ゲートウェイ型 VPC エンドポイントが S3・DynamoDB だけな理由を考察してみた

ゲートウェイ型 VPC エンドポイントが S3・DynamoDB だけな理由を考察してみた

VPC エンドポイントの「ゲートウェイ型」と「インターフェース型」について、なぜ S3・DynamoDB だけが特別扱いなのか、その仕組みの違いと背景を調べてまとめました。丸暗記していた知識が、仕組みから納得感を持って理解できます。
2026.07.08

はじめに

こんにちは。クラスメソッドオペレーションズの目取眞です。

AWS の VPC エンドポイントについて調べていたところ、「ゲートウェイ型」と「インターフェース型」の代表的な 2 種類があり、ゲートウェイ型を使えるサービスが S3 と DynamoDB の 2 つだけ という点が気になりました。

「なぜこの 2 つだけ特別扱いなのか?」「そもそも両者の仕組みは何が違うのか?」という疑問を調べてまとめてみたので、同じように気になった方の参考になれば幸いです。

本記事では、AWS サービスへのプライベートアクセスでよく比較されるゲートウェイ型 VPC エンドポイントとインターフェース型 VPC エンドポイントに絞って説明します。なお、VPC エンドポイント全体としては Gateway Load Balancer エンドポイントやリソースエンドポイントなど他のタイプも存在します。

1. AWS の VPC エンドポイントのうち代表的な 2 種類

VPC 内のリソースが、インターネットを経由せずに VPC 外の AWS サービスと通信するための仕組みが VPC エンドポイントです。代表的なのは次の 2 タイプです。

タイプ 対象サービス 料金 実現方式
ゲートウェイ型 S3・DynamoDB のみ 無料 ルートテーブルにルートを追加
インターフェース型 S3・DynamoDB を含む AWS の多数のサービスおよび SaaS 有料(エンドポイント単位+データ量) ENI を作成

ここが最初に疑問だったポイントです。両者の目的の違いを整理すると理解しやすくなりました。

  • ゲートウェイ型:VPC の中に新しい入り口を作るのではなく、既存のルートテーブルに新しいルートを付け加えるだけ。 DNS を書き換える方式ではなく、S3・DynamoDB のパブリック IP アドレス範囲宛ての通信を、ルートテーブルで VPC エンドポイントへ向ける方式。そのため、通信はインターネットを経由せず AWS 内部ネットワークを通る。

  • インターフェース型:VPC の外にあるサービスを、あたかも VPC の中にあるかのように見せたい仕組み。そのために ENI を作り、プライベート IP アドレスでアクセスできるようにする必要があり、この「VPC 内外を安全にトンネリングする」役割を担うのが、AWS が提供するプライベート接続サービスである PrivateLink。なお、プライベート DNS の利用可否や挙動はサービスごとに異なる。

つまりゲートウェイ型は「VPC 内に仮想的な接続口を作る」のではなく「ルートテーブルにルートを追加する」だけなので、PrivateLink という技術自体が不要になります。

3. なぜ S3・DynamoDB だけが対象になったのか(考察)

観点 内容
サービスの位置づけ S3・DynamoDB は AWS の中でも歴史が古く、他の多くのサービスの基盤としても使われる利用頻度の高いサービス。
通信コストの課題 NAT ゲートウェイ経由でアクセスすると、データ処理料金(GB 単位)が発生する。特に S3・DynamoDB は大容量データ転送や高頻度アクセスが多く、コストインパクトが大きい。
実装のシンプルさ ルートテーブル方式はサービスごとに専用の AWS マネージドプレフィックスリスト管理が必要で、汎用的にどんなサービスにも展開しやすい仕組みではない。

この 3 点から、実装をシンプルに保てる範囲で「最も利用量が多く、コストメリットが出やすい 2 サービス」に絞って、無料・低コストで提供できるゲートウェイ型が先に用意された、という流れだったと考えられます。

なお、S3 のゲートウェイエンドポイントは 2015 年 5 月にリリースされていますが、それ以前は、プライベートサブネットから S3・DynamoDB にアクセスするには、NAT インスタンスを経由してインターネット経由でアクセスするしかありませんでした。無料で使える直接ルートが用意されたことで、通信コストを抑える選択肢が生まれたと言えそうです。

一方でその他の多数のサービスは、後発のインターフェース型が汎用的な接続方式としてカバーする形になりました。

4. 後からインターフェース型にも対応した

実は S3・DynamoDB は「ゲートウェイ型専用」だった時期があり、後からインターフェース型にも対応しています。

サービス インターフェース型対応時期
S3 2021 年 2 月
DynamoDB 2024 年 3 月

これにより、オンプレミスネットワークや他リージョンの VPC、Transit Gateway 経由でも S3・DynamoDB にプライベート接続できるようになりました。ゲートウェイ型では対応できなかったユースケースを、インターフェース型が補完している形です。

まとめ

疑問 答え
ゲートウェイ型はなぜ PrivateLink 不要? ENI を作らず、ルートテーブルにルートを追加するだけの仕組みだから。
なぜ S3・DynamoDB だけ対象? 利用頻度・データ転送量が特に大きく、コストメリットが出やすかったからだと考えられる。(考察)
他のサービスは使えないの? 不可。その他のサービスは有料のインターフェース型でカバー。
今は S3・DynamoDB もインターフェース型を使える? 可。(S3 は 2021 年 2 月、DynamoDB は 2024 年 3 月より対応)

「無料だから」「対象が 2 つだけだから」と丸暗記していた部分が、仕組みの違いから納得感を持って理解できました。なお、選べるのはあくまで S3・DynamoDB の場合だけで、それ以外のサービスは最初からインターフェース型一択です。その上で S3・DynamoDB についてゲートウェイ型とインターフェース型のどちらを使うか迷ったときは、「同じ VPC 内のリソースからのアクセスだけで完結するか、それともオンプレミスや他リージョン、Transit Gateway 経由でのアクセスも必要か」を確認するとよいでしょう。

参考リンク

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