Amazon EFS アーカイブストレージクラスの利用をはじめる前に知っておきたい利用費のこと

S3のライフサイクルでの移行コストと同じ感じです。
2024.02.27

Amazon EFS のアーカイブストレージクラスの利用開始前に知っておきたい利用費について紹介します。

伝えたいこと早見

既存の EFS に対してライフサイクル管理の設定で「アーカイブへの移行」を設定を追加するときの考慮事項

  • ストレージクラス間の移行
    • 「アーカイブへの移行」を設定すると既に設定期間を経過しているデータはストレージクラス間の移行が同日中に実行されます
  • 単発で発生するデータ移行コストに注意
    • ストレージクラス間の移行対象のデータサイズが大きいと、ある程度大きな利用費になるので覚えておきましょう
    • 課金は 1GB あた り$0.036 の従量課金です ※執筆時点の東京リージョンの EFS 利用費です
    • ストレージクラス間移行で発生した利用費の請求項目は ArchiveDataAccess-Bytes です
  • イニシャルコストの考慮
    • ライフサイクル管理を設定する前に、ストレージクラス移行に伴うイニシャルコストの発生を認識しておきましょう

アーカイブストレージクラス

アーカイブストレージクラスは Elastic スループットモードのみ利用可能な保存単価が最安価なストレージクラスです。

アーカイブストレージクラスの料金

※ 執筆時点の料金表になります。

アーカイブストレージクラスの保存単価は標準ストレージクラスと比べると 97%割引、低頻度アクセスストレージクラスとくべると 50%割引の価格です。その他、データの読み取るのに従量課金、データ保存は最低 90 日間保存の利用費が発生しますので、文字通りアーカイブ用途のストレージクラスです。

今回注目したいのは青線の箇所です。

料金 - Amazon EFS | AWS

アーカイブ - 階層化料金

アーカイブへデータが送られるまたは、アーカイブから標準へ戻るときに 1GB あたり$0.036 の課金が発生します。

ストレージクラス間の移動はライフサイクル管理の設定に基づき最後のアクセスから n 日経過で移動が自動的に行われます。

ここまでが前提知識です。

既存の EFS に「アーカイブへ移行」を追加したときの階層化料金

既存の EFS にライフサイクル管理で「アーカイブへの移行」を新たに設定した場合、最後のアクセスとは一体いつからなのか?

運用中の EFS に「アーカイブへ移行設定」を追加したときの利用費から追ってみます。 アーカイブへの移行を設定後に Cost Explorer から利用費を確認してみました。

利用費確認

EFS の利用費を日次の推移を表示した Cost Explorer のグラフです。1 日だけ利用費が跳ねている日があります。

使用タイプArchiveDataAccess-Bytesがアーカイブへ移行するときに発生する請求項目です。この請求項目でフィルタしました。(正確に言うと請求が発生し状況からしてストレージクラス間の移動コストもArchiveDataAccess-Bytesに含まれると知りました。)

設定した日から数日にわたって利用費が発生していました。

「アーカイブへの移行」を設定した日に、アーカイブへの移行で指定した n 日をすでに経過しているデータが存在している場合、その日のうちにストレージクラス間の移動が行われた様子です。数日に渡っているのは最終アクセス日の違いでストレージクラス移動が発生したのか、アーカイブ済みとなったデータにアクセスしたことによって発生したものか今となっては区別つきません。

確認結果

アーカイブへの移行を設定することで標準または、低頻度アクセスストレージクラスにある既存データのストレージクラス間の移動がすぐに発生するかもしれません。 このストレージクラス間移動に $0.036/GB の課金が発生します。

仮に EFS に 10TB 保存してあったとします。そのうちの 80%のデータがライフサイクル管理でアーカイブへの移行を設定した日付を経過しており移行対象だったとします。 その場合、8000GB * 0.036 = $288 の利用費が単発で発生します。予期せぬ利用費の発生とならぬよう事前に認識しておきましょう。

おわりに

ストレージクラス間の移動で費用が発生することは認識していたのですが、いつ発生するかまでは意識していなく実際に設定してから知ることになりました。場合よっては大きな利用費が発生するかもしれません。年度予算の都合など AWS 利用費にシビアな状況のときは特に気にかけておきましょう。