[アップデート] AWS Well-Architected Tool のダッシュボードが新しくなり、全ワークロードを統合した問題や改善計画項目の参照と統合レポートの生成が出来るようになりました
いわさです。
本日のアップデートで AWS Well-Architected Tool のダッシュボードが新しくなりました。
従来のダッシュボードでは複数ワークロードのレビュー状況のサマリのみ確認が出来ていたのですが、新しいダッシュボードでは複数ワークロードを統合した問題や改善項目の対策状況などを統合的に参照出来るビューがいくつか追加され、統合レポートの出力も出来るようになりました。
また、ワークロード一覧画面の検索機能もアップデートされているようですのでそちらも確認してみましょう。
ダッシュボード
従来のダッシュボード
アップデート前は次のように全体ワークロードとマイルストーンが一覧になっており、それぞれのリスク数の合計が確認出来るところまででした。
ダッシュボード - AWS Well-Architected Tool より引用
新しいダッシュボード
新しいダッシュボードでは全体ワークロードの数とリスク数に加えて、柱ごと・ワークロードごと・改善計画項目ごとと、いくつかの軸を変えて統計情報されたリスク情報を確認出来るようになりました。
柱ごとの問題
柱ごとに全ワークロードのリスク合計を可視化したものです。
ワークロードに関わらない傾向として例えばセキュリティの柱に問題が多いなど、Well-Architected は同じ設計者であれば同じ問題を抱えやすいと思いますので、複数ワークロードをまとめて柱や問題ごとに確認出来るのは良いですね。
ワークロードあたりの問題
こちらは従来と同様にワークロードごとに問題の合計数を確認することが出来ますが、こちらでも柱ごとにどの程度のリスクがあるかを把握出来るようになっているので従来よりもこの画面だけでどういう傾向にあるのか俯瞰出来るようになっています。
改善計画項目別の問題
こちらは全ワークロードを問題を改善計画項目別に集計したものです。
柱ごと、リスクレベルごとにフィルタリング出来るので、先程の柱ごとの問題よりももう一段階掘り下げた分析が出来そうです。
共有ワークロード
AWS Well-Architected Tool を使う際には他の AWS アカウントのワークロードを分析することが多いと思います。
その際にワークロード定義自体は存在しているアカウント上で行った上で回答や参照用のアカウントに共有する機能があります。
今回のダッシュボードでは以下のチェックボックスを ON にすると、共有されたワークロードも統計に含めることが出来ます。
本日時点では Well-Architected Framework レンズのみ
AWS Well-Architected Tool でワークロードを定義する際にはレンズを選択します。
通常は Well-Architected Framework ですが、ワークロードの種類のよっては複数のレンズを選択する場合があります。
残念ながら本日時点ではこのダッシュボードでは Well-Architected Framework レンズのみの情報を含めることが出来ます。
柱ごとの問題の上部に注意書きがされていますね。
例えば私はよく SaaS Lens を使うので、次のように Well-Architected Framework と SaaS Lens を対象としたワークロードを定義することが多いです。
統計ダッシュボードを見てみると、対象ワークロードに適用されているレンズは 2 つだと表示されていますが、問題の合計を見ると SaaS Lens の問題は除外されていることがわかります。
統合レポート
統合レポートを出力する機能が追加されました。
これまでもワークロードごとのレポート機能はありましたが、先程のダッシュボード相当の概要レベルの情報を出力出来るレポートになっています。
以下は柱ごとの問題の数です。
グラフは無いですが数値は同じものが出力されていますね。
また、こちらもやはり SaaS Lens やカスタムレンズなどは除外されているようです。
ワークロードあたりの問題、改善計画項目別の問題も先程のダッシュボードと同じです。
個別のワークロードレポートの場合は設問毎の回答内容や推奨事項も出力されるので、このレポートではあくまでも統計用のレポートという位置づけのようです。
検索機能の向上
アップデートアナウンスによると検索機能がアップデートされたという情報もありましたのでこちらも見てみました。
Well-Architected Tool で検索出来るのはワークロード一覧画面でのワークロード検索です。
従来の検索
正直以前の画面で検索はしたことなかったのですが、いくつかの資料を見てみるとどうやら以前は次のようにワークロード名でのみ検索が出来たようです。
新発表 – AWS Well-Architected Tool – クラウドベストプラクティスのレビューツール | Amazon Web Services ブログ より引用
新しい検索
従来のワークロード名に加えて、所有者(AWS アカウント ID)・ワークロード ID・ワークロード ARN でも検索出来るようになったようです。
次は外部から共有されているワークロードを AWS アカウント ID で検索した状態です。
ワークロードは通常の AWS リソースと同様に固有の ID や ARN が割り当てられています。
事前に ID がわかっていれば次のようにフィルタリングすることが出来ます。
さいごに
本日は AWS Well-Architected Tool のダッシュボードが新しくなったので確認してみました。
多くのワークロードを対象に Well-Architected Tool で管理やレビューをしている方にはとても良いアップデートではないでしょうか。
また、組織全体の Well-Architected 対応状況が俯瞰出来る感じで良いですね。
個人的には SaaS Lens をはじめとするその他のレンズも対応してもらえると嬉しいので、今後のアップデートに期待したいところです。