Cloud OneとVision OneのMarketplaceにおける契約・ライセンス管理の違いを理解しよう
2025.06.09こんにちは、シマです。
皆さんは、トレンドマイクロ社が提供する「Cloud One」や「Vision One」というセキュリティサービスをご存じでしょうか？
まずは、これらのサービスを初めて聞く方のために、簡単にご紹介します。
Cloud Oneは、主にクラウド環境を対象としたセキュリティサービスです。たとえば、AWSなどのクラウド上で動作するサーバやコンテナ、ファイルストレージなどを保護するために使われます。クラウドネイティブな開発や運用を行う企業にとって、非常に重要なサービスです。
一方で、Vision Oneは、クラウドやエンドポイント、Eメールなど、企業のさまざまなIT資産を横断的に監視・分析できる「統合セキュリティプラットフォーム」です。複数のセキュリティ製品の情報を一元管理し、脅威を早期に検知・対応するための仕組み（XDR：Extended Detection and Response）を備えています。
どちらも企業のセキュリティ対策を強化するための強力なツールですが、導入や運用にあたっては「契約形態」や「ライセンス管理」の仕組みに違いがあります。特にAWS Marketplaceなどを通じて利用する場合、これらの違いをきちんと理解しておかないと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
本記事では、Cloud OneとVision Oneの契約方法やライセンス運用の違いについて、実際の運用に役立つポイントを交えながら、わかりやすく解説していきます。
前提
本記事の内容は、執筆時点（2025年6月9日）における一般的な契約形態やライセンス管理の違いをもとに記載しています。ご利用中の契約内容やライセンスについて不明点がある場合は、必ずライセンスの販売元にご確認ください。
Cloud OneとVision Oneの契約・ライセンス管理の違い
契約形態の違い
Cloud Oneの場合
Cloud Oneは非常に柔軟な契約形態となっています。
- 契約手数料のようなコストは0円
- いつでもAWS Marketplaceからサブスクライブ可能
- 従量課金制で使った分だけのお支払い
Vision Oneの場合
Vision Oneは、基本的に年間契約が前提です。
- 契約はすべて年間単位で提供
- Vision One Endpoint Security（Server & Workload Protection）は、Cloud Oneと同額で従量課金が可能ですが、契約自体は年間契約が必要
- 従量課金の料金とは別に、最低でも「年間1クレジット（1.05USD）」の購入が必要
契約変更の柔軟性
Cloud Oneの場合
- AWS Marketplaceの画面から、いつでも契約内容を変更可能
- 柔軟な契約変更が可能
Vision Oneの場合
- 契約切り替えは、Creditsの有効期限が切れたタイミングでのみ可能（年1回のみ）
- ※Creditsの追加購入は可能
- 契約期間中にどうしても変更が必要な場合は、トレンドマイクロサポートに直接お問い合わせが必要
- この場合、購入済みCreditsの扱いについても合わせて確認が必要
ライセンス更新の注意点
Cloud Oneの場合
- Private Offer（旧SPPO）をご利用の場合は、定期的な更新が必要
- 更新を忘れた場合、自動的にPublic Offerに切り替わり、割引が適用されなくなるため注意
Vision Oneの場合
- 自動更新がOFFの場合、契約から1年後にライセンスが切れた状態になります
- ※Public Offerは自動更新が可能ですが、多くのお客様は割引が適用されるPrivate Offerをご利用のため
- ライセンスが切れた後に直ちに手動で更新が必要
- 事前更新や予約更新はできません
Vision One利用時の注意点と対策
ライセンス更新忘れのリスク
- ライセンス未適用状態になり、ライセンス違反の状態になります
- 更新を忘れて30日経過すると、Vision One環境が完全に削除されます
お客さまのライセンスの有効期限が切れると、すべてのデータが30日の猶予期間後に削除されます。
- お客様にはVision Oneからライセンス有効期限29日前と当日にVision Oneのシステムからメール通知がありますが、見逃すと取り返しがつきません
対応策とベストプラクティス
- ライセンス有効期限の管理を徹底してください
- 有効期限の1ヶ月前にはリマインダーを設定することをおすすめします
- ライセンスが切れたら直ちに更新してください
- 契約変更が必要な場合は、Creditsの有効期限が切れるタイミングで計画的に実施してください
緊急の契約変更
契約期間中にどうしても契約内容を変更する必要がある場合は、トレンドマイクロサポートに直接お問い合わせください。また、既に購入したCreditsの取り扱いについても、あわせて確認しましょう。
最後に
今回はCloud OneとVision Oneの契約・ライセンス管理の重要な違いについて解説しました。Vision Oneをご利用の場合は、年間契約の制約とライセンスが切れると30日後に環境が削除されるリスクがあることを十分に理解して、計画的なライセンス管理を行ってください。
適切な管理により、Vision Oneの統合セキュリティ機能を継続的にご活用いただけます。
本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
