[アップデート] Amazon Redshift Serverless が AI 駆動スケーリングを新規ワークグループのデフォルトとし、最小 8 RPU に対応しました

[アップデート] Amazon Redshift Serverless が AI 駆動スケーリングを新規ワークグループのデフォルトとし、最小 8 RPU に対応しました

2026.04.29

クラウド事業本部の石川です。Amazon Redshift Serverless の AI 駆動スケーリングと最適化(AI-driven scaling and optimization)が、新規ワークグループのデフォルト機能になりました。同時に、対応 RPU 範囲が従来の 32~512 RPU から 8~512 RPU に拡大されています。

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2026/04/amazon-redshift-serverless-ai-driven-scaling-default/

これまで「最小 32 RPU から」というハードルで AI 駆動スケーリングの導入を見送っていたユーザーにとって、エントリーコストを抑えながら自動最適化の恩恵を受けられる選択肢が広がりました。

Amazon Redshift Serverless とは

Amazon Redshift Serverless は、データウェアハウスのインフラ管理を不要にする Amazon Redshift のサーバーレス利用形態です。クラスター管理やキャパシティプロビジョニングを意識することなく、ワークロードに応じてコンピュートが自動的にスケールします。コンピュート容量は RPU(Redshift Processing Unit) という単位で表現され、1 RPU あたり 16 GB のメモリを提供します。

アップデート内容

主な変更点は以下のとおりです。

  • AI 駆動スケーリングと最適化が新規ワークグループのデフォルトに:機械学習でクエリの実行予測とリソース最適化を行う機能が、すべての新規ワークグループで初期有効化されます
  • 対応 RPU 範囲を 8~512 RPU に拡大:従来は 32~512 RPU が推奨範囲でしたが、最小 8 RPU まで AI 駆動スケーリングが対応するようになりました
  • キューイング前のプロアクティブなリソース調整:従来のキュー時間ベースのオートスケーリングとは異なり、クエリの複雑度・データ量・スキャン量を機械学習で予測し、クエリが待機する前にコンピュートを調整します
  • price-performance スライダーで戦略を選択可能:「コスト優先(Optimizes for cost)」「バランス(Balanced・デフォルト)」「パフォーマンス優先(Optimizes for performance)」の 3 つを軸に、合計 5 段階で最適化方針を選択できます

AI 駆動スケーリングと最適化の仕組み

AI 駆動スケーリングは、内部的に 2 種類の機械学習モデルを組み合わせて動作します。

  • Query prediction models:実行予定のクエリが必要とするリソース量を予測
  • Scaling prediction models:異なるキャパシティでのクエリ挙動を予測し、スケール後の効果を判断

このモデルは時間とともにワークロード履歴から学習し、予測と意思決定の精度が向上していきます。設定変更後は、システムが現在のワークロードを学習するまで 1~3 日間程度の監視期間 を設けることが推奨されています。

price-performance スライダーの選び方

設定値 特性 想定ユースケース
Optimizes for cost コスト効率的な場合のみスケール。ランタイムは長くなる可能性あり 時間制約のないバッチ処理
Balanced(デフォルト) パフォーマンスとコストのバランスを取り、適度なコスト増減でスケール 汎用分析、変動するクエリパターン
Optimizes for performance コストが増えてもアグレッシブにスケールし、ランタイム短縮を優先 レイテンシ要件の厳しいダッシュボード、リアルタイム分析

なお Balanced と各端点の間には中間位置が用意されており、計 5 段階で調整できます。

利用方法

新規ワークグループを作成する場合、AI 駆動スケーリングと price-performance スライダーは初期値(Balanced)で有効化されています。設定の確認・変更は AWS マネジメントコンソールおよび Amazon Redshift API から実施できます。

コンソールからの調整手順の概要は以下のとおりです。

  1. Amazon Redshift Serverless コンソールでワークグループを作成
  2. 「Performance and cost controls 」にて、「Price-performance target」を選択
  3. Price-performance target スライダー(5段階)を調整
  4. 必要に応じて「Limits」タブで 最大容量(最大 RPU)を設定 ← 今回 8RPU 指定が可能に!

20260427-amazon-redshift-serverless-aids-default-wz-4rpu-1

既存のワークグループでもいつでも可能です。ただし設定変更時は、実行中のクエリがキャンセルされる可能性がある点にご注意ください。

利用上の注意

  • AI 駆動スケーリングが推奨されない範囲:8 RPU 未満 もしくは 512 RPU 超のワークロードは AI 駆動スケーリングの対象外と整理されています。8 RPU 以上 512 RPU 以下のワークグループでの利用が推奨されます
  • 学習に時間が必要:AI モデルはワークロードの繰り返し実行を通じて学習が進みます。代表的なクエリを複数回実行し、1~3 日程度監視することで本来のメリットが現れやすくなります
  • 設定変更時のクエリへの影響:基本容量の編集時には実行中クエリがキャンセルされる可能性があるため、業務影響の少ないタイミングを選ぶことを推奨します
  • 最大容量 の併用:意図しないコスト増加を防ぐため、上限値の設定と CloudWatch メトリクスや SYS_SERVERLESS_USAGE ビューでの継続監視を組み合わせることが効果的です

最後に

Amazon Redshift Serverless の AI 駆動スケーリングと最適化が、新規ワークグループのデフォルトとなり、対応 RPU 範囲も 8~512 RPU まで拡大されました。これにより、小規模ワークロードでも AI 駆動スケーリングの自動最適化を活用しやすくなり、手動チューニングなしで価格性能比を改善できる環境が標準化された形です。

実際のワークロードは、日勤帯のアドホッククエリ、それ以外の時間帯の少量のアドホッククエリ、深夜〜早朝にかけての集中的なバッチクエリ(ETL処理)など、時間帯などによって大きく変化します。Amazon Redshift ServerlessのAI 駆動スケーリングは、数多くのRedshift Serverlesss の集合知とそのインスタンス固有の学習データに基づいた最適なスケーリングを自動的に提供する画期的な機能です。

これから Amazon Redshift Serverless を新規導入される方は、デフォルトのまま Balanced 構成で運用を開始し、ワークロード特性に応じて price-performance スライダーをチューニングする運用が現実的な出発点になります。既存ワークグループをお持ちの方も、対応 RPU 範囲拡大を機に AI 駆動スケーリングの有効化を検討してみてはいかがでしょうか。

参考リンク

https://aws.amazon.com/jp/about-aws/whats-new/2026/04/amazon-redshift-serverless-ai-driven-scaling-default/

https://aws.amazon.com/blogs/big-data/optimize-your-workloads-with-amazon-redshift-serverless-ai-driven-scaling-and-optimization/

https://aws.amazon.com/blogs/big-data/unlock-the-power-of-optimization-in-amazon-redshift-serverless/

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-redshift-serverless-rais-ga/

https://dev.classmethod.jp/articles/20241009-intelligent-scaling-in-amazon-redshift/

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