[レポート] マルチテナント SaaS をリージョンレベルでスケールさせる方法を学ぶチョークトーク「Designing SaaS architectures that support global growth and scale」に参加しました #SAS313
いわさです。
re:Invent 2024 でチョークトーク「Designing SaaS architectures that support global growth and scale(SAS313)」に参加しました。
このチョークトークではマルチテナント SaaS をより広範囲にスケールさせる方法について学ぶことが出来ます。
ずっと予約出来ずにいたので無理かもと思いつつ向かったのですが、開始直前に突然予約枠が空いて無事予約・参加出来ることになりました。ありがてぇ。
待機列もかなり並んでおり、ギリギリすべりこんだ私は高みの見物をしていたのですが、入場が始まるとあっというまに満席になりました。
チョークトークなので、聴講者とのやり取りなども紹介したいなと思ってます。
セッション概要
SaaS 組織は、多くの場合、成長によって推進されます。この成長に合わせて拡張するには、多くの場合、基盤となるアーキテクチャ、運用、アプリケーションがこれらの成長モデルをどのようにサポートできるかについてチームが考える必要があります。新しい地域に拡張したり、より多くの地域に展開したり、追加のコンプライアンス要件に対応したりできるマルチテナント環境を設計することは、困難な場合があります。このチョーク トークでは、さまざまな成長/リーチ モデルのサポートに伴うアーキテクチャ上の課題を検討し、SaaS の提供をより広範なリーチ/拡張に向けて準備するために使用される手法、パターン、および戦略に焦点を当てます。この成長プロファイルに取り組む際に考慮すべき、アーキテクチャ、展開、回復力、および運用上の考慮事項について説明します。
スピーカー
- Bill Tarr, Principal Partner Solutions Architect, AWS
- Kerthik Annamalaisamy, Senior Solutions Architect, AWS India
セッション内容
SaaS の成長戦略
まずはじめに SaaS の 主要な成長領域として市場への展開、既存顧客の拡大、新市場への進出などが必要だというところから始まります。
その上で新市場への進出における海外展開の機会と課題について提起されました。
その中で、顧客をティア別で価格設定する戦略について紹介されましたが、ここで聴講者の方から色々な課題がある点が述べられています。
例えば、当初はプール型のマルチテナンシーモデルを採用していたが、後に個別のサイロ型モデルに移行したとのことでした。
セキュリティ面の課題、費用管理の難しさからサイロ型へ移行したそうですが、コストが増えて段階的的な移行を行う時の費用配分が難しいということでした。
聞いてみるとマルチテナントアプリケーションの当たり前な課題ではあるのですが、顧客をティア別で管理しつつテナント分離を行う際のトレードオフの難しさについて、会場で改めて議論されていました。
SaaS アプリケーションのスケーリング課題
マルチテナンシー SaaS アプリケーションが直面する主な課題として可用性の確保、予測可能性の維持、柔軟な展開モデルの必要性などがあることを挙げられています。
セッション中ではその課題に対してセルベースアーキテクチャを提案しています。
セルベースアーキテクチャでは、顧客を論理的なセルにグループ化し、セル単位での管理を行うことで、可用性や予測可能性の向上、柔軟な展開が可能になるとのこと。
会場でも同意を得ているようでしたが、スケーリングの課題について改めて重要性や難しさが議論されていました。
- 可用性の重要性
- マルチテナンシーでは単一の顧客環境の障害が全体に影響を及ぼす可能性があるため、可用性の確保が非常に重要
- 予測可能性の重要性
- SaaS アプリケーションの利用パターンが時間とともに変化するため、予測可能性を維持することが難しい
- 顧客の利用状況の変化に合わせて、適切にリソースを調整する必要がある
- 柔軟な展開モデルの必要性
- 異なる顧客セグメントのニーズに合わせて、柔軟な展開モデルを用意する必要がある
- 一律のアプローチではなく、顧客の要件に合わせて最適な展開方法を選択する必要がある
マルチリージョンへの展開
スケーリングの難しさの延長で、サービスがグローバルにスケールしはじめたときのマルチリージョン展開についても議論されます。ここでもコスト、コンプライアンス、オペレーションが課題であると挙げられ、ディスカッションが始まりました。
ある聴講者はサービスがインド進出する際にいくつかの課題が発生したという経験を共有していました。
- 現地の専門性について
- 新しいリージョンであるインドに進出する際、その地域に特有のサービス提供に必要な専門知識が不足していた
- 現地の事情に精通した人材を確保することが重要
- インドでは、FinTech 業界などで新しいコンプライアンス要件が課されている
- これらの要件に合わせて、自社のサービスを適切に調整することが難しかったとのこと
- 新しいリージョンであるインドに進出する際、その地域に特有のサービス提供に必要な専門知識が不足していた
別の聴講者はリージョン間での ID 管理とデータ取り扱いの違いについて言及していました。
- 顧客のオンボーディングの際に、リージョン間でのID管理やデータ取り扱いの違いに対応する必要があった
- 各リージョンの要件に合わせて、柔軟な対応が求められた
さいごに
セッションはこのあたりでかなり中途半端に終わりました...。
前方の方とのディスカッションが白熱しすぎたのか途中退室者が多かったり、時間が押してスライドの最後のほうが流すような感じだったのが少しきになりました。
チョークトークだと聴講者のコントロールが難しくて時間オーバーすることがあるのだなと学びました。
セッションの内容自体は目新しい技術について触れられているものではありませんが、サービス運用されている方から直接課題などを聞けるのはとても参考になりました。
退室時に SWAG をもらいました。
Think it, Build it. です。なるほど。