【AWS上なら無償】3Dアプリの高速リモートアクセスを提供するNICE-DCVを触ってみた

AWS上では無償となるHPC向けのリモートアクセスソフトウェアであるNICE DCVを紹介します

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大栗です。

AWSではhigh performance computing(HPC)分野での投資を続けいています。2016年にはイタリアのソフトウェア企業であるNICEを買収しています。今回はNICEの代表的なソフトウェアであるNICE Desktop Cloud Visualization (DCV)のはじめ方に付いてまとめてみます。

NICE DCVとは?

HPC分野のシミュレーションや可視化はハイエンドなグラフィックが必要になる場合が多くあります。その様な場合に必要となる、ハイエンドグラフィック向けに最適化された2D/3DインタラクティブアプリケーションにリモートでアクセスできるソフトウェアがNICE DCVです。

特徴として以下のようなものがあります。

  • ピクセルを移動して一元化された HPC データを維持
  • Linux や Windows の 3D アプリケーションへのリモートアクセスを実現
  • 広範なネットワークエリアでのスムーズで反応性に優れた使用感
  • オンプレミスと AWS での一貫した使用感
  • OpenGLおよびDirectXアプリケーション用の完全なGPUアクセラレーション
  • NVIDIA KeplerおよびMaxwellカードでのハードウェアアクセラレーションによるH.264エンコーディング

またAWSがNICEを買収したことによりNICE DCV 2017がAWS上では無償になっています。

やってみる

以下の環境で試してみます。

  • リージョン: 東京
  • クライアントマシン: Windows 10
  • クライアントブラウザ: Microsoft Edge 42.17134.1.0

NICE DCV Serverを起動する

今回はDCV 2017 Getting Started on AWSのCloudFormationテンプレートから起動します。なお、公式サイトにリンクのあるテンプレートをそのまま使用すると、NICE DCV Serverがパブリックに全開放された状態で起動するのでセキュリティグループでアクセス元を制限する必要があります。

Asia Pacific (Tokyo)のAgree and Continueをクリックします。

クリックするとCloudFormationのConsoleが起動します。

パラメータを以下のように指定しました。

パラメータ名 設定値 備考
スタックの名前 DCV2017 任意の名前を設定します
Operating System CentOS7 Windows Server 2012 R2, Windows Server 2016, CentOS7から選択します
Password <任意> デフォルトはCh4ng3M3!です
Instance Type m4.large 必要なタイプを選択します
Disk Size 100 デフォルトは30です
Key pair name <任意のキー> 任意のKeyPairを設定します

AWS CloudFormation によって IAM リソースが作成される場合があることを承認します。にチェックして作成をクリックします。

NICE DCV Clientをインストールする

Download NICE DCVのページからNICE DCV 2017.1 Clientをダウンロードします。

ダウンロードしたnice-dcv-client-Release-2017.1-5777.msiをクリックします。

Nextをクリックします。

EULAに同意してチェックボックスをチェックしてNextをクリックします。

今回はUSBデバイスを使用しないため、そのままNextをクリックします。

Installをクリックします。

インストールが開始されます。

インストールが完了したらFinishをクリックします。

NICE DCV ClientからServerへ接続する

NICE Desktop Cloud Visualization Clientを起動します。起動するとServerのIPアドレスを入力する画面が表示されるのでIPアドレスを入力してConnectをクリックします。

接続先Serverのfingerprintを確認してTrustをクリックします。

ユーザ名とパスワードを入力します。Linuxの場合のユーザ名はdcvuserで、パスワードはCloudFormation起動時に設定したもの(今回はデフォルトのCh4ng3M3!)を入力して、Loginをクリックします。

接続を待ちます。

自動でログインできない場合はCentOSのログイン画面で、もう一度ログインします。

CentOSの画面が表示されます。

FirefoxなどのGUIアプリケーションも起動できます。

WebブラウザからServerへ接続する

注意: デフォルトでは自己署名証明書によるTLS化がされているためセキュリティ上重大な問題があります。一時的な検証用途以外での接続は行わないように注意してください。

作成したCloudFormationの出力でLinuxDcvURLの項目のURLをクリックします。Windows Serverを起動した場合はWindowsDcvURLになります。

自己署名証明書でTLS化してるためこのサイトは安全ではありませんと表示されます。今回は安全でない事を承知して先に進めます。

詳細を表示してWebページへ移動をクリックします。

ユーザ名とパスワードを入力します。

Webブラウザからのリモートアクセスが行えました。

さいごに

HPC分野では大量のデータ処理に焦点が置かれやすいですが、処理後の可視化も重要な機能となります。AWSのHPC分野への投資によりAWS上ではNICE DCVが無償利用できるのは大変ありがたいです。