中国深センのシェアサイクルmobikeとofoを使ってみた
中国深センに行ってきました
ちょっと仕事の都合で香港経由で深センに来ました。深センといえば、「世界の工場」とか、「第2のシリコンバレー」などとも呼ばれている地域です。様々な新しい施策が実験されている都市でもあります。今回は、シェアサイクルを使ってみたのでご紹介しますね。
秋葉原でシェアサイクルと言えば「ちよくる」
クラスメソッドのオフィスがある秋葉原の目の前には、千代田区が運営するシェアサイクル事業「ちよくる」のサイクルポート(自転車置場)があります。何人かの社員がランチや移動によく使っています。ちよくるの特徴は、サイクルポートで借りて、サイクルポートに返すことにあります。これは、世界中の都市にあるシェアサイクルと同じ仕組みで、お行儀の良い使い方です。この使い方の課題は以下のようなものがあります。
- サイクルポートがあることが必要なため利用できるエリアが限られている
- 乗るサイクルポートを知っている必要がある
- 返すサイクルポートを知っている必要がある
- 自転車の数が少ない
- サイクルポートの乗り降りが偏るのでトラックでまとめて移動させている
上記に挙げた点のいくつかが、深センのシェアサイクルでは解消されていて、逆にちよくるには無い問題が発生していました。
テンセント系のMobike
まず手始めにMobikeを使ってみました。歩道を1分あるけばシェアサイクルが見つかります。
利用するためには、アプリのダウンロード、SMS認証、クレカ登録です。SMS通知を受ける端末を用意するか、日本で事前に準備しておきましょう。次にアプリを開いて、自転車に貼ってあるQRコードを読み込めば乗車スタートです。とっても簡単。初回にデポジットが必要ですが、後から戻すことも簡単です。
アリババ系のofo
オレンジのMobikeに対して、ofoは黄色の自転車です。どこを歩いてもofoの自転車で溢れています。
使い方はほとんど同じですが、アプリのダウンロードでひと苦労です。日本のアカウントではApple Storeに出てきません。米国アカウントに切り替えてから検索しましょう。そして、SMS認証して、クレカ登録して、デポジットを払ってから利用開始です。
Mobileにない特徴は、自転車のロック解除のためのコードが送られてくることです。ofoにはロック解除のために番号入力のボタンがあります。
アプリでQRコードを読み取った後に利用開始を選択すると、ロック解除コードが表示されます。
ちょっとだけ乗って、すぐに乗り捨てるという体験は新鮮です。
シェアサイクルの注意点
このシェアサイクルを何回か利用した結果、いくつかのコツというかマイナス点があることが分かりました。様々なコストを最小化するためだと思いますが、もっと楽がしたい欲が出てしまいますね。
- QRコードを認識しない故障中のものがある
- 使い終わったら手動でロックを掛ける
- ブレーキが壊れていることがある
- 古いタイプの自転車は乗り心地が悪い
- 長期間乗っていないであろう汚れたものがある
- 電動アシストが無い
- 本体が重い
- ギアが無い
そして、乗り降りが自由ということで、放置されている自転車も多数ありました。後で知ったことですが、あまりにもヒドいようで政府が規制を掛け始めたようです。
青のシェアサイクルは、倒産したbluegogoです。。。
お行儀の良いサイクルポート型はあまり使われていない模様。。。
日本での今後の動き
冒頭にご紹介した「ちよくる」以外にも様々な取り組みが国内で始まろうとしています。ドコモの仕組みを活用したサービスが多いようです。公共施設の一部を活用したり、コンビニの駐車場を活用したりしています。MobikeはLINEと組んで日本進出をするようで、既に札幌で実験が始まっています。中国での反省を活かして、乗り捨てではなく、最寄りの駐輪場に止める仕様のようです。セイコーマートの前に止められるのは良いですね。また、ofoはソフトバンクと組んでスタートするようです。
海外の利用者が、スマホのアプリそのままに利用開始できるのは大きな強みになりそうですね。一方で、乗り捨てに慣れてしまった人は、日本でも乗り捨てしてしまい、トラブルになる可能性もあります。DMMが一度参入を表明した後に撤回したのは、便利さよりも乗り捨てによるブランド低下の問題のほうを重視したとコメントが出ていました。大手資本が相次いで参入することが分かり、負けること自体を避ける動きもあったのではないでしょうか。面積の取り合いになるサービスは、資本や兵力の大きさに依存します。または、最初にはじめて逃げ切るのが基本戦略です。
スタートアップは利益よりも始めに面積を取りにくることがほとんですが、中国では大手資本を使って一気に自転車をばらまいた結果、いたるところに自転車が放置され、通行人の邪魔になって問題になったようです。また、盗難とか故障を考えてデポジットを求めていますが、返却することなく倒産するスタートアップも出ていて、大きな問題になっていました。日本は歩道が狭かったり、歩道自体のない道も多いため、いきなり乗り捨てを前提としたサービスを始めてしまうと、過剰反応した行政が直ぐに条例を作成して利用自体が禁止になってしまうかかもしれません。問題になったタイミングで事故などが起こると世論が一気に強い規制を期待してしまいます。
ブレーキなどの基本的な機能が正しく動くことを保証するために定期的なメンテンナスが必要になるでしょうし、メンテナンスが必要無いように様々な研究開発も必要で、その分、サービスの利用価格に転嫁されては利用者はなかなか増えません。何をもってビジネスとするのか、事業者側のアイデアが必要です。例えば、誰がいつどこからどこまで利用したのかデータが取れれば、広告や購買活動に繋げることもできるでしょう。故障のチェックや違法駐車の発見に対してリワードを出すことも考えられます。駐輪場としてのスペースを貸すことも考えられます。単体事業者だけではない、大きなエコシステムをどのように描くのか、今後の動きに期待したいですね。
まとめ
地方自治体によるスモールスタート社会実験から石橋を叩いて渡る日本のやり方に対して、スタートアップが巨大資本を得て一気に展開して問題出しまくりながらも最適解を探して修正する中国のやり方。お互いの良いところを学んで市民にとってより良いサービスに進化してほしいです。とりあえず日本に戻ったら「ちよくる」をもっと活用したいと思います。