FSx for NetApp ONTAP で iSCSI 接続する場合、LUN に設定した領域がユーザーデータとして使用済みに見えるので注意してください

LUN として切り出した領域は、iSCSI マウントした OS 上から十分に空いているように見えても、FSx コンソールからは「使用済み」に見えるので注意してください。 FSxN ボリューム自体の枯渇に備えるには FSxN のボリュームのメトリクスの監視が必要です。
2024.03.01

コーヒーが好きな emi です。

FSx for NetApp ONTAP(以降、FSxN と省略)は iSCSI プロトコルでファイルサーバーを EC2 にマウントすることができるのですが、iSCSI マウントする前に LUN を設定する必要があります。

この LUN として切り出した領域は、ユーザーがデータを格納していない空っぽの状態でも、FSx コンソールからは「使用済み」に見えるので注意してください。

図説

例えば 40GiB の FSxN ボリュームで 25GiB の LUN を設定し iSCSI マウントします。
マウントしたサーバー OS からは 25GiB の空っぽのディスクが見えます。
FSx コンソールでメトリクスを確認すると、FSxN ボリュームは 25GiB ユーザーデータとして使用中になっています。

FSxN ボリュームの枯渇対策としては、OS 上で見える容量の監視ではなく、AWS 側で見えるボリューム関連のメトリクスを監視する必要があります。

LUN のサイズ確認

25GiB の LUN を作成しておきました。以下のコマンドでサイズを確認します。

実行コマンド

lun show

▼実行結果

FsxId0d2b3bbfe2facc9ac::> lun show
Vserver   Path                            State   Mapped   Type        Size
--------- ------------------------------- ------- -------- -------- --------
emiki-fsxn-svm
          /vol/emiki_fsxn_vol1/emiki-fsxn-lun1
                                          online  unmapped windows_2008 25GB

FsxId0d2b3bbfe2facc9ac::>

サイズが 25GB になっているのが分かります。

volume show-space コマンドで空き容量も確認します。

実行結果例(クリックで展開)
FsxId0d2b3bbfe2facc9ac::> volume show-space -vserver emiki-fsxn-svm -volume emiki_fsxn_vol1

                          Vserver: emiki-fsxn-svm
                      Volume Name: emiki_fsxn_vol1
                      Volume MSID: 2163068317
                      Volume DSID: 1026
                     Vserver UUID: 0c5f9e9c-d705-11ee-8e80-876520a6b1e2
                   Aggregate Name: aggr1
                   Aggregate UUID: 2adcd130-d704-11ee-8e80-876520a6b1e2
                         Hostname: FsxId0d2b3bbfe2facc9ac-01
                        User Data: 25.10GB
                User Data Percent: 63%
                    Deduplication: 4KB
            Deduplication Percent: 0%
          Temporary Deduplication: -
  Temporary Deduplication Percent: -
              Filesystem Metadata: 236KB
      Filesystem Metadata Percent: 0%
              SnapMirror Metadata: -
      SnapMirror Metadata Percent: -
             Tape Backup Metadata: -
     Tape Backup Metadata Percent: -
                   Quota Metadata: -
           Quota Metadata Percent: -
                           Inodes: 20KB
                   Inodes Percent: 0%
                   Inodes Upgrade: -
           Inodes Upgrade Percent: -
                 Snapshot Reserve: 2GB
         Snapshot Reserve Percent: 5%
        Snapshot Reserve Unusable: -
Snapshot Reserve Unusable Percent: -
                   Snapshot Spill: -
           Snapshot Spill Percent: -
             Performance Metadata: 16KB
     Performance Metadata Percent: 0%
                       Total Used: 27.10GB
               Total Used Percent: 68%
         Total Physical Used Size: 344KB
         Physical Used Percentage: 0%
                Logical Used Size: 27.10GB
             Logical Used Percent: 68%
                Logical Available: -

FsxId0d2b3bbfe2facc9ac::>

展開いただくと分かりますが、User Data: 25.10GB となっており、LUN で切った部分はユーザーデータとして使用済みになっているのが分かります。

OS 側からの確認

LUN を iSCSI で Windows Server にマウントしてみると、以下のように見えます。今回はディスク 2 としてマウントされました。E ドライブとしてフォーマット済みです。

エクスプローラーからは 24.9GiB 空きに見えています。

FSxN コンソールからメトリクスも確認します。
FSxN のボリューム詳細画面のモニタリングタブの「ストレージディストリビューション」で、ボリュームの内訳が確認できます。

  • ユーザーデータ(LUN に設定した容量がユーザーデータとして使用済みに見える)
    • 25.10GiB(≒26,949,304,320 Byte)
    • 62.75%
  • 使用可能なボリューム容量
    • 12.90GiB(≒13,852,602,268 Byte)
    • 32.25%

ちなみにオレンジの部分は Snapshot Reserve と言って、スナップショットのためにデフォルトで 5% 確保されている領域です。
今回は 40GiB の 5% で 2GiB(≒2,147,483,648 Byte)確保されています。

おわりに

LUN として切り出した領域は、iSCSI マウントした OS 上から十分に空いているように見えても、FSx コンソールからは「使用済み」に見えるので注意してください。
FSxN ボリューム自体の枯渇に備えるには FSxN のボリュームのメトリクスの監視が必要です。
OS 上から見えるディスク容量の監視と合わせて、FSxN のボリュームのメトリクスも監視すると良いでしょう。