Tableau Conference 2016 at Austin [レポート]キーノートセッション”Keynote – Bill Nye” #data16

2016.11.16

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はじめに

こんにちは、yokatsuki@オースティンです。

11/7から始まったTableau Conferenceも、11/11の午後実施されたキーノートセッションで終了となりました。あっという間でした。

今後、他のセッションのレポートや現地の様子などをお伝えする予定ですが、その前に、この終わったばかりのキーノートセッションについてお伝えします。

結論を先に行ってしまうと、本セッションの内容はTableauとはほぼ関係ありませんでした。雰囲気を感じ取って頂ければ幸いです。

セッション概要

タイトル

Keynote - Bill Nye

説明

Curiosity is the foundation of lifelong learning, but what does it look really look like? Curiosity is exploration put into action. And exploration—whether in outer space or data—is what truly drives learning. Bill Nye believes in the power of exploration. It’s through exploration that discoveries made by the human species expand the possibilities for future discoveries. So: what can your curiosity do?

時刻

2016/11/11(Thu) 13:45-14:45

会場

Austin Convention Center(ACC) 1F - Expo Hall 2-4

URL

https://tc16.tableau.com/learn/sessions/8578

ハッシュタグ

(なし) 関連タグとして @BillNye

予備知識:Bill Nyeって誰?

キーノートを担当される方なので、Tableau Conferenceのトップページに大きな顔写真が載っています。

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Bill Nye(ビル ナイ)は、Wikipediaによると、アメリカ合衆国の科学教育者、テレビ司会者、コメディアン、俳優、作家、科学者だそうです。

日本では名前が知られていないと思いますが、アメリカでは1993年から1998年まで"Bill Nye the Science Guy"という子供向け科学番組として全米に放送されていて、「アメリカ版でんじろう先生」のような立場の方です。だから、"The Scientist Guy"なんですね、と納得。

開場〜開演まで

会場はキーノートセッションやIron Viz Championshipが行われたExpo Hall 2-4です。キーノートセッションの前と同じように、ハッシュタグ#date16付きのtweetの内容や、各所で撮られた笑顔の写真が流れていました。

オープニングの前に、次回の会場発表

時間になったところで、まずBillではなく、女性の司会の方が現れました。

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そして振り返りとして、今まで行われてきたイベントの名場面を綴るダイジェストムービーが流れました。

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そして、次回の開催についての発表が行われました。

次回は2017/10/9-13、ラスベガスで実施されます。 去年はラスベガスだったので、お帰り!という感じでしょうか。

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この公開と同時に、登録ができるようになりました。

来年が待ちきれない方は申し込んでしまいましょう!

Bill Nye登場

さて、次回開催の興奮が醒めないところで、本命Billの登場です。 プロフィールが紹介され、キーノートのタイトルを"Bill Nye Save the World!!"と改めて、Billが登場しました。

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登場の際、先述のTV番組、Bill Nye the Science Guyのテーマソングが大音量で流れ、会場は音楽に合わせて"BILL!! BILL!! BILL!! BILL!!"と大盛り上がりでした。何これかっこいい。

Billの第一声は"Hello! Tablonians!"から始まりました。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-10

この後しばらく軽妙な語り口調で彼の様々なエピソードが笑いと共に語られるのですが、なかなかに沢山の予備知識が必要な話が多かったので、幾つか抜粋して紹介します。

ボーイング707の話

彼はシアトルのボーイングに務めていた事があるそうです。(詳細は上記Wikipedia)それに関連して、1950年代に行われた実話を紹介しました。

ちなみにボーイング707の特徴を説明する際に、この絵から tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-11

この絵に移るまで、 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-12

スライド操作のリモコンの電波が届かず、電波を求めてステージ上をウロウロとするのは素なのか仕込みなのか判断できませんでした。

こちらの話、ボーイング社が売り込みのためにデモ飛行を実施したのですが、その時操縦を担当したパイロット、Alvin "Tex" Johnstonが、予定していなかったバレルロール(きりもみ回転)を披露してしまいました。

これがその時の写真だそうです。 普通は翼の下にぶら下がっているジェットエンジンが、地面に対して上を向いています。 (最初Billはこれを上下逆に表示していて、後で反転させて笑いを誘っていました) tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-13

そのパイロットが言った言葉が「一度の実験は、千人の専門家の意見の価値がある」

Pintoの話

BillはFord社のPintoという車を持っていました。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-14

しかしこれはじつは自動車としては大変な失敗作で、リアバンパーの直ぐ近くに大きな燃料タンクが配置されているため、追突されると「めっちゃ危険」な構造になっています。

そこでNye教授は言います。 「デザインに時間を掛けよう」「良いデザインは良い使い方へ導く」 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-15

で、結果こうなると。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-16

(ちなみにこの時スタッフから、もっと離れたところからスライド操作できる別のリモコンを受け取って大喜びしていました)

次のスライドでは、デザインが一番下にある逆ピラミッドの絵で「(後工程になる程)お金やリソースが追加され、変更が困難になる」ということを示し、「良いデザインを最初に作ることが大事」と説いていました。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-17

地球温暖化の話

次に、話題はエネルギー問題に移りました。

2015年、観測史上最大の温暖化と言われていたのですが、 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-18

翌年の2016年はもっと温暖化が進みました。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-19

Bill自身も今年7月グリーンランドに行って、2マイル下の氷の中に閉じ込められた空気の二酸化炭素濃度から、地球温暖化の変化を追う活動に参加しました。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-20

その結果やはり地球温暖化が起きている事が観測されました。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-21

地球温暖化の理由はいくつかあるが、そのうちの一つがオゾン。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-22

次の理由は人口。 1965年、約30億人だった人口は、現在73.5億人まで膨れ上がっています。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-23

この、地球温暖化に関しては、様々な意見があり、異論も多くあるようです。

キリスト教の土台である聖書を護り弁明する団体のAnswers in Genesis(AiG)の代表であるKen Hamは逆の意見を唱えています。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-24

以前(2014年2月)、彼と科学、進化論について公開討論したことがあるそうで、 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-25

その後、反対派からはだいぶ叩かれたことがあったそうです。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-26

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しかし、現実として洪水等の自然災害は多数発生していて、これに対しては早急に手を打たなければいけません。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-28

現在、アメリカではエネルギーの100%を自然なもの(風力、水力、太陽光)に移行するプロジェクトが走っています。これによってエネルギー問題だけでなく、雇用の創出も狙っています。

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テキサスは現在、10%を風力で賄っています。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-30

2050年までにミックス電力100%と、40年間継続する雇用を創出する事を目標にしています。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-31

ここまでの話を通して彼は、地球温暖化やそこから引き起こされる災害を防ぐために、イノベーションが必要であることを説いていました。

技術の進化(両親と祖父の時代を比較して)

ここでは彼は個人的な話を含めて、世界を良い方に変えなければいけない、と力説します。

Billのお父さんは1940年にお母さんと結婚しましたが、当時彼女は海軍の暗号解読に携わっており、 お父さんより稼ぎが良かったそうです。(写真矢印がお母さん)

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そこでお父さんは軍人としてハワイの近辺の島に行き、そこで捕虜となり上海と福岡で過ごした時期があったそうです。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-33

彼の両親のお墓が紹介されていました。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-34

さて、彼のお爺さんもまた軍人として第一次世界大戦に参戦していたそうで、その際には馬に乗って戦って言いました。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-35

それからたった20年、第2次世界大戦の時には戦車になった、全てが変わってしまいました。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-36

「世界は変わる、変えることができる」というキーワードがこのエピソードで良く使われていました。

未来の為に

そして前の話を受けて最後のトピック、未来に向けて必要なもの、そしてどのように未来を変えていくか、ということを彼なりの解釈で伝えていました。キーワードは3つ。

きれいな水の確保 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-37

自然エネルギーの利用 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-38

情報技術の活用 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-39

そして、「夢は実現する」の例として、1976年に天文学者Carl Saganが当時のTV番組で語っていた、ソーラーセイルについて触れました。 (ちなみにBillはコーネル大学で彼の天文学を受講したことがあります) tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-40

このソーラーセイルが2015年に初めて現実となりました。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-41

そして、小惑星からサンプルを持ち帰る計画"OSIRIS-REx"も進んでいます。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-42

更に、火星では水の流れが観測されています。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-43

Billも宇宙開発に関わっていて、2001年に使われた火星探査機のソーラーパネル調整機器の開発に携わった総です。それが展示されている博物館のパネルに"Joy of Discovery"の文字を残しています。これはTableauの思想と同じです。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-44

最後に、壮大な宇宙と、そこに浮かぶ小さな地球をスクリーンに表示しながらBillは語りました。

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「私たちは現在も宇宙を探検しています。その結果は私たちにより良いものをもたらします。」

「あなたの情熱が、世界を変えるのです!」

「この小さな脳みそで変えることができるのです!」

「世界を!変えていきましょう!」

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そして盛大なスタンディングオベーションと共に、1時間強のキーノートは終了しました。 tableau-conference-2016-at-austin-keynote-bill-nye-47

セッションを終えて感想

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冒頭でも伝えた通り、内容はTableauと直接関係無い話でしたが、実に楽しい語りの情熱的なキーノートセッションでした。未来志向でまとめたところも、最後を締めくくるに適していたと思いました。

来年のキーノートセッションは、誰がどのような内容で話すのでしょうか。弊社から誰が参加するかは(当然ですが)全く決まっていませんが、現地レポート楽しみにしたいと思います。それでは、また。