
【iOS 27】Apple Intelligence でアプリづくりは何が変わるのか — AFM 3 の全体像
はじめに
こんにちは。リテールアプリ共創部の Yahiro です。
2026 年 6 月の WWDC26 で、Apple は AI 基盤を AFM 3(Apple Foundation Models 3) に刷新しました。iOS 27 で、私たちがつくるアプリからこれを呼べるようになります。
なお、本記事の内容は 2026年9月時点のものです。提供時期や対応言語は変わることがあるので、実際の判断には Apple の最新情報をご確認ください。
この記事でわかること
- iOS 27 でアプリから使える AI がどう広がったのか(見る・読む・探す・選ぶ・確かめる)
- 「オンデバイス」が普通のクラウド AI と何が違うのか
- 端末の中で処理することの、実務上の意味
- Apple のサーバーモデル(PCC)を使う条件
- 動く端末が限られるということ
iOS 27 で変わった4つのこと
アプリから AI を呼べること自体は iOS 26 からできていました。iOS 27 の追加は、大きく4つに括れます。
① 見る — 画像を理解できるようになった
写真をそのままプロンプトに添えて質問できます。レシート、棚札、図面、現場写真。しかも画像は端末から出ません。
② 読む・探す — 標準の「ツール」が用意された
AI にツールを持たせておくと、必要なときに AI が自分で使ってくれます。iOS 27 では、そのツールが標準で用意されました。
| ツール | できること |
|---|---|
| 文字の読み取り(OCR) | 画像の中の文字を構造化されたテキストとして取り出す |
| バーコード・QR コードの読み取り | 商品コードや管理番号を拾う |
| 端末内の検索 | アプリが Spotlight に登録したデータを AI が探して、それを根拠に答える |
3つめの「端末内の検索」がかなり興味深いです。社内文書やアプリ内のデータを、外に出さずに「聞ける」ようになります。
③ 選ぶ — モデルが選べるようになった
呼び先が3つに増えました。
| 呼び先 | どこで動くか | 認証・課金 |
|---|---|---|
| 端末の中のモデル | ユーザーの iPhone | 不要 |
| Private Cloud Compute | Apple のサーバー | 不要(条件を満たせば追加費用もなし) |
| 他社のモデル(Claude / Gemini) | Anthropic / Google のサーバー | 自分で用意する(API キー・契約・利用量に応じた費用) |
WWDC26 では、Anthropic の Claude と Google の Gemini が、それぞれ Swift のパッケージを公開すると発表されました。ただし、これは PCC の上で動くわけではありません。 それぞれの会社のサーバーを呼びに行くので、認証も課金も自前になります。
このほか、自前のモデルを端末に載せて動かす道も用意されています。
④ 確かめる — 品質を数字で測れるようになった
AI 機能の困るところは、「だいたい動く」のか「ちゃんと動く」のかが分からないことでした。10 回試して 9 回よかった、で終わってしまいます。プロンプトを直しても、本当に良くなったのか、たまたま良い結果が出ただけなのかが判断できません。
iOS 27 では、これをテストとして書ける仕組みが用意されました。
まとめると、「文章を扱う」から「見て、読んで、探して、判断する」へ広がった、というのが今回の変化かなと思っています。
そもそも「オンデバイス」とは
いま世の中でよく使われている AI サービスは、だいたいこういう流れで動いています。
一方、オンデバイス AI はこうです。
外に出ません。 デバイスの中で完結します。
端末の中で処理することの意味
1. データが端末から出ない
たとえば「社内の見積書を要約したい」という話があったとき、いままでは真っ先にこれを確認する必要がありました。
- その書類を外部サービスに送っていいのか
- 送った内容は学習に使われないか
- 情報システム部門の承認は取れるのか
オンデバイスなら、この会話が要りません。 データが端末から出ないので、「外部に送る」という前提そのものが消えます。
医療、金融、公共、あるいは単に「社外秘」と書いてある書類。これまで AI の話が持ち出しにくかった領域で、話が始められるようになります。
2. 使うたびのお金がかからない
クラウドの AI は、呼ぶたびに費用が発生します。ユーザーが増えれば増えるほど、利用が増えれば増えるほど、コストが積み上がります。
オンデバイスは、ユーザーの iPhone が計算しています。 アプリを提供する側の従量課金はありません。
3. 通信が要らない
電波が届かない場所でも動きます。
地下、工場、山間部、飛行機の中。オンデバイスなら、そこでも同じように動きます。
4. 導入の摩擦が小さい
API キーの発行も、アカウントの用意も、契約も要りません。
アプリ側から見ると、OS が持っている機能を呼ぶだけです。「AI を使うために事前に何かを契約する」という段取りが不要になるので、導入のハードルがかなり下がります。
Apple のサーバーモデルも使える
オンデバイスだけの話ではありません。iOS 27 では、Apple のサーバー側のモデル(Private Cloud Compute)も、アプリから直接呼べるようになりました。
こちらは端末のモデルより大きく、一度に扱える量も4倍以上あります。
| 費用 | クラウド API のコストなし |
| 端末 | Apple Intelligence 対応端末が必要。 サーバー側だからといって、非対応の端末で使えるようにはならない |
| 制限 | ユーザーごとに1日の利用上限がある(iCloud+ の加入者は上限が引き上げられる) |
| 認証 | API キー・アカウント設定は不要 |
| プライバシー | プロンプトは保存されない。独立した研究者が検証できる仕組み |
そして注目すべきは利用条件です。次の3つをすべて満たす必要があります。
| 条件 |
|---|
| App Store Small Business Program に登録している |
| 全アプリ合計の初回ダウンロード数が 200 万件未満 |
| PCC entitlement がアカウントに割り当てられている(デベロッパサイトから申請) |
ただし、動く端末が限られる
iOS 27 自体はもっと古い機種にも配信されますが、AI 機能が動くのは Apple Intelligence に対応した端末だけです。
しかもこれは、端末の中のモデルに限った話ではありません。WWDC26 のセッションでは、サーバー側の Private Cloud Compute についても「オンデバイスモデルと同様に、Apple Intelligence デバイスでのみ利用できます」と説明されています。つまり「端末が非対応だからクラウドに逃がす」という抜け道はありません。
「iOS 27 にアップデートすれば使える」ではない、というのがここでの要点です。しかも同じ世代の iPhone でも、モデルによって対応と非対応が分かれます。
最後に
iOS 27 から、AFM 3 が大幅に拡張されました。今後のアプリ開発も、これらが前提になってくると思います。
しばらくさまざまな記事で、これらをまとめていこうと思います!
次回は、具体的にどの機種が対応しているのか、そして対応端末のなかでも何が変わるのかを扱います。
参考
- WWDC26「Foundation Model フレームワークの新機能」
- WWDC26「プライベートクラウドコンピューティングによる Apple Foundation Model の活用」
- WWDC26「Evaluations フレームワークについて」
- Apple Developer「Private Cloud Compute」
- Apple Developer「Apple Intelligence 最新情報」
- Apple Machine Learning Research「Introducing the Third Generation of Apple's Foundation Models」






