Red Hat Enterprise Linux 9でlogrotateを使ってログファイルを1時間ごとにローテーションさせてみた

Red Hat Enterprise Linux 9でlogrotateを使ってログファイルを1時間ごとにローテーションさせてみた

Red Hat Enterprise Linux 9のlogrotateはcronではなく、systemd-timerで起動しています。
Clock Icon2023.09.07

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

こんにちは!AWS事業本部のおつまみです。

みなさん、 Red Hat Enterprise Linux9 で logrotate を使って、ログファイルを1時間ごとにローテーションさせたいと思ったことはありますか?私はあります。

logrotate は、ログファイルをローテーションし、必要に応じて圧縮などを行うツールです。
これを使うことで、「週次や月次でローテーションする」「ファイルサイズがある値を超えたらローテーションする」といったことができ、ログの肥大化を防ぐことができます。
Linuxに標準で備わっているツールのため、こちらを使用してログローテションしている方も多いと思います。

今回この機能を使って、ログファイルを1時間ごとにローテーションさせたいと思ったのですが、かなり苦戦しました。。
同じように悩んでいる方のために対処方法をシェアします。

いきなり結論

  • Red Hat Enterprise Linux 9 の logrotate はcronではなく、systemd-timerで起動している。
  • デフォルトでは、 logrotate は日次で起動するようになっている。
  • 1時間ごとにローテションさせるには、logrotate.timer内のOnCalendardailyからhourlyに変更し、デーモンを再起動する必要がある。

検証環境

  • Red Hat Enterprise Linux 9 (HVM), SSD Volume Type

背景

logrotate.d下にある設定ファイル/etc/logrotate.conf/etc/logrotate.d/tomcatを以下のように設定しました。

# see "man logrotate" for details

# global options do not affect preceding include directives

# rotate log files weekly
weekly

# keep 4 weeks worth of backlogs
rotate 4

# create new (empty) log files after rotating old ones
create

# use date as a suffix of the rotated file
dateext

# uncomment this if you want your log files compressed
#compress

# packages drop log rotation information into this directory
include /etc/logrotate.d

# system-specific logs may be also be configured here.
/var/log/tomcat/catalina.out
{
        hourly
        missingok
        rotate 24
        ifempty
        dateext
        compress
}

※ 今回は検証のため、catalina.outのみローテーションさせるように設定しています。

各パラメータの詳細について知りたい方はこちらの記事がわかりやすいので、ご参考ください。

ログローテートソフトウエア logrotate についてまとめ - Qiita

/etc/logrotate.d/tomcat内でhourlyで設定したため、1時間ごとにローテーションされるかなと思いきや、いつまで経ってもローテーションされませんでした。 ちなみにlogrotateは設定ファイルを変更しても、再起動などは不要です。

なお以下は確認済でした。

  • デバックモードでの起動logrotate -dv /etc/logrotate.confでerrorが出ないこと。
  • 手動での強制ローテーションlogrotate -f /etc/logrotate.confでは正常にローテーションされること。
  • 自動ローテーションの場合、日次でのローテーションは実行されている。

原因

原因は Red Hat Enterprise Linux 9 の logrotate の起動方法のデフォルトがcronからsystemd-timerに変わっており、logrotateのデフォルトの動作間隔がdailyであるためでした。
1つずつ解説していきます。

logrotateの起動方法について

logrotate はcronもしくはanacronから実行されていることが多いです。
色々なサイトを調べたところ、「cronで起動しています」と書かれていることがほとんどです。

しかし、Red Hat Enterprise Linux 9 以降はsystemd-timer を使い、logrotate が実行されるようになっていました。

そのためcron内にlogrotateの設定ファイルは含まれておらず、代わりに/usr/lib/systemd/system/logrotate.timer,logrotate.serviceが含まれるようになっています。
この設定ファイルを参照してlogrotateが動いているということですね。

logrotateのデフォルトの動作間隔について

/usr/lib/systemd/system/logrotate.timerを見てみます。

[Unit]
Description=Daily rotation of log files
Documentation=man:logrotate(8) man:logrotate.conf(5)

[Timer]
OnCalendar=daily
AccuracySec=1h
Persistent=true

[Install]
WantedBy=timers.target

OnCalendar=dailyとなっているため、日次で起動されることが初期設定となっていることがわかりました。

よって、logrotate の設定ファイル内でhourlyを指定したとしても、そもそも1時間毎にlogrotateが実行されないため、ログのローテーションは行われなかったというわけです。

ちなみに、systemd-timerで起動しているサービスはsystemctl list-timersコマンドで確認できます。

# sudo systemctl list-timers
NEXT                        LEFT          LAST                        PASSED       UNIT                         ACTIVATES
Thu 2023-09-07 12:53:34 JST 2min 32s left Thu 2023-09-07 12:48:34 JST 2min 27s ago nm-cloud-setup.timer         nm-cloud-setup.service
Thu 2023-09-07 14:23:18 JST 1h 32min left Thu 2023-09-07 12:43:03 JST 7min ago     dnf-makecache.timer          dnf-makecache.service
Fri 2023-09-08 00:00:00 JST 11h left      Thu 2023-09-07 00:00:00 JST 12h ago      logrotate.timer              logrotate.service
Fri 2023-09-08 08:14:51 JST 19h left      Thu 2023-09-07 08:14:51 JST 4h 36min ago systemd-tmpfiles-clean.timer systemd-tmpfiles-clean.service

logrotate.timerの実行が翌日になっているため、日次でしか起動されないことが確認できました。

対処方法

logrotate.timer内のOnCalendardailyからhourlyに変更し、デーモンを再起動させます。 以下のコマンドをroot権限、もしくはsudoをつけて実行してください。

1. まず設定ファイルを/etc/systemd/system/下にコピーします。

cp /usr/lib/systemd/system/logrotate.timer /etc/systemd/system/
cp /usr/lib/systemd/system/logrotate.service /etc/systemd/system/

2. /etc/systemd/system/logrotate.timerを編集します。

vi /etc/systemd/system/logrotate.timer
[Unit]
Description=Daily rotation of log files
Documentation=man:logrotate(8) man:logrotate.conf(5)
[Timer]
OnCalendar=daily
AccuracySec=1h
Persistent=true
[Install]
WantedBy=timers.target
[Unit]
Description=Daily rotation of log files
Documentation=man:logrotate(8) man:logrotate.conf(5)
[Timer]
OnCalendar=hourly
AccuracySec=1m
Persistent=true
[Install]
WantedBy=timers.target

OnCalendarに合わせてAccuracySecもローテーションの頻度に合わせて1時間から1分に変更しました。
この設定により指定した時間間隔から 1 分以内の適当なタイミングでローテーションが実行されるようになります。

3. デーモンの再起動とlogrotate.timerを有効にします。

systemctl daemon-reload
systemctl enable logrotate.timer

動作確認

systemctl list-timersコマンドで実行頻度を確認します。

sudo systemctl list-timers
NEXT                        LEFT          LAST                        PASSED       UNIT                         ACTIVATES                     
Thu 2023-09-07 04:45:59 UTC 1min 17s left Thu 2023-09-07 04:40:59 UTC 3min 42s ago nm-cloud-setup.timer         nm-cloud-setup.service
Thu 2023-09-07 05:00:00 UTC 15min left    Thu 2023-09-07 04:00:12 UTC 44min ago    logrotate.timer              logrotate.service
Thu 2023-09-07 05:18:57 UTC 34min left    Thu 2023-09-07 03:38:59 UTC 1h 5min ago  dnf-makecache.timer          dnf-makecache.service
Fri 2023-09-08 01:24:59 UTC 20h left      Thu 2023-09-07 01:24:59 UTC 3h 19min ago systemd-tmpfiles-clean.timer systemd-tmpfiles-clean.service

NEXTが翌日ではなく、当日になっているので問題なく設定されているようです!
そのまま時間になるまで待ちます。

ll /var/log/tomcat/catalina.out*
-rw-r--r--. 1 root root          0 Sep  7 05:00 catalina.out
-rw-r--r--. 1 root root         20 Sep  7 04:00 catalina.out-2023090705.gz

無事に自動でローテーションできていました!

おまけのQ&A

Q.systemd-timerの場合、時間を迎えたタイミングでOSが停止している時はOS起動のタイミングで再実行してくれる?

A.logrotate.timer内のパラメータPersistent=trueの場合は再実行してくれます。

こちら確認するためにEC2インスタンスを2時間ほど停止後、再実行させました。

systemctl list-timers
NEXT                        LEFT          LAST                        PASSED      UNIT                         ACTIVATES                     
Thu 2023-09-07 08:40:38 UTC 3min 42s left -                           -           nm-cloud-setup.timer         nm-cloud-setup.service
Thu 2023-09-07 08:50:38 UTC 13min left    -                           -           systemd-tmpfiles-clean.timer systemd-tmpfiles-clean.service
Thu 2023-09-07 09:00:00 UTC 23min left    Thu 2023-09-07 08:35:46 UTC 1min 9s ago logrotate.timer              logrotate.service
Thu 2023-09-07 09:09:07 UTC 32min left    -                           -           dnf-makecache.timer          dnf-makecache.service

4 timers listed.
Pass --all to see loaded but inactive timers, too.

ちょうど1分前に再起動しているので、ローテーションが実行されているようでした。
念の為ファイルも確認します。

cd /var/log/tomcat/
ll
-rw-r--r--. 1 root root          0 Sep  7 08:35 catalina.out
-rw-r--r--. 1 root root         20 Sep  7 04:00 catalina.out-2023090705.gz
-rw-r--r--. 1 root root         20 Sep  7 05:00 catalina.out-2023090708.gz

停止していた時間を除いて、再起動時にローションされていました。

これはlogrotate.timer内のパラメータPersistenttrueの場合は再実行してくれます。デフォルトではtrueになっていました。

trueを指定するとサービスユニットが最後に実行された時刻が保存され、タイマーが非アクディブで実行されなかったイベントがアクティブになった瞬間に実行されます。
つまり、停止していて実行されなかったイベントが起動と同時に実行されるようになります。ちなみにこのオプションを有効にするにはOnCalendarの指定が必要になります。

anacronでも実行履歴を確認して、未実行であれば実行してくれるという機能があるので、 systemd-timerでも同様の機能があるようでよかったです。

Q.オリジナルの/usr/lib/systemd/system/logrotate.timer とコピーされた/etc/systemd/system/ はバッティングしないのか?

A.同名の設定ファイルが設置された場合は、/etc/systemd/system フォルダの設定ファイルが優先されます。

「2つ設定ファイルがあると、どっちも有効にならないのか?」

と心配になりました。
しかし、心配ご無用。/usr/lib/systemd/system/etc/systemd/system に同名の設定ファイルが設置された場合は、/etc/systemd/systemフォルダの設定ファイルが優先されるようです。 つまり、/usr/lib/systemd/systemからファイルをコピーしてきて編集した場合は、編集後のファイルが優先されます。

下記の Red Hat Customer Potal に記載の通り、設定ファイルは/etc/systemd/system/下で作成、編集するのが通例なようです。

追記:SELinux有効な環境の場合、ローテートに失敗する

今回使用した環境の場合、デフォルトでSELinuxが有効になっていました。
SELinuxとはSecurity-Enhanced Linux の略で、Linux のセキュリティをより強固なものにするために使用される設定です。 下記コマンドgetenforceで有効化状態を確認できます。

getenforce
Enforcing
  • Enforcing:検知して拒絶する
  • Permissive:検知してログに書き込むが、拒絶まではしない
  • Disabled:無効。検知も拒絶もしない

SELinux有効の状態でlogrotate.serviceを確認したところエラーメッセージが出力されています。

systemctl status logrotate.service
× logrotate.service - Rotate log files
     Loaded: loaded (/etc/systemd/system/logrotate.service; static)
     Active: failed (Result: core-dump) since Fri 2023-09-08 13:00:02 JST; 38min ago
TriggeredBy: ● logrotate.timer
       Docs: man:logrotate(8)
             man:logrotate.conf(5)
    Process: 9973 ExecStart=/usr/sbin/logrotate /etc/logrotate.conf (code=dumped, signal=ABRT)
   Main PID: 9973 (code=dumped, signal=ABRT)
        CPU: 19ms

Sep 08 13:00:02 WSRTOMAPD01.awsweb.fancl.co.jp systemd[1]: Starting Rotate log files...
Sep 08 13:00:02 WSRTOMAPD01.awsweb.fancl.co.jp logrotate[9973]: error: cannot allocate memory [readConfigFile():1806]
Sep 08 13:00:02 WSRTOMAPD01.awsweb.fancl.co.jp logrotate[9973]: free(): double free detected in tcache 2
Sep 08 13:00:02 WSRTOMAPD01.awsweb.fancl.co.jp systemd-coredump[9975]: [🡕] Process 9973 (logrotate) of user 0 dumped core.
Sep 08 13:00:02 WSRTOMAPD01.awsweb.fancl.co.jp systemd[1]: logrotate.service: Main process exited, code=dumped, status=6/ABRT
Sep 08 13:00:02 WSRTOMAPD01.awsweb.fancl.co.jp systemd[1]: logrotate.service: Failed with result 'core-dump'.
Sep 08 13:00:02 WSRTOMAPD01.awsweb.fancl.co.jp systemd[1]: Failed to start Rotate log files.

エラーメッセージでぐぐったところ下記のサイトがヒットしました。

ログ出力しようとしているシンボリックリンクのセキュリティコンテキストのタイプがunlabeled_t:s0となっており、ラベル付けされていないことが原因でした。

ls -ldZ /var/log/tomcat/
drwxr-xr-x. 2 tomcat tomcat system_u:object_r:unlabeled_t:s0 4096 Sep  7 12:14 /var/log/tomcat/

そのため、semanage fcontext コマンドで、ファイルの SELinux コンテキストを変更し、ディレクトリのコンテキストを一括再設定(リストア)します。

sudo semanage fcontext -a -t tomcat_log_t "/var/log/tomcat(/.*)?"
sudo restorecon -R /var/log/tomcat/

これでローテーションが問題なく実行されるようになります。

さいごに

今回はRed Hat Enterprise Linux 9 で logrotateを使ってログファイルを1時間ごとにローテーションさせる方法をお伝えしました。

解決までに半日ほど時間がかかりましたが、無事解決できてよかったです!
同じように詰まっている方のお役に立てれば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました!

以上、おつまみ(@AWS11077)でした!

参考資料

ログローテートソフトウエア logrotate についてまとめ - Qiita

syslog に関する RHEL 9 cron.daily の質問 - Red Hat Customer Portal

systemd .timerについて調べた事を記事にしておく | そう備忘録

10.6. systemd のユニットファイルの作成および変更 Red Hat Enterprise Linux 7 | Red Hat Customer Portal

CentOS 7 における systemd のファイル・フォルダ構成 |

/usr/lib/systemd/system/と/etc/systemd/system/ - tsunokawaのはてなダイアリー

Fedora 33 (beta)でログがローテートされない落とし穴 - Qiita

SELinux有効でlogrotateによるログのローテートに失敗した話

Share this article

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.