【iOS 27】Private Cloud Compute とは何か

【iOS 27】Private Cloud Compute とは何か

iOS 27 と AFM 3 の登場で話題になった Private Cloud Compute(PCC)について、Apple の公開情報を元に調べてみました。端末の中のモデルとの使い分け方から、実装時に必要な条件まで、詳しく紹介します。
2026.09.15

はじめに

こんにちは。リテールアプリ共創部の Yahiro です。

iOS 27 の発表と AFM 3 の登場により、あらためて話題になった Private Cloud Compute(以下 PCC)ですが、実際どういうものなのか気になったので調べてみました。

調べてみると、Apple はかなり細かく情報を公開していました。

この記事でわかること

  • PCC とはなにか
  • アプリから選べるモデルはどれか
  • Apple が何を保証していると言っているのか
  • 端末の中のモデルと、どう使い分けるか

PCC は「Apple のサーバーで動く AFM 3」です

iOS 27 の AI 基盤 AFM 3 は5つのモデルで構成されていて、そのうち3つがサーバー側にあります。

モデル
端末の中 AFM 3 Core 30 億・密なモデル
AFM 3 Core Advanced 200 億・疎な活性化(実際に動くのは 10〜40 億)
サーバー側(PCC) AFM 3 Cloud サーバー側の主力
ADM 3 Cloud (Image) 画像の生成・編集
AFM 3 Cloud Pro 最も高性能

ただし、この5つをアプリから明示的に呼べません。
どこで何が決まるかを並べると

切り替わるもの 誰が決めるか
AFM 3 Core ↔ Core Advanced 端末。アプリから選ぶ方法はない
端末の中 ↔ PCC アプリmodel: を渡すかどうか
AFM 3 Cloud ↔ Cloud Pro アプリからは選べない。どちらが使われているかも公表されていない
文章 ↔ 画像(ADM 3 Cloud) 入口が別。画像は Image Playground から使う

アプリが選べるのは、2行目の「端末の中か PCC か」だけです。呼ぶときは、使うモデルを差し替えるだけです。

import FoundationModels

// 端末の中のモデル
let session = LanguageModelSession()

// Private Cloud Compute
let session = LanguageModelSession(
    model: PrivateCloudComputeLanguageModel()
)

違いは model: を渡すかどうかだけで、プロンプトの書き方も返ってくる形も変わりません。

自動で切り替える機構はないので、PCC を使用するかは明示的に指定する必要があります。

Cloud と Cloud Pro は明示的に指定できない

PrivateCloudComputeLanguageModel の初期化子は引数なしの init() だけで、サーバー側のモデルを選ぶ引数はありません。

Apple の説明も「おなじみの Apple Intelligence 機能の多くを支えているのと同じモデル」までで、それが AFM 3 Cloud なのか Cloud Pro なのか、リクエストの内容によって振り分けているのかは書かれていません。

画像のモデルは Image Playground から使います

ADM 3 Cloud (Image) は、PrivateCloudComputeLanguageModel とは入口が別です。Apple は、写真編集ツールや新しい Image Playground などを支える画像のモデルだと説明しています。アプリからの使い方は、別の記事で扱います。

使う条件

端末 Apple Intelligence 対応端末が必要
費用 クラウド API のコストなし
対象アプリ 下記の3条件をすべて満たすこと
利用上限 ユーザーごとに1日の上限(iCloud+ の加入者は上限が引き上げられる)
認証 API キー・アカウント設定は不要
一度に渡せる量 32,768 トークン
思考量の制御 あり(端末の中のモデルにはない)

対象アプリの条件は3つです

条件
App Store Small Business Program に登録している
全アプリ合計の初回ダウンロード数が 200 万件未満
PCC entitlement がアカウントに割り当てられている(デベロッパサイトから申請)

2つ目が地味に重要で、アプリ単位ではなくデベロッパアカウント全体の合計です。

現状、超えたら有料プランなどはない様なので、超える見込みがある場合は別途手段を考えておく必要があります。

端末が対応していないと、そもそも呼べません。
「端末が非対応だからクラウドを使う」という使い方はできません。

ユーザー側の認証は要りません。 API キーの発行も、アカウントの用意も、トークンの管理もありません。他社のモデルを使う場合は認証も課金も自前になります。

利用回数はユーザーの iCloud アカウントでカウントされます。 Apple は「アラートで知らせるのではなく、閉じられない常設の UI で示すこと」というガイドまで出しています。このあたりの実装は別の記事で扱います。

PCCでは「考える量」を指定できる

PCCでは、どれだけ考えるかを指定できます。

let response = try await session.respond(
    to: prompt,
    contextOptions: ContextOptions(reasoningLevel: .light)
)
どう変わるか
.light 少し追加のコンテキストを集めてから答える
.moderate より深く考える
.deep じっくり考える。思考の部分のテキストが、実際の応答より長くなることもある

深くするほど良い応答が返りやすくなりますが、そのぶん計算と時間がかかります。 応答の速さと質のトレードオフですね。

AFM 3 は Google と共同で作られています

Apple は AFM 3 を「Google との協業でカスタムビルドした5つのモデル群」と説明しています。

また、インフラ面においても、PCC は 2024 年の発表時から Apple silicon を載せた Apple のデータセンターのサーバーで動いてきましたが、WWDC26 と同じ週に、Apple はこれを Google Cloud に拡張すると発表しています。置き換えではなく、Google Cloud 側が追加された形です。

とくに AFM 3 Cloud Pro(最も高性能なモデル)は、Google Cloud 内の NVIDIA GPU 向けに最適化されていると説明されています。

Appleによる保証

Apple は PCC の設計原則として、次の5つを挙げています。

原則 意味
ステートレスな計算 リクエストの処理にだけデータを使い、保存しない
実行可能な保証 仕組みとして担保する(運用ルールに頼らない)
特権的なランタイムアクセスなし Apple の担当者であっても、実行中のデータにアクセスできない
非ターゲット可能性 特定のユーザーを狙って処理を仕向けられない
検証可能な透明性 設計原則は第三者が確かめられる

Google Cloud へ拡張したあとも、この原則は変わらないと説明されています。

また、Apple はユーザーの私的なデータやインタラクションを、デフォルトでは学習に使用しないと宣言しています。

まとめ

並べるとこうなります。

端末の中 Private Cloud Compute
データが端末から出る 出ない 出る(上の保証つき)
オフライン ×
一度に渡せる量 4,096 トークン(iOS 27 の新しめの端末では 8,192) 32,768 トークン
思考量の制御 なし あり
利用回数 制限なし ユーザーごとに1日の上限
費用 なし 条件を満たせばなし

最後に

オンデバイスでのトークン数には、現状はっきりした限界があります。それに対して、PCC というソリューションを Apple は提供してきました。

ただ「無料だから PCC」でも「オンデバイスだから安心」でもなく、バランスよく選んでいきたいですね。

参考


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