
プロジェクト成功率を3倍に引き上げるテク30 ~6th
どうも、たてやんです。
プロジェクト成功率3倍テクシリーズ、第6弾です。
前回は、メンバーを丸腰で戦わせないための「武器」として、「活動資料」と「FAQ」の整備についてお伝えしました。
しかし、武器を渡しても、戦果の報告方法がバラバラでは司令部は戦況を正しく把握できませんし、戦場(システム)がぬかるんでいては、兵士は前進もできません。
ですので今回は、プロジェクトの「インフラ」を固める「ツール・マテリアル編(後編)」、2つの鉄則をお伝えします。
ではどうぞ。
鉄則16: 活動シート/報告フォーマットを標準化する
なぜ必要か:報告の形式がバラバラだと、データを分析できず、次の打ち手が見えないから。
「佐藤さんの報告は文章、田中さんの報告は口頭、鈴木さんはExcel…」これでは、誰がどれだけ成果を上げ、どこでつまづいているのか、全く比較できません。
悪い例:
「各自、やりやすい方法で報告してくれればいいよ」
「週報はメールで自由に書いて送って」
→ メンバーはこう思います。
「(何を書けばいいんだ?とりあえず長文で…)」
「(先週と同じでいいか…)」
→ マネージャーは、報告を集計するだけで半日を失い、結局「頑張ってるな」という感想しか持てません。
良い例:
誰でも5分で書けて、マネージャーが集計しやすい「共通フォーマット」を作りましょう。
【〇〇プロジェクト 活動報告シート(Googleスプレッドシート)】
ルール: 毎日、業務終了時に各自が1行追記する
項目:
- 日付: (自動入力)
- 担当者名: (プルダウン選択)
- 活動種別: (プルダウン選択:新規架電, 既存フォロー, 資料作成, etc.)
- 活動内容: (自由記述:〇〇社に△△を提案)
- 成果: (プルダウン選択:アポ獲得, 資料送付, 宿題, etc.)
- 所感・課題: (自由記述:〇〇の機能について質問あり)
→ これだけで、チーム全体の活動量、成果の内訳、課題の傾向が全てデータ化されます。「Aチームは新規活動が多いのに成果が少ない」といった具体的な課題が、一瞬で可視化されます。
チェックリスト
- □ 報告フォーマットは全員共通か?
- □ 選択式(プルダウン)多用し、入力の手間を省いているか?シンプルか?
- □ 報告されたデータは、ソートや集計が可能な形式か?文字の自由入力ではないな?
- □ 誰が、いつ、どこに報告するかが明確になっているか?
鉄則17: システム環境を構築する
なぜ必要か:ツールの動作が遅い、すぐ落ちる。それだけでメンバーのやる気と時間は奪われるから。
「テスト環境に繋がらない」「PCが固まって再起動に10分…」
これは、もはや仕事ではなく、仕事の邪魔をする障害物と戦っている状態です。
悪い例:
「会社の古いPCでなんとか頑張って」
「開発環境は、各自でググって構築しておいて」
「本番環境で直接修正しちゃえ!」(論外)
→ メンバーは、本来発揮すべき能力の20%も出せません。優秀な人ほど、この環境の悪さに嫌気がさして辞めていきます。
良い例:
メンバーが「何も考えず」に作業を開始できる、快適なシステム環境を最初に用意しましょう。
- PCスペックの標準化: プロジェクトで使うツールが快適に動くスペックのPCを全員に支給する。
- アカウントの一括発行: 必要なツールのアカウントは、入社・配属初日にすべて使える状態にしておく。
- 開発・テスト環境の整備: 本番と同じ構成の安定したテスト環境を用意し、いつでも使えるようにする。
- セットアップ手順書の用意: PCの初期設定や開発環境の構築手順を、誰でも再現できるように文書化しておく。
→ システム環境への投資は、メンバー全員の生産性を毎日、数%~数十%向上させる、最も費用対効果の高い投資です。
チェックリスト
- □ プロジェクトに必要なPCスペックは満たされているか?
- □ 必要なツールのアカウントはすぐに発行されるか?
- □ 安定したテスト環境は用意されているか?
- □ 環境構築の手順は文書化されているか?
- □ 困ったときに相談できるシステム担当者はいるか?
まとめ
今回のポイント
- 報告フォーマットを統一し、活動を「データ」として蓄積する。
- システム環境は「コスト」ではなく、生産性を生み出す「投資」である。
- メンバーを「戦う前」の段階で疲れさせないのが、マネージャーの役目。
今日からできること
- □ 今の報告フォーマットを見直し、「自由記述」を「選択式」にできないか1つ検討してみる。
- □ チームメンバーに「仕事で使っているツールで、一番動作が遅い・ストレスなものは何か」をヒアリングしてみる。
地味ですが、インフラの整備はボディブローのように効いてきます。
日々の小さなストレスを取り除くことが、プロジェクト全体の大きな推進力に繋がります。
◆次回予告
第7回: 実働段階+総括
次回はいよいよ最終回!
プロジェクトを実際に動かし、ゴールまで導くための「定例会議」の設計と、不測の事態に備える「シミュレーション」について解説します。
◆連載スケジュール(再掲)
- 第1回: 運用の4か条 ✓
- 第2回: コミュニケーション設計(前編) ✓
- 第3回: コミュニケーション設計(後編) ✓
- 第4回: モチベーション設計 ✓
- 第5回: ツール・マテリアル編(前編) ✓
- 第6回: ツール・マテリアル編(後編) ← 今回
- 第7回: 実働段階+総括






