【レポート】セッション「Alteryxセンター・オブ・エクセレンスの立ち上げと拡張の教訓」 - Alteryx Inspire 2025 #AlteryxInspire

業務効率化ソリューション部の兼本です。

本エントリは、2025年05月12日(月)〜2025年05月15日(木)に米国ラスベガスで開催されたAlteryxの年次カンファレンスイベント「Inspire 2025」のセッションレポートです。

https://www.alteryx.com/inspire

このエントリでは、Alteryxを中心とした CoEの構築、拡張、管理を成功させるための戦略について説明した、英国Prudential PLCのKah Wheng Tang氏のセッション「Lessons for Starting and Scaling an Alteryx Center of Excellence（Alteryxセンター・オブ・エクセレンスの立ち上げと拡張の教訓）」をご紹介します。

スピーカー

Kah Wheng Tang / Prudential PLC

CoEとは？

CoEとは、特定の技術領域において高度な専門知識を持つ人材が集結し、組織全体の技術力向上を目指す組織構造です。
本セッションにおいては、データ分析ツール「Alteryx」の活用に特化したCoEの構築についてご紹介いただきました。

なお、CoEは「Calvin Operates Everything（一人で全部やる）」ではないそうです。（アメリカンジョークってわかりにくいですね）

CoE成功のための技術的6つの鍵

6つの鍵をAlteryxの活用を前提に技術的な観点から整理します。

1. リーダーシップとガバナンス

• 経営層のサポートを得て、Alteryxの導入・運用計画を明確化します。
• Alteryxのバージョン管理、ライセンス管理、利用可能なツールセットなどのガバナンスを確立します。
• Alteryx Serverの運用、ワークフローのデプロイメント戦略などを定義します。
• 小規模な成功事例から始め、徐々に利用範囲を拡大する計画を立てます。
• IT部門との連携を密にし、Alteryx Serverのインフラ構築や権限管理などを円滑に進めます。

2. ベストプラクティスと標準

• Alteryxワークフロー開発におけるコーディング規約、命名規則などを標準化します。
• 再利用可能なマクロやカスタムツールの開発を推進します。
• ワークフローのパフォーマンスチューニング、エラーハンドリングなどのベストプラクティスを共有します。
• ワークフローのバージョン管理、ドキュメンテーションを徹底します。

3. トレーニングと開発

• Alteryx Designer、Serverの操作方法、高度な分析テクニックなどのトレーニングプログラムを整備します。
• AlteryxコミュニティやInspireなどの学習リソースを積極的に活用します。
• チーム内での知識共有会、ワークショップなどを定期的に開催します。
• 継続的な学習を奨励し、Alteryxの新機能やベストプラクティスを常にキャッチアップする体制を構築します。

4. チーム構成

• Alteryxの専門知識を持つ人材だけでなく、業務知識やデータ分析スキルを持つ人材も集めます。
• Alteryx Designerだけでなく、Serverの運用・管理スキルを持つ人材も確保します。
• Alteryxコミュニティやイベントを通じて、外部の専門家との交流を深めます。

5. パフォーマンス指標

• Alteryxの利用状況、ワークフローの開発速度、データ処理時間などのKPIを設定します。
• ワークフローの実行時間短縮、エラー率の低減などを具体的な目標として設定します。
• Alteryx Serverのモニタリングツールを活用し、パフォーマンスを定期的に評価します。

6. コラボレーションとコミュニケーション

• Alteryx Serverを活用し、ワークフローの共有・共同編集を促進します。
• Alteryx Galleryを活用し、ワークフローの公開・共有を促進します。
• 定期的なチームミーティングで、進捗状況や課題を共有します。
• Alteryxに関する質問や相談ができる環境を整備します。

追加のポイント（7つ目の鍵）

• 初期段階でCoEの役割を明確にし、「何でも屋」にならないように注意します。
• Alteryxのライセンス管理を適切に行い、無駄なコストを削減します。
• IT部門との連携を密にし、インフラ構築や権限管理などを円滑に進めます。

まとめ

CoEは「Calvin Operates Everything（一人で全部やる）」になりがちですが、必ずチームで運営することが重要です。
また、最初は大きな成果を狙うのではなく、小さな成功体験（Quick Win）を積み重ねることが拡大の鍵となります。
成果や貢献者は社内外に可視化し、称賛や感謝を通じてコミュニティの活性化・定着率向上を図ります。

CoEの組織的位置付けは、スポンサー部門（資金提供元）がどこかによって決まることが多いのも現実的なポイントです。

IT部門とは敵対せず、定期的なレビューや合意形成を通じてパートナーシップを築くことが成功の鍵です。
Alteryxを活用したCoEの構築は、組織全体のデータ分析能力を向上させる上で非常に有効です。
上記のポイントが、今後のCoE構築のご参考になれば幸いです。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。