今密かに話題の「Scientific Linux」とは?

去る2019年4月22日、悲しいニュースが発表されました。 しかしこの機に、認知を広めたいなと思いお話しさせて貰います。 そんな奴の名は、「Scientific Linux」。
2019.04.26

2019年4月22日、個人的に悲しいニュースが耳に入ってきました。

Toward that end, we will deploy CentOS 8 in our scientific computing environments rather than develop Scientific Linux 8.

Scientific Linuxの、 事実上の開発終了 がフェルミ研究所から発表されました。 フェルミ研究所からの発表の全文はこちらから読む事ができます。

思わずショックで挨拶もいらすとや遊びも忘れて本題に入ってしまいました。AWS事業本部のしろたです。
学生時代にお世話になっていたLinuxがもう開発されなくなると聞いて、時代や研究の流れが変わっていくノスタルジーに飲まれかけてしまいました。

Scientific Linux?聞いた事ないぞ? 」「 そんなLinuxあったの? 」
と思われた方もいらっしゃると思うので、この機に Scientific Linuxの名前だけでも 皆様の心に刻んで頂けると嬉しいです。

Scientific Linuxとは?

Scientific Linux(サイエンティフィック・リナックス)は、フェルミ国立加速器研究所(Fermi National Accelerator Laboratory、以下フェルミ研究所)によるLinuxディストリビューション。Red Hat Enterprise Linux(RHEL)をベースとしており、高い互換性を持つ。SLと略されることが多い。


Wikipediaから引用させて頂きました。SLと略すのは知らなかったです。
Scientific LinuxはRHELのクローンであり、他に有名なRHELのクローンと言うとCentOS Oracle Linuxがあります。
かつて、CentOS6の開発が遅れていた時に代替としてScientific Linux6を検討したと言う経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特徴と言いますと研究用にクラスターを組み使用する為に開発されている事から、

  • 研究用途のアプリケーションの導入がし易い(パッケージとして入っているものがある)
  • 起動が早い
  • サポート期間が長い(RHELと同等の長さ)


と言う点が挙げられます。

フェルミ研究所とは?

正式名称は「 フェルミ国立加速器研究所 」と言う、アメリカにある高エネルギー物理学の研究所です。
主にどのような研究をしている場所かと言いますと、大きな加速器(以下の画像参照)を用いて現状最も小さな物質を研究している場所です。

▲奥の円が「テバトロン」と言われる大型の加速器

AWS上では使えるの?

現在(2019年4月26日)は使えません。

実は以前、Scientific LinuxのAMIがAWS Marketplaceにあったようですが、現在そのページは無くなっていました。

今から触ってみるとしたら、VirturalBoxやVMWareと言った仮想マシンにイメージファイル(iso)からダウンロードする事でScientific Linuxを触る事ができます。

どこでダウンロードできるの?

Scientific Linuxの公式サイトに各バージョンのイメージファイルが置いてあるダウンロードページがあります。

今後はどうなっていくの?

冒頭に記載いたしました、フェルミ研究所からの発表には以下のような文章が続いていました。

We will collaborate with CERN and other labs to help make CentOS an even better platform for high-energy physics computing.


今後は、CERN(以前、ヒッグス粒子発見の時に話題になった研究機関)やその他の研究所の人たちとCentOSで、より良い高エネルギー物理学の為のプラットフォームを開発していくそうです。
実は、元々のScientific Linux自体がCERNとフェルミ研究所のLinux開発プロジェクトが併合された結果生まれたものだったので、今後も高エネルギー物理学の分野で使いやすいLinux環境は無くならないだろうと予測されます。

Fermilab will continue to support Scientific Linux 6 and 7 through the remainder of their respective lifecycles. Thank you to all who have contributed to Scientific Linux and who continue to do so.


また現在公開されているScientific Linuxの6,7については、今後もライフサイクルに則ってサポートは継続すると明記されていたのでこちらも暫くは安心ですね。

今までありがとう、Scientific Linux!

▲Scientific Linuxロゴのデザインは原子の構造といったところでしょうか


私がお世話になったのはScientific Linux6だったと記憶しております。初めて触ったLinuxでした。
Scientific Linuxも俗に言うコードネームというものがあって(MacOSだと「Mojave」、Windowsだと「Redstone」、Androidだとお菓子の名前がつけられる事が有名だったりしますね)、4系からはその数字に対応した元素名がつけられていました。つまり私がお世話になったScientific Linuxのコードネームは……もうお分かりですね?
そう、 Carbon(炭素) です。めっちゃ圧縮された炭素とか、好きな方も多いアレです。
開発が終了したと言ってもこれからも研究に使いやすいOSの開発は続くし、まだまだ現存のScientific Linuxのサポートは終わりません。
RHELと同じサポート期間とすると、6系は 2021年 、7系は 2024年 まではサポートが続くと考えられます。
この機にScientific Linuxの名前だけでも覚えて、と冒頭に記しましたが折角の 無償 なのでこの機に触ってみてはいかがでしょうか?
私も折角なので、触ったことのないScientific Linux7を触ってみようかなと思います。