SchemaSpyで日本語カラム名を含むデータベースからER図を作成

SchemaSpyで日本語カラム名を含むデータベースからER図を作成

SchemaSpyは、データベースのドキュメント(ER図とテーブル定義)をHTML形式で簡単かつきれいに出力できます。 この記事では、SchemaSpy公式Dockerイメージを日本語化し、Docker環境があれば、ファイルを2つ用意するだけで使えます。
Clock Icon2020.05.07

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データアナリティクス事業本部の藤川です。データベースのドキュメントを納品するケースがあると思いますが、皆様はどのツールをお使いでしょうか?私はこれまで、EclipseでERMasterを使っていました。

最近、私が気に入っているのはSchemaSpyです。このツールは、ER図とテーブル定義を一度に出力してくれます。また、HTMLに出力してくれるので、Git等の構成管理ツールで差分を確認し易いというメリットがあります。

ローカルPC環境をできるだけクリーンにしておきたい私としては、Dockerで用意したいところです。ライブラリーをインストールしたり、バージョンが古くてアップデートしたり。納品間際は忙しいため、こういうツールは簡単にセットアップできると嬉しいですよね。

ところが、Docker版SchemaSpyは日本語対応していないため、日本語テーブル名やカラム名を持つデータベースでは、正しく日本語を出力できませんでした。そこで、SchemaSpy公式Dockerイメージを日本語化してみることにしました。

Dockerが稼働する環境があれば、ファイルを2つ用意していただくだけですので、是非お試しください。

SchemaSpyのご紹介は、SchemaSpyでデータベースのドキュメントを生成してみたApache AirflowのER図をSchemaSpyで自動生成するようにしてみたをご覧ください。

対象環境

  • Dockerが稼働するWindows/macOS/Linux等のマシン
  • SchemaSpy 6.1.x ※執筆時点

日本語カラム名を含むデータベースを用意

サンプルで利用できる日本語カラム名を含むデータベースが中々見つかりませんでした。ここでは、日本郵便様謹製の郵便番号データを使用させていただきました。今回は、JDBCドライバーがDockerイメージにバンドルされているPostgreSQLにテーブルを作成しました。
※カラム名が長すぎて、「表示」が「表」に切り詰められていますが、気にしないでください。

SchemaSpyをDockerで使用

SchemaSpyDocker HubにあるSchemaSpyの公式Dockerイメージを使用します。自前で用意しなければならないものは、次の3点です。

  • データベース
  • データベースへの接続情報
  • JDBCドライバー
  1. 作業用ファイルを格納するフォルダを作成してください。任意のフォルダ名で構いません。ここでは、schemaspyとします。この後、次のようなフォルダ構成を準備して行きます。
        schemaspy/ ← 任意のフォルダ名で構いません。
        ├── schemaspy.properties ← データベースへの接続情報
        └── output/ ← ここに、HTMLが出力されます。
            └── index.html
        

  2. データベースへの接続情報を用意してください。次表は一例です。

    項目名 プロパティ名 MS SQL Server PostgreSQL Amazon Redshift
    DBの種類 schemaspy.t mssql05 pgsql redshift
    ホスト名 schemaspy.host 172.17.0.2 172.17.0.2 examplecluster.*.ap-northeast-1.redshift.amazonaws.com
    ポート番号 schemaspy.port 1433 5432 5439
    データベース名 schemaspy.db Northwind dvdrental dev
    スキーマ名 schemaspy.s dbo public public
    ユーザ名 schemaspy.u SA postgres awsuser
    パスワード schemaspy.p <パスワード> <パスワード> <パスワード>
  3. 対応しているDBの種類については、この辺りこの辺りで確認しましょう。
    ※最新情報をWebで確認できないのは不便ですよね。また、次のコマンドでも確認できます。

        java -jar schemaspy-6.1.0.jar -dbhelp
        

  4. schemaspyフォルダ直下にschemaspy.propertiesファイルを作成し、データベースへの接続情報を記述してください。こちらも、任意のファイル名で構いません。後ほど、コマンドライン引数で指定します。

        vi ./schemaspy.properties
        
        schemaspy.dp=./drivers
        schemaspy.o=./output
    
        schemaspy.t=pgsql
        schemaspy.host=172.17.0.2
        schemaspy.port=5432
        schemaspy.db=dvdrental
        schemaspy.s=public
        schemaspy.u=postgres
        schemaspy.p=<パスワード>
        

  5. Dockerイメージに次のJDBCドライバーがバンドルされていますので、指定せずに進めます。

    ・jtds-1.3.1.jar
    ・mariadb-java-client-1.1.10.jar
    ・mysql-connector-java-6.0.6.jar
    ・postgresql-42.1.1.jre7.jar

  6. Dockerコンテナを起動します。

        docker run \
            --rm \
            --net=host \
            -v $PWD/output:/output \
            -v $PWD/schemaspy.properties:/schemaspy.properties \
            schemaspy/schemaspy:snapshot
        

  7. 処理が完了すると、ドキュメントが./outputフォルダに出力されます。index.htmlファイルをブラウザで開いてください。

  8. 出力結果のドキュメントを確認したところ、日本語が豆腐(文字化け)に!

    豆腐

日本語フォントをインストール

SchemaSpyの公式Dockerイメージには日本語フォントがインストールされていませんので、このままでは、日本語テーブル名/カラム名は文字化けしてしまいます。そこで、Dockerfileを用意して、Dockerイメージに日本語フォントをインストールします。ここでは、Google NotoフォントIPAexフォントを試してみました。

  1. schemaspyフォルダ直下にDockerfileファイルを作成します。
    ※ここでは、IPAexフォントを使用するDockerfileファイルのみご紹介します。

        schemaspy/
        ├── Dockerfile ← ここに作成します。
        ├── schemaspy.properties
        └── output/
            └── index.html
        
        vi ./Dockerfile
        
        FROM schemaspy/schemaspy:snapshot
        USER root
        WORKDIR /
        RUN apk update && \
            apk add --no-cache curl fontconfig && \
            mkdir download && \
            cd download && \
            curl -O https://ipafont.ipa.go.jp/IPAexfont/ipaexg00201.zip && \
            unzip ipaexg00201.zip && \
            mkdir -p /usr/share/fonts/truetype/ipa && \
            cp */*ttf /usr/share/fonts/truetype/ipa && \
            fc-cache -fv && \
            rm -rf download
        

  2. Dockerイメージを作成します。

        docker build -t schemaspy/japanese:ipaexg00201 .
        

  3. Dockerコンテナを起動して、SchemaSpyを実行します。

        docker run \
            --rm \
            --net=host \
            -v $PWD/output:/output \
            -v $PWD/schemaspy.properties:/schemaspy.properties \
            schemaspy/japanese:ipaexg00201
        

  4. ./outputフォルダの出力結果のドキュメントを確認します。

  5. Notoフォントでは、豆腐が消えましたが、文字列が表の枠をはみ出しています。

    日本語化?
  6. IPAexフォントでは、日本語がきれいに出力されました。さすが、Made in Japan!
    日本語化

さいごに

一度、Dockerイメージを作成すれば、docker runするだけで日本語化されたSchemaSpyを再利用可能です。また、別のデータベースに接続することになっても、Dockerイメージの外部にJDBCドライバーや接続情報を持っていますので、これらを差し替えるだけで簡単に切り替えできます。

  1. schemaspy.propertiesファイルを複数用意しておいて...
        schemaspy/
        ├── Dockerfile
        ├── config/
        │   ├── schemaspy-mssql.properties
        │   ├── schemaspy-pgsql.properties
        │   └── schemaspy-redshift.properties
        ├── drivers/
        │   ├── RedshiftJDBC42-no-awssdk-1.2.41.1065.jar
        │   ├── mssql-jdbc-8.2.0.jre8.jar
        │   └── postgresql-42.2.12.jar
        └── output/
            └── index.html
        

  2. 下記のように、使用するschemaspy.propertiesファイルをコマンドライン引数に指定するだけです。

        docker run \
            --rm \
            --net=host \
            -v $PWD/output:/output \
            -v $PWD/drivers:/drivers \
            -v $PWD/config/schemaspy-redshift.properties:/schemaspy.properties \
            schemaspy/japanese:ipaexg00201
        

  3. ./driversフォルダにJDBCドライバーを置くだけで、あらゆるデータベースに接続できます。

フォントのライセンスにご注意ください!

フォントを扱う際に注意しなければならないことは、フォントのライセンスです。商用利用、再配布、二次的著作物に該当しないか等。
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