【レポート】Savings Plans でコストを削減する #CMP210 #reinvent (について #cmregrowth で発表しました)

re:Invent 2019 にて聴講してきた原題 Dive deep on how to save with Savings Plans のセッションレポートです。また、2019/12/17 は札幌にて開催された re:Growth で発表した内容でもあります。
2019.12.17

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こんにちは、札幌在住 AWS 事業本部 オペレーション部(通称オペ部)の池田です。
re:Invent 2019 に参加し、Savings Plans に関するセッションを聴講してきましたので、ご紹介します。
なお、本記事を公開します 2019/12/17 は札幌にて re:Growth 2019 SAPPORO 開催!〜技術者による技術者のためのAWS re:Invent ふりかえり勉強会〜 #cmregrowth が開催され、その中のセッションでもご紹介する内容になっています。

2019/12/22 追記: re:Growth 2019 SAPPORO での発表資料を追加しました。

原題は Dive deep on how to save with Savings Plans です。

セッション概要

Savings Plans(SP)の特徴や、リザーブドインスタンス(RI)との違いについて解説していただくセッションでした。

原文

Savings Plans is a new flexible pricing model that provides savings of up to 72 percent on Amazon EC2 and AWS Fargate usage. Savings Plans offers significant savings over On Demand, just like Reserved Instances, but automatically reduces your bills on compute usage across any AWS Region, even as your usage changes. Savings Plans provides you the flexibility to use the compute option that best suits your needs and continues to save money, all without having to perform exchanges or modifications. Attend this session to learn how you can easily save money on your compute spend. We walk you through a demo of Savings Plans recommendations in AWS Cost Explorer and different considerations for signing up for Savings Plans.

セッション動画はこちらです。

登壇者

MATTHEW GEROW - Senior Product Manager, Amazon Web Services
Pranesh Ramalingam - Principal Product Manager, Amazon Web Services

セッションアジェンダ

Evolution of EC2 pricing models

セッションは、EC2 RI の歴史をざっと振り返るところからはじまりました。

  • 2012年 RI Marketplace の開始
  • 2016年 Regional RI の提供開始
  • 2016年 Convertible RI の提供開始
  • 2017年 サイズ柔軟性の提供開始

Introducing Savings Plans

続いて、Savings Plans の特徴やその使い方などについての解説がありました。

特徴

  • 1年または3年の期間において、1時間あたりの利用費をコミットする
  • EC2 に加えて Fargate も対象とすることが可能(Compute Savings Plans)
  • 従来の RI と比べてシンプルな仕組み
  • RI よりも高い柔軟性

EC2 において一定額以上の利用があるなら、使わない手はない仕組みだなと感じました。

Types of Savings Plans

2種類ある Savings Plans についての説明がありました。

  • Compute Savings Plans は Convertible RI 同等の割引率
  • EC2 Instance Savings Plans は割引対象をリージョン、インスタンスファミリーを指定することでより高い割引率(Standard RI 同等)となる

とにかく Compute Savings Plans の柔軟性の高さは素晴らしいの一言に尽きると思います。EC2 Instance Savings Plans も、従来の RI と比較すれば選択肢がシンプルになった分、購入しやすいと思います。
両者の比較に加えて、損益分岐点の考え方なども紹介したブログ記事がありますので、ぜひこちらもご参照ください。

新しいEC2割引モデル「Savings Plans」プラン別の損益分岐点を調べてみた

Working with Savings Plans

一通りの特徴などを説明いただいた後は、推奨されるコミット額の考え方や RI と比較した際の適用優先順などの解説がありました。
セッションにて上記スライドの説明がうまく聞き取れなかったのですが、例えば、青いラインのような利用状況だった場合は、時間あたり $60.00 のコミットとすることでも充分なコスト削減が期待できますね。
個人的な印象としては、リソースの利用量が頻繁に / 大きく変動するようなケースでは、SP のコミット額だけで極限までコスト削減を求めるのはなかなか難しいと感じました(これは RI でも同じでしたが)。Spot インスタンスや RI との併用も状況によっては考慮するのが良いと思います。

まだ登場したての SP を導入(購入)する場合に気をつけたい点として、有効な RI を所有している場合にはその適用優先順を意識する必要があります。

Savings Plans in the bill

気になる請求情報への記載方法について、紹介がありました。
EC2 や RDS などと同レベルで Savings Plans の項目が追加されるとのことです。その中に購入した SP の内訳が記載されるようですね。

RI ではキャパシティ予約の機能を含めることができましたが、SP では完全に分離されています。オンデマンドキャパシティ予約を忘れないようにしましょう。
オンデマンドキャパシティ予約については下記ブログ記事がわかりやすいと思います。

RIを購入せずに任意の期間でEC2のキャパシティを確保可能になりました

さいごに

セッションではその後、デモとして推奨事項の確認画面や購入後の SP に関する情報のページなどが紹介されました。解説を聞き取ることとキーワードをメモするのに必死で、スライドの写真は撮影できませんでしたが、興味のある方はセッション動画の後半に収録されていますのでそちらをご覧ください。
re:Growth ではこのデモの代わりに購入画面のスクリーンショットを用いた購入手順や購入時に必要な情報について、ご紹介しました。
また、re:Growth セッションのまとめとしては「コスト削減の視点と可用性の視点は別物として考える」ことを(当たり前ですが改めて)お伝えしました。

Savings Plans の購入に際しては、RI 同様支払い方法が 3種類用意されています。このうち、一部前払いを選択した場合には前払金を 50%から 99%の範囲で指定する必要がありますが、これも支払額を利用者側である程度コントロールできるという点でありがたい機能だと思います。

おまけ

AWS Pricing Calculator で Savings Plans の料金試算が可能です。
今回は EC2 Instance Savings Plans で 1年、東京リージョン、m5 ファミリー、全前払いとした場合を調べてみることにします。1時間あたりのコミット額は前払金とは別に利用者が $0.001 を最小として自由に設定できます。

ページを開いたら右上の方にある「Create estimate」と記載されたオレンジ色のボタンをクリックします。

Amazon EC2 の「Configure」をクリックして進みます。

画面変遷後、Region で東京を選択、EC2 instance specifications にある Instance type の項目にてm5.large を選びました(ファミリーのみを指定できないため)。「Search instances by name:」を選択する方が料金を知りたい場合には便利だと思います。
(SP では OS を意識する必要はないので、Operating system の項目はデフォルトで選択されている Linux のままにしておきます)

続いて、すぐ下にある Pricing strategy の項目で EC2 Instance Savings Plans 、1年、Full Upfront を選択します。
その後、Show calculations をクリックすると、選択した条件での料金情報が表示されます。

Organization の関係などで推奨事項が利用できない場合でも、とりあえず料金を知ることは可能です。コミット額をどうするかについては、予算や事業計画など個別の要素にも影響を受けますが、個人的な感覚としては全部 RI を買っちゃうときの 60 - 80% 程度の範囲(慎重にいくなら 40%とか)で、状況を見守って追加購入をしていくのが良いのかなぁと思いました。

番外編

re:Invent ではこのセッションに限らず、大きな部屋で複数のセッションが並行して開催されていることがありました。そういった会場では下の写真のようなヘッドフォンが用意されていたのですが、これがとても素敵だったので紹介しておきたいと思います。

写真では影になってしまっていますが、片方にレバーがついていてそれによって音声を受け取るチャンネルを切り替えることができます。受信するチャンネルによって外側の LED の色が変わり(写真の青く光っている部分が赤や緑になる)、聞こえてくる音声もその色が設定されたセッションのものになります。最初に見たときは「おっ、同時通訳あるのかな」と淡い期待をしたのですが、目的のセッションスピーカーの音声がきちんと聞こえるためのものとわかり小さな感動がありました。
探してみると「サイレントディスコ」という商品名で販売されているようでした。ヘッドフォン単体で25,000円くらい、ヘッドフォン10個と送信機が3個のセットで54万円ほどでした...