【AIF-C01 合格】 LLM 活用を「どう使うか」から再設計するための学び

【AIF-C01 合格】 LLM 活用を「どう使うか」から再設計するための学び

AWS 認定資格 AIF-C01 に合格した経験をもとに、LLM 活用におけるプロンプト設計や倫理的配慮、AWS 各種 AI サービスの基礎知識を整理。ChatGPT を経験則で使う段階から、「なぜその使い方なのか」を再定義する視座を獲得したプロセスを振り返ります。

こんにちは。ゲームソリューション部に所属するエンジニアの越井です。

本記事では、AWS 認定資格の一つである AIF-C01 (AWS Certified AI Practitioner) に合格した経験をもとに、学習内容や試験を通じて得た知見を整理します。

背景と目的

業務における生成 AI の活用が加速する中、理論、用語、倫理的配慮に関する基礎的な理解の必要性が高まっています。

私自身、AI に関連する提案や検証を担当する機会が多く、Amazon Bedrock をはじめとしたマネージド AI サービスを業務で扱う場面も増えてきました。そうした背景から、生成 AI に関する知識の全体像を再確認し、LLM 活用の前提となる理解とリスク設計の整理を目的として、本資格の取得を決めました。

また、AWS 認定全 12 冠(All Cert)の達成も視野に入れており、今回の試験はその一環として位置づけています。

試験の構成と所感

AIF-C01 の出題内容は大きく以下の 4 領域に分かれます:

  1. IAM、VPC、CloudTrail など、AWS セキュリティ基盤の基本知識
  2. 機械学習に関連する基本用語とモデルの活用方法
  3. LLM におけるプロンプト設計、毒性検出、RAG などの応用概念
  4. Bedrock、SageMaker、Amazon Q など、AWS の AI サービス

全体として、広く浅く、体系的な理解を問う形式でした。SA 系の試験とは異なり、設計力よりも定義や概念の理解に重点が置かれており、技術的背景がある受験者にとっては比較的取り組みやすい内容だと感じました。

設問には抽象的なものも含まれており、「最も適切な選択肢はどれか?」という問いに対して確信を持ちきれないケースも少なくありませんでした。ただし、試験全体としては時間的余裕もあり、難易度も高すぎない印象です。

機械学習に関連する用語とユースケース

出題は単なる用語の暗記確認ではなく、「どの状況にどの手法を適用すべきか」を問う内容が中心でした。

  • ロジスティック回帰、k 近傍法、k-means、決定木などのモデル選択の観点
  • 教師あり学習、教師なし学習、強化学習の違いと具体例
  • BERTScore、BLEU、ROUGE など評価指標の使い分け
  • トークン、エポック、バッチサイズといった訓練関連の基本用語

学習方法と時間配分

  • 学習期間:1 週間
  • 学習時間:合計 約 10 時間

学生時代に自然言語処理および音楽情報処理を専攻していたこともあり、機械学習の基礎はある程度理解していました。そのため、今回の学習では主にAWS サービスに関する知識の補強と、概念整理の再確認に注力しました。

使用教材

  • 社内で提供されていた Udemy の講義動画と模擬試験
  • 各サービスの概要確認や比較整理に ChatGPT を活用(特に Bedrock、SageMaker、Amazon Q)

試験で直面した課題と気づき

解答に迷った設問

一部の設問は「安全に使うにはどうすべきか」といった実践的かつ抽象度の高い内容でした。LLM 活用時の倫理的な配慮(毒性検出、バイアス除去、プライバシー保護)に関する出題では、設問の意図や文脈を読み解く力が問われる場面が多く、単純な知識だけでは対応しづらい印象を受けました。

また、線形回帰とロジスティック回帰の違いやトークン化の目的に関して、概念そのものは理解していても、選択肢の表現と微妙に解釈が異なると感じる問題もありました。

業務視点での気づき

実務に直結する成果はまだ見えていませんが、今回の学習を通じてプロンプトエンジニアリングに対する視座が大きく変わったと感じています。

日常的に ChatGPT を業務に取り入れていたものの、「どう書けば望む出力が得られるか」は経験則に依存していました。AIF-C01 を通じて、プロンプトの構造や文脈設計、入力と出力の関係といった論点を整理し、LLM を "どう使うか" に関する知識を体系的に学べたことは大きな収穫です。

たとえば、業務のなかで要件整理からプロンプトを設計する際、「どこを変えればモデルの挙動が変わるか」を論理的に説明できるようになったことで、チーム内での説明やレビューもスムーズになると考えられます。

今後の展望

AWS 認定全 12 冠(All Cert)の取得を目指し、次は SOA-C02(SysOps Administrator) に挑戦予定です。

監視・運用の知識を体系化することで、AI 活用の運用面──とくにセキュリティ、監査、リソース効率といった観点での支援──を視野に入れた技術展開をしていきたいと考えています。

おわりに

AIF-C01 は、他の Associate 試験と比較しても実務の導入支援に重きを置いた資格という印象を受けました。

"生成 AI を活用する" という文脈において、「なぜその使い方なのか」を言語化する力は、設計者・支援者として必須です。本試験は、そのような前提理解を丁寧に整理し直す機会として非常に有意義でした。

ゲーム業界においても、生成 AI の利活用は "モデルを開発する" フェーズから "モデルを選び、統制する" フェーズへと確実に移行しつつあります。AIF-C01 は、その変化を俯瞰し、支援に活かす視点を得るための入り口として、非常に意味のある認定であると感じています。

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