2026年個人情報保護法改正にともなうCookie、Trackerのマネージメントについて

2026年個人情報保護法改正にともなうCookie、Trackerのマネージメントについて

2026.02.18

ベルリンのしがひです。

Classmethod Europe GmbHでCookiebotのプラチナムリセラーとして、日本企業・欧州企業のプライバシー対応を支援しています。今回は、2026年の個人情報保護法改正が日本企業のWebサイト運用にどのようなインパクトを与えるのか、そしてCMP(同意管理プラットフォーム)であるCookiebotを活用してどう効率的に対応できるかを詳しく解説します。

そもそも何が起きているのか ― 改正の背景

個人情報保護法には、施行後「3年ごとに見直す」という附則が定められています。2023年11月に検討が開始され、約2年の議論を経て、2026年1月9日の個人情報保護委員会で制度改正の方針が正式に公表されました。当初は2025年の通常国会での法案提出が想定されていましたが、AI関連規制や課徴金制度の設計に時間を要し、2026年通常国会への提出にスケジュールが変更されています。

ここで重要なのは、今回の改正が単なるマイナーアップデートではないということです。GDPRの施行から8年が経過し、世界的にプライバシー規制が成熟期に入るなかで、日本法もいよいよ「実効性のある執行」へと舵を切ろうとしています。

改正の三大ポイント ― なぜ「重大」なのか

今回の改正で特に企業のWebサイト運用に影響が大きいのは、以下の3つです。

1. 個人関連情報の規制強化(最重要)

これが今回の改正の核心です。

現行法では、Cookie IDなどの「個人関連情報」は、第三者提供時に限って同意取得が必要でした。つまり、自社サイトで取得して自社内で利用する分には、明示的な同意は求められていなかったのです。

改正後は、この範囲が大幅に拡大する見込みです。個人関連情報について、不適正利用の禁止不正取得の禁止が新たに導入されます。対象として想定されているのは、Cookie ID、メールアドレス、電話番号、位置情報、閲覧履歴、購買履歴、興味関心情報など、およそWebサイトのマーケティングで日常的に扱っているデータのほぼすべてです。

これは何を意味するか。自社サイトに設置されているCookieの全容を正確に把握し、利用目的を明確化し、ユーザーに適切に通知・同意取得を行う必要があるということです。

2. 課徴金制度の導入

現行法の大きな問題点として、違反行為に対する経済的制裁が実質的に機能していないという点がありました。勧告や命令を受けても、違反によって得た経済的利益をそのまま保持できてしまう ― いわゆる「やり得」の構造です。

改正では、この問題を解消するために課徴金制度が新設されます。対象となる違反行為は以下の5類型です。

  • 不適正利用の禁止違反
  • 不正取得
  • 違法な第三者提供
  • 統計作成等の特例義務違反
  • オプトアウトに関する義務違反

課徴金の額は「対象行為の対価として得た財産上の利益に相当する額」とされており、要件として1,000人以上の本人に影響する大規模事案であること、権利利益侵害があること等が挙げられています。

ここで注目すべきは、Webサイトのcookieによるデータ収集は、サイトへのアクセス数次第で容易に1,000人を超えるという点です。つまり、一定のトラフィックがあるWebサイトを運営している企業は、ほぼ例外なく課徴金制度の射程に入りうるということになります。

3. 同意規律の見直し(強化と緩和の二方向)

改正は規制強化一辺倒ではありません。リスクベースアプローチの考え方が導入され、リスクの高低に応じた規律の使い分けが行われます。

強化される領域:

  • マーケティング目的のCookie利用(ターゲティング広告、プロファイリングなど)
  • 16歳未満の子どもの個人情報(新設の保護規定)
  • 生体認識データの取り扱い

緩和される領域:

  • 統計目的での利用
  • AI学習目的での利用(一定条件下)
  • 本人の意思に反しないことが明らかな場面

この「強化と緩和」の二層構造は、GDPRの正当利益(Legitimate Interest)の考え方に通じるものがあり、欧州でのプライバシー対応を見てきた身としては、日本法が国際的な水準に近づきつつあることを強く感じます。

なぜ今から準備が必要なのか

法案が国会に提出されてから成立・施行までには一定の猶予期間があります。しかし、以下の理由から今から準備を始めるべきです。

第一に、Cookie棚卸しには時間がかかる。 複数サイトを運営している企業の場合、すべてのサイトで使用されているCookieを洗い出し、利用目的を分類し、送信先を確定する作業は、想像以上に工数がかかります。実際にお客様の支援をしていると、外部タグの追加によりcookie数が170個から900個に膨れ上がっていたケースもありました。手作業での管理には限界があります。

第二に、課徴金制度は「遡及的」な性格を持つ。 違反行為によって得た経済的利益を事後的に没収する仕組みであるため、「法律が施行されてから対応する」では手遅れになる可能性があります。

第三に、グローバル対応との整合性。 改正CCPAは2026年1月に施行済みであり、GDPRへの対応も含め、日本法・米国法・EU法を横断的にカバーする体制構築が求められています。

CookiebotでどうやってCookie対応を効率化するか

ここからは、改正法の各ポイントに対して、Cookiebot CMPの機能がどのように対応できるかを具体的に見ていきます。

個人関連情報の規制強化への対応

改正法で最も対応が求められる「個人関連情報の全容把握と適切な同意取得」に対して、Cookiebotは以下の機能で対応します。

自動スキャン機能

Cookiebotの特許技術による自動スキャンは、Webサイト上のすべてのCookieとトラッカーを自動検出します。月次で定期スキャンが実行されるため、外部ベンダーが追加したタグや、サードパーティスクリプトが新たに設置するCookieも漏れなく捕捉できます。

複数サイトを運営している場合、各サイトごとのCookie状況を一元的に把握できるため、「どのサイトで何のCookieが使われているか分からない」という状態を解消できます。

4カテゴリ自動分類

検出されたCookieは、「必要(Necessary)」「設定(Preferences)」「統計(Statistics)」「マーケティング(Marketing)」の4カテゴリに自動分類されます(未分類のCookieは一時的に「Unclassified」として表示され、確認後に適切なカテゴリに振り分けます)。これにより、改正法で求められる「利用目的の明確化」がCookieレベルで実現します。

事前ブロック(ゼロクッキーロード)

ユーザーの同意取得前にCookieが設定されることを自動的にブロックする機能です。改正法で求められる「事前同意」の要件に直接対応できます。この機能がなければ、ページ読み込み時にすでにCookieが設定されてしまい、同意バナーを表示しても法的には「事後通知」になってしまうリスクがあります。

Cookie宣言の自動生成

検出されたCookieの詳細(名前、提供元、目的、有効期限など)を含むCookieポリシーページが自動で生成・更新されます。改正法の通知義務への対応を自動化でき、手動での文書管理の負荷を大幅に軽減できます。

課徴金リスクへの対応

課徴金制度のもとでは、「適切な同意を取得していたこと」を証明できることが決定的に重要になります。

同意ログの完全保存

Cookiebotは、すべてのユーザーの同意記録を安全に保存します。「いつ、誰が、何に同意したか(あるいは拒否したか)」の完全な監査証跡が確保されるため、課徴金の適用判断において「適法な運用を行っていた」ことの証拠として活用できます。

継続的な自動スキャン

定期スキャンにより、未検出・未分類のCookieを早期に発見し、意図しない違反を防止します。先述のcookie数急増のような事態が発生しても、次回スキャンで検知されるため、リスクの放置を防げます。

リスクベースアプローチへの対応

改正法で導入されるリスクベースアプローチ ― すなわち「統計目的は緩和、マーケティング目的は厳格化」という二層構造への対応は、Cookiebotの4カテゴリ分類がそのまま活かせます。

カテゴリ別同意取得

Cookiebotの同意バナーでは、ユーザーがカテゴリごとに同意・拒否を選択できます。「統計」カテゴリと「マーケティング」カテゴリが明確に分離されているため、改正法のもとで統計Cookieには緩和ルールを、マーケティングCookieには厳格ルールを個別に適用する運用が可能です。

Google Consent Mode V2連携

CookiebotはGoogle Consent Mode V2に対応しています。同意ユーザーのコンバージョンは通常通り計測され、非同意ユーザーについてもプライバシー保護された推定計測が維持されます。法令遵守とマーケティング効果測定の両立を実現できるのは、実務上非常に大きなメリットです。

こどもの個人情報保護への対応

改正法では、16歳未満の子どもの個人情報について特別な保護規定が新設されます。この方向性は、EUのGDPRやAge Appropriate Design Codeに類似しています。

Cookiebotでは、地域別・条件別のバナー表示設定が可能であり、子ども向けサイトでの厳格な同意要件設定にも対応できます。すでにGDPR(子どもの同意年齢16歳)やCOPPA(米国、13歳)への対応実績があるため、日本法改正への迅速な対応が期待できます。

GDPR・CCPAとの比較から見る改正の位置づけ

欧州でプライバシー対応の現場を見てきた立場から、今回の改正をGDPR・CCPAと比較してみます。

課徴金の観点: GDPRでは「全世界年間売上の最大4%」という巨額の制裁金が規定されています。日本の課徴金制度は「違反による経済的利益相当額」であり、金額的にはGDPRほどの水準には達していません。しかし、従来の「実質的な制裁なし」からの転換は、日本のプライバシー規制史において画期的です。

同意の考え方: GDPRは原則としてオプトイン(事前同意)を求めます。改正CCPAはオプトアウト(事後拒否)がベースです。今回の日本法改正は、リスクベースで両方を使い分ける方向であり、ある意味で「GDPRとCCPAの中間」に位置する実務的なアプローチと言えます。

Cookiebotは、GDPR、CCPA/CPRA、LGPDなど主要なプライバシー法にすでに対応済みであるため、日本法改正への対応も、これらの既存対応の延長線上で効率的に行えるのが大きな強みです。複数の法域に拠点やユーザーを持つ企業にとって、一つのCMPで横断的にカバーできることは運用負荷の観点で非常に重要です。

具体的な導入・対応ステップ

2026年の法改正施行に向けて、以下のステップで準備を進めることを推奨します。

Step 1:現状把握(Cookie棚卸し)

Cookiebotを導入し、すべてのWebサイトに対して自動スキャンを実行します。各サイトで使用されているCookieの全容を把握し、利用目的が不明なCookieや、想定外のサードパーティCookieがないかを確認します。Classmethod EuropeはCookiebotのトライアルアカウントの発行が可能であるため、このプロセスは無償で行うことができます。

Step 2:分類と制御設定

スキャン結果をもとに、各Cookieを4カテゴリ(必要・設定・統計・マーケティング)に適切に分類します。特に「マーケティング」と「統計」の分類を正確に行うことが、改正法のリスクベースアプローチへの対応の肝になります。事前ブロック(ゼロクッキーロード)を有効化し、同意前のCookie設定を防止します。

Step 3:同意バナーとポリシーの整備

日本語のCookie宣言文(目的文)を作成し、Cookiebotの同意バナーを法改正の要件に沿って設定します。Google Consent Mode V2の設定も併せて行い、GA4やGoogle広告との連携を確保します。

Step 4:同意ログの管理体制構築

課徴金制度の導入に備え、同意ログが適切に保存・管理されていることを確認します。監査対応を想定した証跡の保全体制を整えます。

Step 5:継続的な運用監視

月次スキャンレポートの確認を定期的に実施し、新規Cookieの検出・分類・対応をルーティン化します。法改正の施行時期に合わせた設定の微調整にも対応できるよう、運用体制を整えておきます。

まとめ

2026年の個人情報保護法改正は、日本のプライバシー規制にとって大きな転換点です。個人関連情報の規制強化、課徴金制度の導入、リスクベースアプローチの採用 ― これらの変更は、Webサイトを運営するすべての企業に実務的な対応を迫ります。

特にCookie、トラッカーに関しては、「どのCookieが何の目的で使われているかを把握していない」「同意取得の仕組みがない」「同意の記録が残っていない」といった状態は、改正法のもとでは明確なコンプライアンスリスクとなります。

CookiebotのようなCMP(同意管理プラットフォーム)を活用することで、自動スキャンによるCookieの全容把握、カテゴリ別の同意取得、事前ブロック、同意ログの保存、Google Consent Mode V2対応といった一連の対応を効率的に実現できます。GDPRやCCPAへの対応実績があるグローバルCMPだからこそ、日本法・米国法・EU法を横断的にカバーする運用が可能です。

Classmethod Europe GmbHでは、Cookiebotの公式リセラーとして、ライセンス販売から導入支援、運用支援、法改正への対応アドバイスまで一貫してサポートしています。

さらに、Cookiebotの導入だけでなく、GTMなどのタグマネージャーの管理・運用を含めたマネージドサービスも新たに開始しました。Cookiebotの同意制御はGTM(Google Tag Manager)と密接に連動しており、同意カテゴリに応じたタグの発火制御、Google Consent Mode V2のシグナル設定、コンバージョンタグの適切な管理など、CMPとタグマネージャーの両方を正しく設定・維持しなければ法令対応として不十分になるケースが少なくありません。「Cookiebotを入れたけどGTM側の設定が追いついていない」「タグの追加・変更のたびに同意制御との整合性が崩れる」といった課題に対して、CMP+タグマネージャーの運用をまとめてお任せいただけるサービスです。

「何から始めればいいか分からない」「複数サイトの対応が追いつかない」「タグ管理まで手が回らない」といったお悩みがあれば、ぜひご相談ください。

Cookiebotに関するお問い合わせは cookiebot.jp からお気軽にどうぞ。

参考リンク

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