もう怖くない!Multi-Field Formula Tool(複数フィールドフォーミュラツール)の使い方入門
Alteryxのツールは直感的に使えるものがたくさんありますが、一見しただけでは使い方がわからないツールもまた存在します。Multi-Field Formula Tool(複数フィールドフォーミュラツール)は「なんか便利そうだな…でも難しそうだな…」というツールの一つですよね。
以下は設定画面ですが、なんとも一筋縄ではいかない雰囲気を感じます。ですが使いこなせればかなり強力な力を発揮する便利なツールであることも確かです。このエントリではMulti-Field Formula Toolの苦手意識を払拭するべく使い方を確認していきます。
要は何をするツールなの?
複数のフィールド(列)を作成・更新するツールです。
単一の項目に対する作成・更新であればFormula Toolで実現が可能ですが、例えば以下インプットデータのように複数項目に対して「円」という文字を取り除きたい場合を例にとると、
Formula Toolでも実行は可能ですが、以下のように同じ処理を項目数の分だけ記述しなければなりません。これでは非常に手間がかかりますし、記述漏れなどのリスクもあります。
このような複数項目に対して同じ処理をさせるケースはMulti-Field Formula Toolの得意とするところです。それでは使い方を確認してみましょう。
Multi-Field Formula Tool(複数フィールドフォーミュラツール)の設定項目
前項ではFormula Tool内で似たような処理を5つ分記載しましたが、Multi-Field Formula Toolを使えば以下の一文を記述するだけで同じ実行結果を取得できます。
ToNumber(ReplaceChar([_CurrentField_],'円', ''))
設定画面は以下の通りです。なにやら見慣れない[_CurrentField_]
という文字列がありますが、追って説明します。
項目関連
設定項目の上半分は項目関連の設定が可能です。
①対象項目のデータ型を指定
ドロップダウンリストからデータ型を選ぶと、一致する項目が下のチェックボックスリストに表示されます。リストに欲しい項目が表示されていない時はAll Types of
を指定すると全ての項目が表示されます。
②対象項目を選択
処理を反映させたい項目にチェックを入れて選択します。
③新規で項目を生成する
チェックを入れると、新規で項目が生成されます。今回の例では元のデータを更新したいのでチェックをつけていません。デフォルトではNew_
が入力されていますが、任意の文字列を元の項目名の先頭につけるか後ろにつけるかを選択できます。
④データ型を変更する
処理を実行したデータのデータ型を変更させたい場合にチェックを入れます。
変数
設定項目の下半分では処理の内容を記述します。以下のVariable(変数)タブにある文字列は、ダブルクリックすることで式エディタに挿入されます。
①現在の項目
前項ドロップダウンリストで選択した項目を関数として使用できます。使用できるデータは以下の3種類です。
_CurrentField_ | チェックボックスで選択した項目のデータ |
---|---|
_CurrentFieldName_ | チェックボックスで選択した項目名 |
_CurrentFieldType_ | チェックボックスで選択した項目のデータ型 |
今回は「価格や売上のデータ内に入っている円
を取り除く処理をしたい」という要件です。円
を含むデータを持つ項目をドロップダウンリストで選択していますので、式エディタ上で以下のように記述することで「選択した項目のデータ内にある円
を空白にする」という処理を実行できます。
ToNumber(ReplaceChar([_CurrentField_],'円', ''))
②元の項目
インプットデータの項目が表示されています。
③定数
Alteryx Designerのバージョンや、ワークフローが格納されているディレクトリなどのグローバル変数を選択可能です。使用可能なグローバル変数につきましては以下のリンクをご参照ください。
④式エディタ
式を入力する箇所です。使用可能な関数はFunctions
タブからダブルクリックで追加できます。
それぞれの関数の使用方法については下記シリーズを参照してください。
保存された式
通常のFormula Toolでも同じ機能がありますが、Saved Expressions
タブから保存した式や直近で使用した式を呼び出して使うことも可能です。
さいごに
Multi-Field Formula Toolは一見しただけではどこに何を入力すればいいのかわかりにくいツールではありますが、今回ご紹介したケースのように、同じような処理を複数項目に対して実行したいケースでは大変便利です。ぜひ使ってみてください。
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