とりあえずとノリと勢いだけで海外登壇してみた
この記事はエンジニアと人生 #1 Advent Calendar 2023の8日目の記事です。
はじめに
11月の終わりから12月頭にかけて、アルゼンチンで開催されたiOS国際カンファレンスにて人生で初めて海外登壇をしてきました。
ノリと勢いと色々な人々のサポートのお陰で達成した海外登壇に至るまでの道のりを紹介していきます。
参加したアルゼンチンのカンファレンスの模様
Day1
This is Swiftable - Day 1 🧉 🇦🇷 pic.twitter.com/0PGNXhkXNP
— BA: Swiftable (@baswiftable) December 1, 2023
Day2
Day 2 @baswiftable and some snapshots of the speakers' dinner 🤩 pic.twitter.com/bunivtAv1e
— BA: Swiftable (@baswiftable) December 3, 2023
海外カンファレンスにプロポーザルを出すだけの目標
海外登壇をするとなった経緯を振り返ってみると、今年の9月3日に「とりあえず海外のカンファレンスにプロポーザルを出す」という目標を立てていることが分かりました。
今年の目標は、とりあえず海外のカンファレンスにプロポーザルを出してみるになりました。
— リルオッサ (@littleossa) September 3, 2023
時期的に日本最大級のiOSカンファレンス iOSDC Japan 2023のDay2が終わった頃だと思われます。
9月3日のiOSDCのLTでフレディさんが海外登壇へのプロポーザルの出し方や登壇までの準備方法などを紹介してくれています。
(実はこのLTの後、話を聞きに行こうと思ってAsk the speaker会場まで行ったのですが、緊張して話しかけれなかったという裏話)
この発表を見終わった後、面白そうなので「とりあえず海外のカンファレンスにプロポーザルを出そう」と決意しました。
なぜ、とりあえずなのかと言いますと、プロポーザルを出すだけなら私にでも出来そうと感じたからです。なぜなら出すだけだからです。それ以上でもそれ以下でもありません。
プロポーザルを出すだけの目標なので採択されるつもりもなく採択後の事も考える必要がありません。この目標のお陰で、その先のことを心配してしまいプロポーザルを出す事に躊躇するという事もなく気軽に海外カンファレンスにプロポーザルを出すことが出来ます。
スピーカーを募集しているカンファレンスを調査
プロポーザルを出すためには、スピーカーを公募しているカンファレンスを調べる必要があります。
海外登壇をされている堤修一さんのスライドをみて、応募方法を調べました。
iOS conferenceと2023とcall forでググってみればいいことが分かりました。
しかし、調べてみたもののあまり良い結果が得られませんでした。なぜなら、調査開始が9月なので2023年内でいうと既にカンファレンス自体が終了していたり、プロポーザル受付を締め切っていたりしていたからです。
そんな中、私が参加しているコミニュティ内でフレディさんがアルゼンチンのiOSカンファレンス Swiftable 2023でプロポーザルを募集していることを教えてくれました。
ついに目標を達成できる場所が発見出来ました。あとは、プロポーザルを出せば目標達成です!
プロポーザルの内容を検討
堤修一さんの海外登壇についての発表や
フレディさんのCfP対策の発表をチェックします。
- iOSDC Japan 2020: Step to the stage of Conference ~スピーカーとして立つためのCfP Tips~
- 輝け俺のViewController 〜海外iOSカンファレンス登壇編〜
発表したい内容は特に思い浮かばなかったのですが、iOSDC 2023のMiwaさんのiOSのKeyboard Extensionで日本語入力できるキーボードアプリを作ろう!の発表を見た際、作りたいアプリのアイデアが思いついていました。
セッション参加中には、次に作りたいもののアイデアが思いつき、脳汁が沢山出ていました。
引用: 【iOSDC Japan 2023 レポート】「iOSのKeyboard Extensionで日本語入力できるキーボードアプリを作ろう!」を聞いてきた。
ということで、思いついたアイデアは技術的には実現出来そう?だったのでそれをベースにプロポーザル作成をすることにしました。
今回作成したプロポーザルは、2本でした。
- The Widget Revolution
- ウィジェットの新たな可能性を探求する
- The World of SF Symbols Art
- なんとしてでも普及したいSF Symbolsアートの世界
海外のカンファレンスなので、もちろんプロポーザルは英語で作成します。しかし、英語が分からなくても問題ありません。ChatGPTに「かっこいい魅力的な英語で表現してください」と伝えると、魅力的に変換してくれます。
プロポーザルのレビュー
振り返ってみると、9月13日に作成したプロポーザルを出していました。プロポーザルを出すという目標を立ててから10日後の事です。
参加しているコミュニティのSlackでプロポーザルを出したことを投稿すると、フレディさんが「プロポーザルの添削しますよ〜」と声をかけてくださり、お言葉に甘えて添削していただきました。
添削した内容で再度プロポーザルを出しました。これで目標達成です。お疲れ様でした。
忘れた頃に採択通知
プロポーザルを出すのが目標だった為、完全に忘れていましたがSwiftableからプロポーザルの仮採択通知が届きました。
なぜ、仮採択なのかと言いますと、元々は旅費や宿泊費は出るとの記載はあったのですが、主催者から「旅費や宿泊費はカバーできそうでしょうか?」という連絡が届き、それが問題無いなら採択になるとのことでした。
この件について、クラスメソッド内で相談したところ、快く海外登壇の全面サポートをしてくださるという回答をいただきました。本当にありがとうございました。
会社の支援もあり、無事にプロポーザルが採択されました。この本採択が10月24日です。カンファレンス初日の11月30日までの日数を計算すると、準備期間は37日。
色々と初めてのことが一気にのし掛かってきます。
- 南アメリカ
- アルゼンチン
- 海外カンファレンス参加
- 英語スピーチ
- 海外一人旅
ここで初めて現実に直面してあわわします。
海外登壇の準備~登壇
11月30日の海外登壇に向けて準備を進めていきます。
10月24日
手元に有効期限内のパスポートが無いので更新手続きに行きました。
10月25日~10月29日
登壇するカンファレンスについて何も把握してなかった為、Swiftableのことやアルゼンチンへの行き方や言語、カルチャーについて調べました。
10月30日
アルゼンチン行きの航空券とホテルを手配。アメリカを経由すると、ESTA申請の手間が発生するのと料金がやや高くなる為、今回は羽田🇯🇵→ローマ🇮🇹→ブエノスアイレス🇦🇷というルートにしました。
10月31日~11月13日
アルゼンチン渡航の準備が整ったので資料作成開始。
しかし、今回採択されたプロポーザルは、The Widget Revolutionでこの発表にはサンプルアプリが不可欠な為、資料より先にアプリの作成を開始します。
「技術的には可能だろう」と頭にあったアイデアを試行錯誤しながら形にしていきます。途中、発表とは関係ない箇所にこだわりを出したりして無駄に時間が過ぎます。
サンプルアプリが完成した時点で、イベントまで残り17日。日本出発までは14日。登壇資料の進捗は0です。
11月14日~11月23日
登壇資料の作成をします。Swiftableの過去の発表を見たり、海外カンファレンスの発表を見たり、WWDCのセッションを見たりして、スライドの方向性を決めます。
登壇資料と共に発表者ノートも一語一句しっかり埋めます。
11月23日(祝日)に知り合いのネイティブ英語スピーカーの方に、資料の英語と発表時の発音の確認をしてもらう為、アポイントを取っておきました。なので、それまでには必ず終わらせる必要がありましたが、ギリギリ23日の早朝に資料が完成しました。
11月23日
非エンジニアのネイティブ英語スピーカーのお知り合いに「このユーモアはちょっと分からないから消しておくね」と厳しい指摘を受けながら資料を添削していただきました。 発表も実際に聞いていただき、「プログラミングについては分からないけど、内容は理解出来た。」と合格をいただき、少し気持ちが楽になりました。
11月24日~11月26日
日本出発まで残り3日。
やっと登壇資料が完成したので、アルゼンチンの歩き方的なことを調査。主に通貨や治安、グルメについて調べたりしました。出発目前にして旅行の準備を進めることになってしまい、結局は準備時間が無く東京に行くような軽い荷物と気持ちでアルゼンチンに向かう事になります。
11月27日
日本出発の日。
登壇時間が30分だと思っていたら、持ち時間が30分なだけで、登壇25分、Q&Aセッションが5分ということを知り、発表を短縮しなければいけない現実に直面します。
11月27日~11月28日
日本からアルゼンチンまでの合計フライト時間が30時間だった為、飛行機の中で、資料を添削しては読んで、添削しては読んでをひたすら繰り返します。
11月30日
発表当日の朝、やっと発表が25分に収まる。
登壇前の最後の練習、25分におさまった。あとは楽しむだけだ。
— リルオッサ (@littleossa) November 30, 2023
そして、発表は無事に終わりました。
登壇資料
まとめ
とりあえずプロポーザルを出す駆動から始まり、突然のプロポーザル採択通知、準備期間はとてもタイトなスケジュールでしたがノリと勢いと色々な方のサポートのお陰でなんとか乗り切ることが出来ました。
発表後には、沢山の方に声をかけて頂いたり、実際に作ったサンプルアプリをダウンロードしてくれている人がいたり、「アプリのアイデアが思いついたから聞いてくれない?」と相談してくれる方がいたり、とても充実した空間を過ごすことが出来ました。
またスピーカーとして参加したことで、普段使っているアプリのエンジニアや有名なエンジニアの方、様々な国や背景を持つエンジニアと交流ができてとても楽しかったです。
9月の時点ではこうなることは全く予想していなかったのですが、とりあえずで出したプロポーザルのお陰で今回のような貴重な体験をすることが出来ました。
是非オススメなので、とりあえず、ノリと勢い駆動登壇を試してみてください。
反省点
- スペイン語の勉強不足
- アルゼンチンの公用語はスペイン語で現地の人には基本的にはスペイン語しか通じない為、とても苦労した
- 英語全然分からない
- 1対1で話をしている時は、相手方も配慮してくれるので5割くらいは理解出来るのですが、ネイティブ英語スピーカー同士の会話になると全く何言っているか分からないので雰囲気だけを楽しむ事に
- 発表時にフルカンニングペーパー
- 誰一人カンニングペーパー見ながら登壇している人はいなかったので、次は堂々と発表したい
参考
カンファレンスの参加レポートはこちらから。
- 地球の裏側アルゼンチンのiOS技術カンファレンス Swiftable 2023 参加レポート (前夜祭 ~ DAY 1)
- 地球の裏側アルゼンチンのiOS技術カンファレンス Swiftable 2023 参加レポート (DAY 2)
おわりに
アルゼンチンで交流した方達と「次はtry! Swift Tokyoで会おう!」とノリで約束してしまったので、そろそろチケット買います。