AWS再入門ブログリレー AWSについて振り返ってみよう! 編

2019.07.01

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ご機嫌いかがでしょうか、豊崎です。

当エントリは弊社コンサルティング部による『AWS 再入門ブログリレー 2019』の1日目のエントリです。

このブログリレーの企画は、普段AWSサービスについて最新のネタ・深い/細かいテーマを主に書き連ねてきたメンバーの手によって、 今一度初心に返って、基本的な部分を見つめ直してみよう、解説してみようというコンセプトが含まれています。

AWSをこれから学ぼう!という方にとっては文字通りの入門記事として、またすでにAWSを活用されている方にとってもAWSサービスの再発見や2019年のサービスアップデートのキャッチアップの場となればと考えておりますので、ぜひ最後までお付合い頂ければ幸いです。

では、さっそくいってみましょう。1日目のテーマは『AWS』です。

そもそもAWSとはなに?というかた向けにAWSに対する再入門から始めていきたいと思います。

目次

まずは前提知識として

オンプレミス

従来は、システムを提供したい人がハードウェア、およびソフトウェアを購入し社内やデータセンターなどに設置して利用を行う、オンプレミスという型式が一般的でした。オンプレミスではシステムを自社で構築・運用するため、ハードウェアの調達にかかるイニシャルコストやシステムの維持などについてランニング費用がかかります。また、ビジネスが拡大してサーバを増強もしくは追加したいとなった場合にも同様なコストが発生します。

パブリッククラウド

一方、パブリッククラウドではシステムを提供したい人はインターネット経由でITリソースをサービスとして利用ができます。即座にシステムに必要なITリソースを用意することができ、ハードウェアを購入する必要がありません。イニシャルのコストについても一般的には不要です。また、ビジネスの成長に合わせて必要な分だけサービスを利用すればいいためリソースの余剰分にまでお金を支払う必要がありません。またデータセンターなどのファシリティについてもクラウドサービスを提供する事業者が管理するためサービス利用者が個別に管理および運用をする必要はありません。

 

AWSとは

Amazon.com との関係性

AWSの正式名称は「Amazon Web Services」で大手ECサイトで有名なAmazon.com, Inc.が提供するパブリッククラウドサービスです。

ショッピングサイトのAmazon

Amazonが提供するAWS(Amazon Web Services)

 

AWSの歴史

AWSはもともとAmazon社が自社内のビジネス的な課題を解決するために生まれたソリューションを、誰もが利用できるようにサービス化したものです。

AWSのHPにおいては2006年からの歴史がまとまっており、それを正とすると以下のようなサービスが提供されてきたました。現在に到るまでの全ては記載できなかったので、2015年分まで記載させていただきました。

  • 2006
    • Amazon S3
    • Amazon EC2
  • 2008
    • Amazon EBS
    • CloudFront
  • 2009
    • Amazon EMR
    • Amazon ELB
    • Amazon VPC
    • Amazon RDS
    • Amazon EC2 Spot Instance
  • 2010
    • Amazon Route53
  • 2011
    • AWS Elastic Beanstalk
    • AWS 東京リージョンが開設!
    • DirectConnect
    • Amazon VPCが東京リージョンで利用可能に!
  • 2012
    • Amazon DynamoDB
    • AWS Marketplace
    • Amazon Glacier
    • AWS re:Invent初開催
    • Amazon Redshift
  • 2013
    • Amazon Elastic Transcoder
    • Amazon CloudTrail
    • Amazon WorkSpaces
    • Amazon Kinesis
  • 2014
    • Amazon Cognito
    • Amazon Mobile Analytics
    • AWS Mobile SDK
    • Amazon WorkDocs
    • Amazon Aurora
    • AWS Lambda
    • Amazon ECS
  • 2015
    • Amazon Machine Learning
    • AWS Service Catalog
    • Amazon API Gateway
    • AWS WAF
    • AWS Snowball
    • AWS Database Migration Service

AWS 10 年の歩み ~沿革~ https://aws.amazon.com/jp/aws_history/details/

サービス数

執筆時点でのAWSサービスは165を超えます。AWSマネジメントコンソールからサービスを一覧を確認してみました。

一画面では収まりきらず、スクロールが必要なほどです。

AWSを使うメリット

AWSを利用することで享受できるメリットは多くあります。ここでは以下の観点について記載をしていきます。

  • 俊敏性
  • コスト削減
  • 運用負荷削減
  • セキュリティ
  • グローバル展開の容易さ
  • 豊富なユースケースと多くの企業の利用

 

俊敏性

AWSを利用することでシステム稼働までの時間を大幅に短縮することが可能で、ビジネスに必要なシステムを迅速に用意することが可能です。

オンプレミスの場合、システムのハードウェア、ソフトウェアを自前で全て用意する必要があります。まず物理的で高額なサーバを購入するため、調査・比較・検討から始まり、さらに購入の申し込み後、サーバの到着まで数日から数週間程度の時間がかかります。そのほかにも届いたサーバを配置、構築するためのデータセンターの準備や人員の確保など多くの作業が発生します。

AWSの場合、例えばEC2というサーバのサービスではインターネットを経由して数分でサーバの用意が完了します。物理的な用意や準備を考慮する必要はありません。

コスト削減

AWSは初期費用は不要で、利用した時間分の料金を支払うオンデマンド方式でサービス利用ができます。

オンプレミスの場合、繰り返しになりますが自社でハードウェア、ファシリティなどの用意をする必要があります。それぞれ導入における初期費用が発生します。また将来的にシステムに必要なリソースを考慮してサーバのサイジングをする必要があります。

AWSの場合、自社でサーバを保有するわけではないので、ハードウェア、ファシリティなどについては考慮が不要になります。またサーバなどの費用は利用した分だけ支払いをすればよく、適宜サーバのスペックを変更することができるので、現在のシステム規模に応じたスペックのサーバを利用することが可能で、過剰なスペックのサーバの利用をする必要はありません。

また、AWSは規模を拡大しながらイノベーションを繰り返し、2009年から2019年にかけて自主的に70回以上の値下げを実施しています。利用者は個別に価格交渉などを行う必要はありません。

参考:https://aws.amazon.com/jp/aws-ten-reasons/

運用負荷削減

次に、AWSでは様々なマネージドサービス、およびフルマネージドサービスが用意されています。インフラストラクチャの管理をAWSが一部または全て管理してくれることにより利用者側が行なっていた運用の負荷をAWSにオフロードすることが可能です。

オンプレミスの場合、サーバの運用で発生する様々な業務は当然自社で検討する必要があります。障害対応、バックアップ/リストア、パッチ適用、リプレースなどなど運用で検討、対応すべき内容は多岐に渡ります。

AWSの場合、マネージドサービスを利用することで自社で行わなければいけなかった運用の多くはAWSサービス側に機能として持っている、またはAWS側にて対応を行ってくれるため利用者側で対応する必要がなくなります。

AWSのマネージドサービスの一例

  • Amazon RDS

  • Amazon Aurora
  • Amazon DynamoDB
  • Amazon SQS
  • Amazon Route 53
  • Amazon WorkSpaces
  • Elastic Load Balancing

  • AWS SNS
  • など

セキュリティ

AWSではクラウドのセキュリティを最優先事項と捉えており、データセンターやネットワークアーキテクチャにおいてセキュリティを考慮して構築されています。

オンプレミスの場合、いずれかのセキュリティの監査を受ける場合は当然自社で必要な監査を受けることになります。ネットワークのセキュリティを担保したい場合はアプライアンス製品の導入などの検討が必要です。それ以外にも対応を検討する項目は非常に多いです。

AWSの場合、データセンターやクラウドインフラストラクチャはISO27001、SOC、PCI DSSなどをはじめとする世界基準のセキュリティ標準の要件を満たしています。またAWSには責任共有モデルがあり、利用者とAWS側で対応が必要な部分が定義されています。利用するサービスによって多少分界点は異なるものの全てを利用者が行う必要がなくなり負担が低減されます。また、DDoS対策や、WAF、データ暗号化、操作ログ、変更管理、アクセス管理などに対応したAWSサービスを組み合わせて利用することも可能です。

参考1:https://aws.amazon.com/jp/compliance/programs/

参考2:https://aws.amazon.com/jp/compliance/shared-responsibility-model/

グローバル展開の容易さ

AWSを利用するだけで世界中のリージョンのデータセンターを利用することが可能になります。

オンプレミスの場合、システムを海外展開する場合は、日本国内でサーバを購入した際のフローを海外でもう一度行うことになります。つまりシステムのハードウェア、ソフトウェアを自前で全て用意し、サーバを配置、構築するためのデータセンターの準備や人員の確保などを海外で行う必要があります。

AWSの場合、AWS利用開始とともに世界中でサービスを展開することが可能です。構築したシステムがコード化(CloudFormation)されている場合、同じ環境をスタンプのように作ることが可能なため、数分から数十分で作業を完了することも可能です。

オンプレミスとAWSの違いについて

パブリッククラウド を利用する場合とオンプレミスでサーバを利用する場合とを比較してみましょう。以下はAWSの公式HPに記載されている比較を参考にしています。

オンプレミスとAWSを利用する場合を比較してみると以下のようになります。

比較対象 自社データセンター AWS クラウド
初期コスト 必要 不要
利用コスト 余剰リソースにもコスト発生 実際のご利用分のみのコスト
災害対策コスト 高い 低い(稼働していない時間は無料)
インフラバージョンアップ/システム更改時のコスト 必要 不要
インフラ調達期間 数週間~数か月 数分
データセンターの ロケーション変更 長時間必要 短期間で可能
サーバーの スペックアップ、ダウン 時間とコストがかかる 余計なコストなしにすぐに対応可能
自社ネットワーク内での利用 可能 可能
専用線による 自社内サーバーとの接続 可能 可能
第三者機関認証 自身で取得 AWS 側で取得済(※)

※:SOC 1/SSAE 16/ISAE 3402, SOC 2, ISO 27001, PCI DSS レベル 1, HIPAA, ITAR, FISMA Moderate, FIPS 140-2, CSA

参考:https://aws.amazon.com/jp/comparison-onpremise-aws/

利用ユーザの変化

サービス提供開始以降様々なユーザがAWSを利用しています。以前にはあった漠然としたクラウドへの不安などについては十分なAWSのアウトプットによって解消されてきたように思います。

当初AWSはスタートアップ企業が利用するようなケースが多く、エンタープライズ企業での利用は多くなかった印象です。今でもスタートアップ企業が利用するケースが多いのは当然ですが、現在においては厳しい要件の基、システムを稼働する必要がある銀行などもAWSの利用をしています。事例についても公開をしています。先日のAWS Summit Tokyoでも複数の事例セッションがありましたのでご紹介させていただきます。

【レポート】<みずほ>によるAWSのススメ方〜導入から活用へのみちしるべ with NTTデータ〜 #AWSSummit

【レポート】によるAWSのススメ方〜導入から活用へのみちしるべ with NTTデータ〜 #AWSSummit

【レポート】”さよなら銀行。” ~住信SBIネット銀行の挑戦~ #AWSSummit

【レポート】”さよなら銀行。” ~住信SBIネット銀行の挑戦~ #AWSSummit

さいごに

以上、AWS再入門リレー 初日のエントリ「AWSについて振り返ってみよう! 」編でした。簡単ではありましたがAWSについてのイメージが少しでも湧いたようであれば幸いです。

明日(7/2)はhiroyuki kajiの「Amazon Elastic Transcoder」編です。お楽しみに!!