受発注書類の収入印紙

2011.07.20

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

みなさん、こんにちは。 美容ドリンクを飲み始めたせいか最近なんだか調子が良いクニ吉です。

前回は収入印紙について少し書きましたが、今回はその第2弾です。 前回をご覧になってない方は、まず第一弾の「収入印紙って何ぞ?」から読んでくださいね。 今回は予告通り注文請書と個別契約書の収入印紙についてお話します。

受発注書類について

個別の案件に対して品目や契約期間、納期、金額などを定めたもの。 商取引時に交わされる契約書で、取引を証明する書類です。 受発注書類としては「注文書」、「注文請書」、「個別契約書」の3点があります。

印紙税法では「請負に関する契約書」となる場合は「2号文書」に該当しますが、契約内容次第では「請負」に該当せず、不課税文書となる場合もあります。 2号文書に添付する収入印紙は「受注金額により変動」します。

印紙税額一覧はこちら

【注文書】

注文者が発行する書類で、注文の意思表示をする役割を持っています。 既に基本契約書の締結していたり、取引の内容が簡単な場合に用いられます。 注文請書と対になり、受注者側が注文請書を発行することで取引が成立する簡易的な契約書です。

収入印紙は注文請書にのみ貼付しますので、基本的に注文書への収入印紙の貼付は不要です。 しかし、注文請書の発行をせずに注文書のみで取引を成立させた場合は、収入印紙が必要になります。

【注文請書

受注者が発行する書類で、注文に対して受注の意思表示をする役割を持っています。 注文書と対になり、受注者が注文請書を発行することで取引が成立します。

【個別契約書

注文書、注文請書が一緒になっているような書類で、双方の注文・受注の意思表示をする役割を持っています。 注文書・注文請書のセットと違うのは、取引に関する細かい取り決めが記載されています。 大抵、基本契約書で定められた取り決めより個別契約書の内容が優先されるようになっており、案件ごとの状況に応じて、基本契約書自体を修正することなく取引を開始することができるメリットがあります。 一方で、基本契約書では問題なかったのに個別契約書で厳しい条件を定められている場合もあるので、要注意。(これは法務の話になるので詳細は割愛)

課税文書かどうかの判定

さて、注文書は基本収入印紙は不要として、注文請書と個別契約書の2つの書類が課税文書かどうか判定するにはどうしたらいいのか。 ここがまたまた厄介なところです。

第一弾「収入印紙って何ぞ?」の回でも書きましたが、印紙税法で課税文書かどうかや収入印紙金額の決定は文書の名前ではなく、記載内容で決定されます。 課税文書かどうかを判断するためには、まず問題となる案件が「(準)委任契約」と「請負契約」のどちらになるのかを見極めなければなりません。

印紙税法では、

  • (準)委任契約→不課税文書(印紙を貼らなくて良い)
  • 請負契約→2号文書(請負に関する契約書)

となります。

(準)委任契約とは

委任契約と準委任契約という似たような契約がふたつあります。

  • 「委任契約」とは、注文者が法律行為をすることを受注者に委託し、業務の遂行(行為)を約束する契約のこと。(民法第643条)
  • 「準委任契約」とは、法律行為でない事務などの「委託契約」のこと。(民法第656条)

つまり法律行為であるかどうかで契約名が変わります。 例えば、弁護士に対して弁護を依頼する場合は「委任契約」にあたり、操作オペレーション等の場合は「準委任契約」にあたります。 ※弁護士の場合は、100%勝訴する保証がなく行為に対して報酬を支払うため、「委任契約」に該当します。

委任契約は「行為」に対して報酬を支払っているため、行為の過程に対して問題が生じた場合に責任を問われます。

請負契約とは

  • 「請負契約」とは、仕事の完成を目的とし、完成すべき仕事の結果をもって受注者に報酬を支払うことを約束する契約のこと。(民法第632条)

建設工事や私たちが行っているソフトウェア開発のように有形的なもの(成果物)以外に、機械保守や清掃などの無形的な結果を目的とするものも該当します。 請負契約は「仕事の結果」に対して報酬を支払っているため、仕事の結果に欠陥が発見された場合、損害賠償や欠陥の修補等の「瑕疵担保責任」を求められます。(民法第634条)

◎ここがポイント!

保守契約は課税されるのか?

保守契約は基本的に月単位で決められた費用や時間でサポート等の業務を行います。 もちろん準委任でしょ?と言いたいところですが、保守の内容が重要です。 前述の「請負契約とは」で書きましたが、「無形的な結果」も請負として扱います。

「無形的な結果を約束している契約」とは、例えばソフトウェアのメンテナンスや改修を含んでいる場合があげられます。 「システムが正常に稼働することを保証している」と判断される場合は「請負契約」に該当するためです。

一方で、ソフトウェアの操作や技術説明等の単なるサポートについては「結果」を保証するものではないため、「準委任契約」となり、不課税文書となります。

おさらい

  • 注文書は収入印紙は不要だが、場合によっては収入印紙の貼付が必要になる。
  • 準委任契約は「行為の過程」、請負契約は「仕事の結果」に対して報酬を支払う。
  • 準委任契約→不課税文書、請負契約→2号文書(請負に関する契約書)
  • 保守契約は保守内容によっては課税文書として扱われる。

あくまで文書に書かれている内容で判断します。 「請負として扱われるような内容が書類に記載されている場合」に印紙が必要だということです。 その記載がないことでのちのち取引上のトラブルに発展したり、注文請書に書かれていなくてもそれに紐づく書類に印紙税法上請負として扱われるような記載があるとNGなので、 印紙税削減!などとあえて契約の詳細を記載しないということは避けた方が良いです。

収入印紙に関する節税の方法はまた今度w

今回はこの辺で。一会儿见!( ´ー`)ノ