2021/3/26(金)【RIとSPを徹底解説!AWSコスト最適化ウェビナー】いただいたご質問とその回答をまとめました

2021/3/26(金)に開催した【RIとSPを徹底解説!AWSコスト最適化ウェビナー】にていただいたご質問とその回答をまとめました
2021.03.26

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こんにちは、事業開発部の池田です。
2021/3/26(金)【RIとSPを徹底解説!AWSコスト最適化ウェビナー】に登壇させていただきました。
たくさんの方にご参加いただきありがとうございました。
本ブログでは、このウェビナーにていただいたご質問とその回答とその補足説明および、ウェビナー終了後のアンケートにていただいた「セッションで触れて欲しかった」というリクエストについてご紹介いたします。

Reserved Instances(RI)

RIのご説明で「一時的リソース追加はRIで賄おうとしない」とありますが、なぜ賄おうとするとNGなのかメリデメなど詳しくお聞かせください

RI も SP も 1年または 3年の期間、対象リソースが存在しない場合でもその費用を支払う必要があります。
上記の通り RI も SP も「その時点で稼働しているリソース」が適用対象であり、仮に余剰となった場合でも過去に遡ったり、未来に繰り上げたりといった適用はされません。
一方でオンデマンド料金はリソースを実際に利用した時間のみが対象となりますので、一時的となる時間や台数によってはオンデマンド利用の方が安くなることがあります。

AWS Cost Explorer以外でRIの適応状況を確認できますか。適応されない可能性があるRIを調べたいです。

AWS提供のサービス以外での確認は難しいかと思います。
手作業となりますが、購入済みで有効な RI のリストと、稼働中インスタンスのリストを比較いただくといった方法になるかと思います。
こちらのブログ記事にある AWS CLI と表計算ソフトを利用した方法であれば、比較的簡単に実現できると思いますのでお試しください。

不要になったRIをマーケットプレイスで売ればいいと思っていました。相場を見たことがないのですが、大体何割引ぐらいで売っているのでしょうか。同じことですが何割引ぐらいで出品すれば売れるでしょうか。

残念ながら私どもから相場をお伝えすることはできません。これはその時の需要や販売者の判断、販売したい理由などによって大きく異なるものとなるためです。
相場感につきましては、マネジメントコンソールの RI 購入画面にて、マーケットプレイスで販売されている RI の料金を見ることが可能ですので、そちらでご確認いただければと思います。
また、マーケットプレイスで販売されている RI は販売者が購入した時点からの有効期限になっていますので、販売しようとしている RI のもつ価値と一致していない場合があります。販売価格の参考にされる場合も購入される場合も、必ず有効期限をご確認ください。

サードパーティから購入したスタンダード RI も AWS から直接購入した Standard リザーブドインスタンスと変わりはありませんが、多くの場合、それらはより低価格かつ短期間で出品されます。
Amazon EC2 リザーブドインスタンスより抜粋

Saving Plans(SP)

SPはEC2スポットインスタンス及びFargate Spotにも適用されますでしょうか?

いいえ、EC2 スポットインスタンスも Fargate Spot も SP および RI とは異なった割引サービスとして提供されていますため、SP および RI は どちらのスポットへも適用されません。
スポット利用されるリソースは SP 購入時の検討対象とされないことをお勧めします。

SPで変更が不可とのことでしたが、EC2プランではインスタンスファミリーが同一であれば変更できるという認識でした。これは誤りでしょうか?

はい、SP の変更はできません。あくまでも SP の基本機能として、同一ファミリーに対して割引が適用される。というものになります。
変更という言葉の対象は「購入された SP」のことであり、対象となるインスタンスのことではありません。つまり、インスタンス自体は SP と関係なく、自由に変更することが可能です。
そのため、同一のインスタンスファミリーにてインスタンスサイズや OS を変更される分には問題ありません。ただし、インスタンスサイズを小さくした場合や OS によっては購入済み SP が余剰となる可能性もありますので必ずSavings Plans 料金表にてご確認ください。

SPが100%適用されているかはどこで確認できますでしょうか?

基本的にはCost Explorerとなります。または Savings Plans のダッシュボードで購入した内容を確認いただき、そのコミット額以上にリソース利用をしているかという視点でも確認することが可能かと思います。
利用分が確定した過去の利用費分析などを行いたい場合にはコストと使用状況レポートを利用する方法もあります。

RI と SP 比較

EC2を夜間停止している検証用環境などの場合はRIではなくSPを利用する方が好ましいでしょうか?

はい、SPの方が適しているかと思います。SP は毎時間支払う金額をコミットしますが、RI は 1年または 3年常時稼働させる前提の料金を支払うためです。ただし、全てのインスタンスが夜間停止されるのであれば、その限りではありません。
コミット金額はリソース稼働の有無を問わずに毎時間支払うことになりますので、オンデマンド利用での料金と、停止中も支払うことになる SP 料金、稼働中に SP コミット額を超過し発生するオンデマンド料金それぞれを算出して比較いただく必要があります。
こちらのブログ記事に埋め込んでいる動画も参考にしていただけるかと思います。

アンケートでいただいたリクエスト

具体的な数字や例を挙げて比較説明して欲しかった

たとえば、1日のうち 6時間必ず毎日停止するインスタンスには 1日の稼働率と同じ 75% のコミット額で買えば良いですか?といったお問い合わせをいただいたことがあります。
これは、対象インスタンスに対する SP 料金による割引率と停止する時間で変わります。上記条件の場合、SP 割引率が 25% 未満のインスタンスが対象なら、停止している 6時間分の料金によりオンデマンド利用よりも支払う金額が多くなります。具体的には、東京リージョン(Compute プラン)での割引率が 17% である a1 ファミリーなどが該当します。
SP の場合は、コミット額を毎時間支払いますが、オンデマンドなら停止時間分の支払いは発生しないためです。
なお SP の割引率は、RI の割引率と同等に設定されていますので、RI の場合も同じようにお考えいただければと思います。

・お客様が Amazon EC2で最大 72%、AWS Fargate で最大52% 節約することを可能にする新しい柔軟な料金モデルです。RI と同等の割引が適用されることに加え、スケールアップ等、構成の変更を行なった場合も柔軟に割引が適用されることが特徴です。
参考: Savings Plan のよくいただくお問い合わせについて

以下に計算の例を記載しますので、参考にしていただけますと幸いです。


Compute プラン 東京リージョン 1年 前払いなし Linux/UNIX a1.medium
SP 料金全額をコミットした場合 $0.0267/h x 24h = $0.6408/day
SP 料金の 75% をコミットした場合 ($0.0267/h x 24h x 0.75) + ($0.0321/h x 18h x 0.25) = $0.62505/day
オンデマンド料金 $0.0321/h x 18h = $0.5778/day
参考: Savings Plans 料金表

RI と SP はそれぞれ何ができて、何ができないかについても触れて欲しかった

まず、適用対象となるサービスが異なっています。現時点では RI の方が SP よりも多くのサービスに対して提供されています。それぞれの適用対象となるサービスやその詳細については、セッション内でもご紹介したこちらのブログ記事をご覧いただけますと幸いです。
RI は不要になった場合にマーケットプレイスで販売することや、あらかじめ指定された条件の範囲で内容を変更することが可能ですが、スタンダードとコンバーチブルという購入時に指定したクラスによって変更できる内容は異なります。また、購入後はクラスそのものを変更することはできません。
一方で、SP はマーケットプレイスでの販売が出来ません。また、SP は RI より適用対象が柔軟に設定されていることから、購入内容の変更が出来ないという違いがあります。
また、購入済み RI よりも多くのリソースを利用している場合に SP を購入すると、RI が優先して適用されることになります。RI でカバーしきれないリソースに対して SP が適用されることになりますので、両方を併用する場合は優先順位を意識する必要があります。

リザーブドインスタンスを所有している場合、Savings Plan は、RI で取り扱っていないオンデマンドの使用に適用されます。RI は引き続き販売しますが、Savings Plans のほうがより柔軟であり、多くの人がこの新しいプラン を好むでしょう。
参考: AWS コンピューティングサービスの Savings Plans

RI や SP を購入した後の運用についても触れて欲しかった

RI や SP を購入される場合、対象リソースを長期間継続利用される前提となりますが、これらは一度購入したからといって自動更新されるものではありません。1年後にはおそらく新しいインスタンスタイプの提供が開始されたり、新たなサービスが提供されたりすることにより、ユーザーが現在とは異なった利用方法を選択する可能性や、必要とするリソースの規模が今と同じとは限らないという考え方もあるからではないかと思っています。
ですが、EC2 RI には既存 RI の自動更新を有効にする方法と日時を指定した購入予約の機能が、SP には日時を指定した購入予約の機能が提供されています。購入した RI や SP の期限が切れる前に、同一のリソース内容でさらに 1年または 3年の間運用するかどうかを判断し、増強や縮小または構成の変更やサービスの終了が生じない場合にこれらの機能を利用するといったことが考えられます。
セッション内でも繰り返しお伝えしましたが、購入後のキャンセルはできませんので、RI や SP を購入したのち有効期限が切れる前にリソースの利用状況を振り返り(もちろん継続的な記録や分析と将来の計画なども含め)、同一内容で継続するかどうかを検討する。という方が良いかなと思います。

ウェビナーに初登壇した感想など

ウェビナーへの登壇が初めてでして、非常に緊張していました。途中から喉が乾いてお聞き苦しい声になってしまっていたかと思います...
いただいたアンケートを拝見しまして、多くの方に満足いただけたのかなと安堵しています。少しでも発表内容やこのブログ記事がみなさまのお役に立てば嬉しいです。