介されました。

 ・店内映像から来客者を解析、映像データ自体はカメラ内で廃棄
 ・分析したメタデータから来客者を分析

もともとこのようなサービス状況だったものに対し、お客様からのご要望に合わせて商品棚モニタリングアプリケーションも提供開始されることとなりました。このアップデートは遠隔で行われ、現地に赴かなくても管理運用ができるVieurekaの特性が活かされたこととなります。   ほかにも、Vieurekaは2020年らしく従来のマスクを装着した店舗来店者の分析も10月に実現。このようにおよそ1.5回/月のアップデートを行い、ユーザー要望に対応しているそうです。

Vieurekaの構成と役割

こうしたVieurekaの役割を支えるための取組みとして、SDKの提供があります。「コミュニティが広がるための開発環境を提供することはとても重要」と強調する宮崎氏、これまでに以下のような取り組みが行われました。

 ・Python、C/C++のSDK
 ・AWSのIoTサービスに対応
 ・ハンズオンを実施することで開発者をサポート

以上のような取り組みも含め、Vieurekaが提供するのはエッジデバイス、SDK、運用管理を行うManagerの提供で、小売店舗用アプリケーションもVieurekaチームにて開発し提供しています。そしてその他業界についてはパートナー共創により開発/提供する予定で、Vieurekaを取り巻く環境が構成されています。

Vieurekaパートナーサービスの紹介

最後に宮崎氏からは同サービスのユーザーであるパートナー各社の事例紹介がありました。

来客分析(サッポロドラッグストアー様)

・映像から人数のカウント、性別推定、年齢推定、滞留情報をメタデータ化して分析
・店舗、エリア、カテゴリごとの来客状況がわかる
・各コーナーのコンバージョン率を分析
・課題が店舗にあるのか、コーナーにあるのか、商品にあるのか、を切り分け

入退室管理(ビーコア社様提供のサービス)

・五洋建設様本社入口で、社員証のカラービットを読み込むことでゲートの開閉を実施
・合わせて出退勤も管理
・将来的には建設現場にも導入予定、現在推進中

顔認証パッケージ(IoT.kyoto様が提供のサービス)

・Vieurekaカメラを内蔵したデバイスにて、顔認証によりオフィスの解錠を実施
・電子錠との外部連携、インシデント管理のための映像記録を実施

介護業務支援サービス:LIFELENS(パナソニック様社内プロジェクト)

・介護対象者様の状況を確認、メタデータのみを送信
・プライバシーに配慮した遠隔見守りサービス
・夜間巡視業務を91%削減することで会議業務従事者負担を軽減
・組み込みAI x IoT研修での利用

Morpho様の新入社員OJT研修にて利用

・エッジデバイス、通信、クラウドを一気通貫で短期間に学習可能

Vieurekaのパートナーは現在43社でクラスメソッドもその一社。今後も新規パートナーを拡大していくとのこと。パートナーコミュニティとしてVieurekaセミナーを過去4回実施し、次回は2021年1月ごろに開催計画中であるなど宮崎氏によるVieurekaのビジョンが共有されてセッションは終了しました。

質疑応答

 Q.メーカーの中にはこれからIoTを取り組む会社もあると思いますが、何かアドバイスは。
 A.IoT系のサービスの最終目標はデータを活かして社会や会社を改善していくことなので、機器導入で終わってしまわないこと。また蓄積したデータをPDCAで回して改善していくことが大事だが、改善は繰り返しやらないと改善にならないので、きちんとサイクルを回していくこと。

 Q.最初に流通業界に対してサービスを提供したのは何故?
 A.データを使って経営を変えたいというイノベーションを持った流通業界の企業様と出会うことができたため。また従来の分析システムは非常に高額で、利益率の低い流通業界では導入が難しかったが、Vieurekaはコストを抑えることができた。このため流通業界を最初の対象業界に設定した。

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