
プロジェクト成功率を3倍に引き上げるテク30 ~Last
どうも、たてやんです。
プロジェクト成功率3倍テクシリーズ、ついに最終回の第7弾です。
たぶん連載形式は二度とやりませんw
今後の投稿はまとめてプレゼン資料化して投稿しよう。15個と言いつつ15+4になってるし。
これまで6回にわたり、目的設定からコミュニケーション、モチベーション、ツールに至るまで、プロジェクトを成功に導くための「準備」についてお伝えしてきました。
しかし、どれだけ完璧な計画と武器を揃えても、プロジェクトは勝手に進みません。実際に船を動かし、嵐を乗り越え、目的地まで航海をやり遂げる「実働」フェーズが残っています。
今回は、プロジェクトを確実にゴールまで導くための「実働段階」の鉄則と、シリーズ全体の総括をお届けします。
最下部には一覧資料も付けてありますのでご一読を!
ではどうぞ。
鉄則18: 定例会議体を設計する
なぜ必要か:目的のない会議は、組織にとって最大のコストだから。会議は「報告会」ではなく「意思決定」の場である。
「とりあえず集まって、各自が進捗を報告して、特に何も決まらずに終わる」
この毎週1時間が、10人のチームなら週10時間、月40時間の浪費です。
悪い例:
アジェンダなしで始まる週次定例。
「じゃあ、Aさんから順番に進捗どうぞ」
(全員の報告を聞き終わって)「みんな大変そうだけど、引き続き頑張って!」
→ メンバーはこう思います。
「(この会議、Slackの報告で良くない?)」
「(他の人の話、俺に関係ないしな…)」
「(結局、俺の課題は解決しなかった…)」
良い例:
会議は「目的」「アジェンダ」「ゴール」を明確に定義してから始めましょう。
【〇〇プロジェクト 週次定例アジェンダ】
- 目的: プロジェクトの課題を全員で特定し、解決策と次のアクションを決定する
- 時間: 毎週月曜 10:00-10:30 (30分厳守)
- アジェンダ:
- KPTによる振り返り (15分):
- Keep: 良かったこと、続けること
- Problem: 課題、問題点
- Try: 次に試すこと
- 課題の深掘りと担当決定 (10分): Problemの中から最重要課題を1つ選び、解決策を議論
- アクション確認 (5分): Tryと解決策の担当者・期限を全員で確認
- KPTによる振り返り (15分):
→ この会議のゴールは「次週のアクションリストが完成していること」。報告を聞く場ではなく、次に何をすべきかを決める場です。
チェックリスト
- □ 会議の目的とゴールは明確か?
- □ アジェンダは事前に共有されているか?
- □ 意思決定に集中するための設計になっているか?
- □ 時間内に終わらせるためのファシリテーターはいるか?
鉄則19: シミュレーションを実施する
なぜ必要か:プロジェクトに「想定外」はつきものだから。「備え」がパニックを防ぎ、チームを強くする。
「キーマンが突然入院」「リリース直後に致命的なバグが発覚」
問題が起きてから慌てて対応策を考えると、判断を誤り、事態はさらに悪化します。
悪い例:
「まあ、何かあったらその時考えよう」
「きっと大丈夫だろう」という根拠のない楽観主義。
→ いざ問題が起きると、犯人探しが始まり、対応は後手に回り、顧客からの信頼を失います。
良い例:
プロジェクト開始前や重要なマイルストーンの前に、「最悪の事態」を想定したシミュレーション(プレモルテム)を行いましょう。
【炎上シミュレーション お題】
- お題1: 「リリース直後、システムがダウンして全面停止。復旧の目処が立たない。どう動く?」
- 対応策案:
- ①緊急連絡網に従い、関係各所に即時連絡(誰が、誰に、何を)
- ②広報担当が、HPとSNSで一次報告(テンプレート使用)
- ③技術チームが、原因特定と切り戻し手順を開始
- 対応策案:
- お題2: 「競合が、うちの半額の新サービスを発表。どうする?」
- 対応策案:
- ①営業チームで、想定問答集を作成
- ②開発チームで、価格以外の付加価値を再検討
- ③マーケチームで、優位性を訴求するキャンペーンを企画
- 対応策案:
→ シミュレーションの目的は、未来を予知することではありません。問題発生時の「思考の訓練」と「対応手順の確認」です。一度でも訓練しておけば、本番での冷静さが全く変わります。
チェックリスト
- □ プロジェクトの重大なリスクは特定されているか?
- □ リスク発生時の対応計画(コンティンジェンシープラン)はあるか?
- □ 緊急時の連絡体制は明確か?
- □ チームで対応手順のシミュレーションを行ったか?
総括:プロジェクト成功は「準備」が9割
全7回、19個の鉄則にお付き合いいただき、ありがとうございました。
「目標設定」「責任者任命」から始まり、「タスク明確化」「報告ルール」「モチベーション設計」「ツール整備」、そして今回の「会議設計」「シミュレーション」まで。
一つ一つは当たり前に聞こえるかもしれません。というか、当たり前です。
しかし、多くのプロジェクトが失敗するのは、才能やリソースが足りないからではなく、この「当たり前の準備」ができていないからです。
これらの鉄則は、天才でなくても、普通のチームが、当たり前に成果を出すための「再現性のある仕組み」です。
すべてを一度にやる必要はありません。
まずは一つでも、あなたのチームに取り入れてみてください。
必ず、プロジェクトの成功率は劇的に変わるはずです。
この連載で解説してきた19項目のテクニックをまとめた資料はこちらです。誰かの参考になればうれしい!
あなたのプロジェクトが成功することを、心から願っています。
◆連載スケジュール(完)
- 第1回: 運用の4か条 ✓
- 第2回: コミュニケーション設計(前編) ✓
- 第3回: コミュニケーション設計(後編) ✓
- 第4回: モチベーション設計 ✓
- 第5回: ツール・マテリアル編(前編) ✓
- 第6回: ツール・マテリアル編(後編) ✓
- 第7回: 実働段階+総括 ← 今回






