S3イベントをトリガーにECS on Fargateでタスクを実行する

S3イベントをトリガーにECS on Fargateでタスクを実行する

Clock Icon2020.05.08

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S3イベントをトリガーに何かしらの処理を実行する際にはLambdaを使うのが便利ですが、処理時間やメモリなどの制約でLambdaが使えない場合にはECSやGlueといったサービスの利用を検討する必要があります。今回はその中でもECSを選び、S3イベントを元にECS on Fargateでタスクを実行させる場合について試してみました。 S3イベントをトリガーとして実行されるLambdaからECS on Fargateのタスクを実行するという流れです。

やってみる

S3にオブジェクトをPUTしたら、別の場所にオブジェクトをコピーするという処理を試してみます。この程度の軽い処理であればLambdaで良さそうですが、今回は試すことが目的なのでECSを使います。 ECRやECSの設定手順に関する説明は当エントリでは一部省略しています。以下のエントリが詳しいので、そちらをご覧ください。

ECRにコンテナイメージをプッシュする

指定したS3オブジェクトをコピーするPythonスクリプトを実行するコンテナイメージを作成し、ECRのリポジトリへプッシュします。

ECSからコンテナイメージを参照できるようにするために、ECRやDocker Hubなどにコンテナイメージをプッシュする必要があります。今回はECRを使うため、まずはマネジメントコンソールからECRでリポジトリを作成します。

ECRのリポジトリが作成できたら、ローカルでコンテナイメージをビルドします。 コンテナイメージを構成するDockerfileは次の通りです。

FROM python:3

WORKDIR /usr/src/app

COPY requirements.txt ./
RUN pip install --no-cache-dir -r requirements.txt

COPY script.py ./

CMD [ "python", "./script.py" ]

Pythonスクリプトは以下のような内容です。

import boto3
import os
from os import path

EVENT_BUCKET = os.environ["EVENT_BUCKET"]
EVENT_OBJECKT_KEY = os.environ["EVENT_OBJECKT_KEY"]

DESTINATION_BUCKET = os.environ["DESTINATION_BUCKET"]
DESTINATION_OBJECKT_DIR = os.environ["DESTINATION_OBJECKT_DIR"]

s3 = boto3.resource("s3")

destination_object_key = path.join(
    DESTINATION_OBJECKT_DIR, path.basename(EVENT_OBJECKT_KEY)
)
event_object = s3.Object(DESTINATION_BUCKET, destination_object_key)
event_object.copy({"Bucket": EVENT_BUCKET, "Key": EVENT_OBJECKT_KEY})

Pythonスクリプトの依存パッケージを記述したrequirements.txtは次の通りです。

boto3==1.13.4

コンテナイメージをビルドし、ECRのリポジトリへプッシュします。

aws ecr get-login-password --region ap-northeast-1 | docker login --username AWS --password-stdin {アカウントID}.dkr.ecr.ap-northeast-1.amazonaws.com
docker build -t python-worker .
docker tag python-worker:latest {アカウントID}.dkr.ecr.ap-northeast-1.amazonaws.com/python-worker:latest
docker push {アカウントID}.dkr.ecr.ap-northeast-1.amazonaws.com/python-worker:latest

ECSのタスク定義を作成する

ECSでタスク定義を作成します。Fargate互換を指定し、コンテナには先ほどプッシュしたイメージを設定します。今回の処理は簡単なものなので、基本的に全てデフォルト設定のまま利用し、CPUとメモリも最小のものを指定しています。

タスクの実行ロールを作成

ECSでのタスク定義の中でタスクの実行ロールを指定する必要があります。今回はS3のフルアクセス権限を持つ、次のようなIAMロールを作成しました。

ECSクラスタを作成する

Fargate用のテンプレートを元にECSクラスタを作成します。

設定はデフォルトのものをそのまま利用します。

Lambda関数を作成する

ECS側の設定が終わったので、次はLambda関数を作成します。 ランタイムにはPython 3.8を指定します。IAMロールは自動作成されるものを利用し、あとで必要な権限を追加します。

Lambda関数に次のスクリプトを設定します。 このスクリプは渡されたS3イベントを元にECSのタスクを実行するという内容です。S3イベントに含まれるバケットやキーなどの情報は環境変数として設定し、ECSタスクに渡しています。

import boto3
import os

ecs_client = boto3.client("ecs")

ECS_CLUSTER = os.environ["ECS_CLUSTER"]
TASK_DEFINITION = os.environ["TASK_DEFINITION"]
DESTINATION_BUCKET = os.environ["DESTINATION_BUCKET"]
DESTINATION_OBJECKT_DIR = os.environ["DESTINATION_OBJECKT_DIR"]
SUBNET_ID_1 = os.environ["SUBNET_ID_1"]

def lambda_handler(event, context):
    s3_event = event["Records"][0]["s3"]
    event_bucket = s3_event["bucket"]["name"]
    event_object_key = s3_event["object"]["key"]
    ecs_client.run_task(
        cluster=ECS_CLUSTER,
        launchType="FARGATE",
        networkConfiguration={
            "awsvpcConfiguration": {
                "subnets": [SUBNET_ID_1],
                "assignPublicIp": "ENABLED",
            }
        },
        overrides={
            "containerOverrides": [
                {
                    "name": "python-worker",
                    "environment": [
                        {"name": "EVENT_BUCKET", "value": event_bucket},
                        {"name": "EVENT_OBJECKT_KEY", "value": event_object_key},
                        {"name": "DESTINATION_BUCKET", "value": DESTINATION_BUCKET},
                        {"name": "DESTINATION_OBJECKT_DIR", "value": DESTINATION_OBJECKT_DIR},
                    ],
                },
            ],
        },
        taskDefinition=TASK_DEFINITION,
    )

環境変数を次のように設定します。

Lambda関数の実行ロールに権限を追加する

Lambda関数作成時に自動的に作成されたIAMロールだといくつか権限が不足しているので、インラインポリシーで権限を追加します。 Permissionsタブから実行ロールの設定画面に移動します。

インラインポリシーの追加画面に移動します。

以下の権限をそれぞれ追加します。

  • ecs:RunTask
  • iam:PassRole

トリガーを設定する

特定のパス配下にオブジェクトが生成されたら、Lambda関数が実行されるように、次のようなトリガーを設定します。

動作を確認する

Lambda関数の各種設定が終わり、設定内容を保存したら、S3にオブジェクトを保存し動作を確認してみます。

空ファイルを作成し、S3に保存します。

touch testobject
aws s3 cp testobject s3://{バケット名}/event-trigger-test/source/

2分くらい経つと、ECS on Fargateでのタスク実行が終わり、指定した場所にファイルが保存されています。

S3イベント -> Lambda関数 -> ECS on Fargateという流れで無事動き、S3オブジェクトがコピーされたことを確認できました。

さいごに

ECS on FargateでS3イベントに基づく処理を実行させる流れを試してみました。試している途中にEventBridge経由でECSタスクを直接起動する方法も見つけました。この方法だと、ECSタスクを起動するLambda関数を挟む必要がなく、今回試した方法より楽そうなのでまた試してみたいと思います。

参考

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