
プロジェクト成功率を3倍に引き上げるテク30 ~5th
どうも、たてやんです。
プロジェクト成功率3倍テクシリーズ、第5弾です。
前回は、メンバーの心を動かす「モチベーション設計」についてお伝えしました。
しかし、どれだけやる気があっても、武器も地図も持たずに戦場に送り出されては、現場のメンバーは疲弊するだけです。
今回は、いよいよ具体的な「武器」と「地図」のお話。
メンバーの戦闘力を最大化し、無駄な時間を使わせないための「ツール・マテリアル編(前編)」、2つの鉄則をお伝えします。
一言で言うと「できない理由を全部潰す」です。
ではどうぞ。
鉄則14: 活動資料・ツールを提供・作成する
なぜ必要か:丸腰の兵士は戦えないから。武器と地図を最初に渡すのがリーダーの仕事。
「資料作成に半日かかった」「人によって提案内容がバラバラ」「最新の価格表がどこにあるか分からない…」
これらは全て、ツールや資料が整備されていないために発生する無駄です。
でも、よく言われる無駄もあります。
悪い例:
「資料はサーバー(またはフォルダ)から探して使って」
「各自でいい感じに提案資料作っておいて」
「とりあえず気合で頑張ろう!」
→ メンバーはこう思います。
「(どのファイルが最新版なんだ…?)」
「(佐藤さんと俺で、言ってることが全然違う…)」
「(提案の前に、資料探すだけで疲れた…)」
良い例:
プロジェクト開始時に「スターターパック」を用意し、全員に配布しましょう。
【プロジェクト・スターターパック】
保管場所: Google Driveの「〇〇プロジェクト共有フォルダ」に集約
内容:
- 営業提案資料テンプレート: 最新のサービス内容、導入事例、料金プランを反映済み
- サービス概要資料: 誰が読んでも理解できる公式の資料
- ヒアリングシート: お客様への質問項目を標準化
- 簡易導入マニュアル: メンバーが最初に参照する手順書
→ これだけで、メンバーは「探す」「悩む」時間から解放され、本来やるべき「考える」「話す」仕事に集中できます。
むしろ日々の情報共有フローに最新版を添付し、共有フォルダから古いものは移動してしまいましょう。
チェックリスト
- □ 全員がアクセスできる共有フォルダがあるか?
- □ 主要な活動で使う資料のテンプレートは用意されているか?
- □ ファイルの命名規則やバージョン管理のルールは決まっているか?
- □ 資料の管理者(更新責任者)は決まっているか?
鉄則15: FAQを整備する
なぜ必要か:同じ質問に100回答える時間は、組織にとって最大の無駄だから。
「これ、前にも誰かが聞いてたな…」は危険信号。その時間は、本来もっと価値のある仕事に使えたはずです。
悪い例:
リーダーや特定のエース社員に質問が集中。DMが鳴りやまない。
「(この質問、今週5回目だな…)」
「(忙しそうで聞きづらいから、とりあえず作業を止めておこう…)」
→ 質問する側も、される側も不幸になります。ナレッジは個人のPCにしか溜まりません。
良い例:
「2回聞かれた質問は、FAQに書く」というルールを徹底しましょう。
【〇〇プロジェクトFAQ】
場所: NotionやTeamsのWikiなど、全員が編集・閲覧できる場所
ルール:
- 質問する前に、まずFAQを検索する。
- FAQに答えがなければ、担当者に質問する。
- 質問に答えた人が、そのQ&AをFAQに追記する。
FAQの項目例:
- 技術関連: 「〇〇のエラーが出た時の対処法は?」
- 営業関連: 「競合の△△と比較された時の切り返しトークは?」
- 社内ルール: 「経費精算の申請方法は?」
→ これを実践するだけで、自己解決できるメンバーが増え、リーダーは本来の仕事に集中できます。
FAQは、組織の「集合知」であり、最強の新人教育ツールになります。
チェックリスト
- □ FAQを置く場所は決まっていて、全員が知っているか?
- □ 「2回聞かれたら書く」のような、FAQを更新するルールがあるか?
- □ FAQが検索しやすい状態になっているか?
- □ FAQの更新を奨励する文化があるか?
まとめ
今回のポイント
- 「スターターパック」を用意し、探す・悩む時間をゼロにする。
- 「2回聞かれたらFAQ」を徹底し、組織の集合知を育てる。
- ツールはメンバーを縛るものではなく、無駄から解放するための「武器」である。
今日からできること
- □ 「プロジェクト共有フォルダ」を作り、まず1つだけでも最新の資料を入れてみる。
- □ SlackやTeamsに「#faq」チャンネルを作り、「昨日聞かれた質問」を1つ投稿してみる。
優れたツールや資料は、メンバーの能力を底上げし、プロジェクトの推進力を何倍にも高めます。
精神論で乗り切るのではなく、仕組みと道具で勝負しましょう。
人は不安があると動きません。その不安の種をまく前にしっかり武器と安心を提供してあげましょう。
◆次回予告
第6回: ツール・マテリアル編(後編)
前編に続き、さらに実践的な「武器」の話です。
日々の活動を記録し、改善に繋げるための「活動シート」や、プロジェクトの土台となる「システム環境」の構築について解説します。
◆連載スケジュール(再掲)
- 第1回: 運用の4か条 ✓
- 第2回: コミュニケーション設計(前編) ✓
- 第3回: コミュニケーション設計(後編) ✓
- 第4回: モチベーション設計 ✓
- 第5回: ツール・マテリアル編(前編) ← 今回
- 第6回: ツール・マテリアル編(後編)
- 第7回: 実働段階+総括






