(レポート) AWS Cloud Roadshow 2015 大阪: 基調講演「普及期に来たクラウド。安心して企業に導入するためのポイント」 #AWSRoadshow

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はじめに

本記事は、2015年12月2日(水)に開催されたAWS Cloud Roadshow 2015 大阪の、基調講演である「普及期に来たクラウド。安心して企業に導入するためのポイント」のレポート記事です。スピーカーはアマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 マーケティング本部 本部長、小島 英揮氏。

なお、本イベントは写真撮影禁止のため、テキストだけでお送りします。

レポート

今日の本題

クラウドをどうやってビジネスに使ってもらうか。
クラウドは色んな形で捉えられていると思う。確実に言えるのは、皆さんが関わるITにとって主流となる形。
どのくらい普及しているのか?普及を考える一つの考え方、キャズム理論。
 新しいテクノロジーが世の中に普及したかどうかの判断基準。
 序盤から中盤に遷移する谷間がキャズム。
 序盤の市場は大体16%。これを超えることが、キャズムを超えるということ。
では実際に、日本でどのくらいクラウドが利用されているのか?
 IDC Japanのクラウド普及のリサーチ。昨年時点で25%の人がプロダクション環境でクラウドを利用している。
 今はキャズムを超えて、マジョリティに浸透し始めている。普及期に入ったと言える。

AWSが提供しているもの、なぜ提供しているのか、というバックボーンについて説明したい。

AWSの起源

 皆さんが思っているAmazonのイメージ。物流。Eコマースによって大きくなった会社。
 しかしそれを支えてきたのがIT。
 倉庫もスケールする仕組みで作られている。
 スケールを支えるのがIT。
 Amazon Prime Air。ドローンを使った配送。実際に今展開されようとしている。
 我々のビジネスに大事なのはスピード。スピード向上のためにはITが必要。
 まだ日本に入っていないもの。
  Amazon Dash。ボタンを押せば商品の購入ができる。
  Amazon Echo。キーボードなどが不要で、音声指示で答えを出してくれる。
  こうした新しい企画、テクノロジーを動かそうとすると、色々難しいことがある。
 ビジネスの現場がやりたいことに対して、ITがついてこれない。これを解決したのがAWSのテクノロジー
 サーバの調達やストレージの用意などを、発注行為をすることなく、デスクトップから行うことができる。
  これにより、使い勝手を追求した仕組みが早く回るようになっている。
  これがAmazonを支えているテクノロジー。ビジネスに効くインフラ。
当初Amazonが提供したインフラはわかりやすいものだった。サーバを仮想的に置き換えるところからスタート。
 サービス開始から10年。およそ50に近いサービスが用意されている。
 ポイントはマネージド型。ユーザーがバックアップや運用などを気にせず使えるか、にフォーカスしている。
いくつか特徴的なものをピックアップ。
 仮想デスクトップ環境。AWSというとサーバーのイメージが強いが、最近引き合いが多いのがこれ。
  タブレットなどが会社のデスクトップ環境に早変わり、そのための仕組みを自分たちで管理する必要がない。
 モバイル。今やモバイルからのアクセスを無視して顧客体験を提供するのは難しい。
  モバイルをもっと簡単に設計、構築、運用するためのサービス。一から自分たちで作る必要がない。
 ビッグデータとリアルタイム。
  最近までビッグデータは過去のデータに対して行うものだった。
  最近はリアルタイム。今起こっているデータを今取り込んで、予測や判断、分析をする。
  更に機械学習のサービスも追加されている。
 サーバーを一個一個組み上げれば同じことができる。でも皆さんがしたいのはそこじゃない。
  システムを作ることじゃなく使うことのほうが重要。

これらのサービスはどこで使えるか?

 東京リージョンを始め、世界各国に11のリージョン。
  拠点は拡大中。アメリカ、中国の2箇所目、インド、韓国、ヨーロッパの3箇所目。これらを予告アナウンス。
  クラウドに対するニーズが広がり続けている。

Amazonはどのように見られているか?

 Gartnerのレポート。ビジョン、実行力、抜きん出ているのがAWS。
 2013、2014、並べてみると、他のクラウドベンダとの差が開いてきている。
 いち早くサービスをスタートし、お客様からフィードバックをもらうことで、成長している。
 日本では?日経コンピュータによる調査。AWSが57%。MM総研の調査。AWSが41.4%。AWSを使っている人が5割に近い。
 お客様が集まるとエコシステムが変わる。
  これまではハードウェアを中心にエコシステムが出来ていた。現在これは変わりつつある。
  クラウドを中心としたエコシステム。
   ソフトウェアのクラウド導入、導入対応するシステムインテグレーション。
   そして自分たちでクラウドサービスを始める流れ。
   最近注目なのがアプライアンスやネットワークベンダのクラウド対応。
    これまでハードウェア売りしていたベンダがどんどんクラウド対応している。

皆さんからのフィードバックが増える、それに答えることで新しいサービス投入や機能強化が早くなっていく。
 2014年は516の新機能、新サービスをリリースした。新しいものを出しても既存のものを破綻させず、次々にリリースしている。
 2015年は?10月の時点で500を超え、2014年を超えるリリース速度。

10月に開催されたre:Invent 2015

 参加者2万名弱。日本からも500名近い、多数のお客様が参加された。
 AWSJが用意しているツアー参加者も350名。
 新サービスリリースの他にも、世界のTop TierなユーザーがどのようにAWSを使っているかの話が聞ける。
 今年面白かったのはMLB。野球の中継放送にデータをリアルにオーバーレイする仕組み。過去のビッグデータを活用。
 そしてGE。今後3年間で、社内にある9,000のワークロードをAWSにマイグレーション予定。かなり大規模。
 世界ではAWSを大規模に、かつ先進的な取り組みで使われている、ということが分かるイベントだった。

皆さんの周りでは?日本では25%が普及、しかし裏を返せば、75%が使っていない。まだまだ踏み出せない方々が多いと認識している。
 アーリーアダプターはトライに躊躇がない。マジョリティはキープが大事。冒険には二の足を踏んでしまう。
 多くの人にとって、クラウドはまだ冒険だと思っているのではないか?
 情報通信白書。クラウドを利用していない、使ったことがない人たちの意見トップ3。
  必要がない、セキュリティに不安、クラウドへの移行コストが見えない・わからない。

必要がない?

 設問が間違っていたのではないか。
 クラウドが必要か、ではなく、ITをもっと楽にしないか、と聞けば、Yesとなるはず。
 クラウドによっていかに楽になるか。
  カイゼンアプローチ、より安く早く簡単にできる。
   例えばSAP。 AWS上でSAPを使う人が100社超えた。なぜか?
   大抵のシステムは、オンプレミスで動かしても、クラウドで動かしても、同じアウトプットになる。
   比較する場所は下回り。コストが安いクラウドは下回りの良い選択肢。
  イノベーションアプローチ。今まで出来なかったことをする。
   ハードウェアを買ってやるのが難しかったこと。クラウドの時代になってやれるようになった。
 日本でも20,000を超えるお客様がAWSクラウドを利用している。
  業種は問わない。製造業も、流通も、エンターテイメントも、金融も、スタートアップも、大企業や公共も。
  ある一部のお客様が一部で使っているわけではない。日本の業態を網羅している。これもクラウドが普及した証の一つ。
 クラウドへの全面移行が加速。オールイン。
  東急ハンズ様。聖域の無いクラウド移行。本丸の基幹システムを移行。効果があったのでその他システムも移行。
  ファーストリテイリング様。業務を回すシステムと攻めのシステム、両面でクラウドに採用。フルマネージドを活用。
  丸紅様。グループ会社全体に対する基盤をクラウドで構築。プライベートクラウドではバリューが出せず、パブリッククラウドに移行。
 クラウドがサブシステムやバックシステムなど、オンプレミスのセカンダリーとしての利用ではなく、クラウドをメインとして利用するのが増えてきている。
  オンプレミスとクラウドと両方を持つのはコスト的に良くない。クラウドに寄せる方向が最近多くなってきている。
 クラウドがあるからこそやりやすくなったこと。ビッグデータ、IoT、モバイル。
  もともとオンプレミスでは無かったもの、最初からクラウドを想定して作るからやりやすい。

AWSを新しいことに使っているお客様
 無印良品様。オムニチャネルの分析基盤でAWSを利用。2ヶ月で導入。
 すかいらーく様。たくさんの飲食店のPOSデータを見える化、キャンペーンの効率化に活用。AWSで2日間で実装。
 ガンホー様。大規模なスマホゲームをAWSで安定運用。
 多くのモバイルアプリケーションがAWSで稼働。スケーラブルで、冗長性を担保した形で作られている。

もっともイノベーションが期待されている分野はIoT
 AWS IoTのリリースなど、AWSも非常に注力している。
 SORACOM。安いSIMカードを販売。なぜ安いか?AWS上で実装しているから。
  更にIoTに特化。アップロードに注力してチューニング。
  データを受けるシステムがAWSにあれば、デバイスとシステムを、一切インターネットに出ることなく直結できる。
  SORACOMのアイデアを生み出して企業するまで1年かかってない。AWSによって早いスピードでビジネスが展開できる。

関西の企業様でもAWSの採用が増加中。関西ぽい事例。
 不二製油様。利用時間以外はサーバを停止することで低コストで運用。削減コストが大きい。必要な時だけ稼働。
 朝日放送様。放送局同士のコンテンツの受け渡しのインフラを、AWSを使ってトライアル構築。本番運用に向けて検討中。

セキュリティが不安?

 事実として、導入企業の多くが、クラウドを評価した理由のトップ3にセキュリティが入っている。
 AWSクラウドを使うことでどうなるか。
  データセンターの冗長化。自社でやるのは大変。AWSであれば、コンソールで数回クリックするだけで冗長化できる。
  重大なセキュリティホールがあれば、AWSから案内し、サーバーを再起動して対応。早期に対応できる。
  個人情報やクレジットカードの保存に対応するコンプライアンス。AWSは主要な第三者認証を獲得済み。
 セキュリティがどうやって確保されているかは、全てドキュメントとして公開済み。
 一社で全てのセキュリティを確保するのが大変。
  インフラはAWSがセキュリティを確保、アプリケーションはお客様が確保することで、効率的にセキュリティレベルを向上。
  たまに誤解があるが、AWSはサーバの中身を見たり入ったりすることが出来ない。
 NTTドコモ様。AWS導入経験に基づいたセキュリティチェックを含む知見をサービスとして展開。

移行コストが大変?

 今皆さんがお持ちのシステムを並行利用しながら移行する仕組みがある。
 AWSのサーバはIntelのアーキテクチャを採用。オンプレミスサーバと同様に使える。
  ハードウェアを買えば減価償却が必要だが、AWSであれば毎年最新のチップが使える。ハードウェアの入れ替え不要。
  re:InventではAWSとIntelのパートナーシップの強化が発表された。
 既存環境をうまくAWSに持っていく仕組み。
  VPC。仮想プライベートクラウド。既存環境とVPNで接続。
  スピード面で問題があれば閉域網サーボスであるDirect Connectがある。
  BYOLの仕組み。既存の商用アプリケーションをAWSに持ち込むことが出来る。
  更にAmazon EC2 Dedicated Host。仮想サーバではなく物理サーバを貸し出す仕組み。
   物理サーバで使っていたライセンスをAWSに持ち込みやすくするためのサービス。
 AWS対応のパッケージやサービスは多数ある。
 エンタープライズ企業での典型的な導入パターン。ミサワ様。
  業務ごとにVPCを利用しDirectConnectで接続。
 ハイスペックなものの導入パターン。ゲオホールディグス様。
  Oracle ExadataをAWSに移行。パフォーマンスを確保しながら、同じ機能を提供。
 ハードウェアを調達することなくすぐに試せるのがAWS。1年間の無料枠がある。
 移行を支援する仕組み。AWSにいるエンジニアやコンサルティング。パートナーがたくさんいる。

導入コストだけでなく、運用コストも削減。
 ソニー原稿様。コスト構造を分析した例を公開している(ITコスト構造の分析)
 失敗のコストの最小化。これがクラウドの一番のバリュー。
  ハードウェアを買ってしまうと返品が難しい。検討に時間がかかる。
  AWSクラウドであれば失敗してもコストが安い。すぐに試せる。
 これまでは本来業務以外の付帯業務が多かった。クラウドを活用することで、本来業務に注力できる。

まとめ

 クラウドは技術の変化ではなくビジネスの変化。
 クラウドによって、今まであったものがより簡単に、今までできなかったことが出来るようになる。
 ヒト、モノ、カネを、本来のビジネスや目的に注力できる。