Excel業務を大幅改善!株式会社 商船三井様のAlteryx活用事例のウラ側を紹介

2024.04.15

こんにちは!アライアンス事業部のikumiです。

私の所属するアライアンス事業部では、AlteryxやTableau、Snowflakeなどのデータ分析製品のライセンス販売や技術支援としてプロフェッショナルサービスの提供も行っております。プロフェッショナルサービスでは、お客様の「自走」をキーワードに、お客様が導入した製品を最適に使っていく体制の構築の支援をさせていただいております。

以前、クラスメソッドホームぺージに公開されている 株式会社 商船三井様におけるAlteryxの技術支援の事例を紹介させていただきました。

本記事では、このご支援内容におけるWF作成のポイントや、苦戦したポイントについてお伝えしていきます!

株式会社 商船三井様について

株式会社 商船三井様は、世界有数の規模を持つ船隊と、徹底した安全運航で、多彩な輸送ニーズに応える海運業を主軸とした事業を展開している企業です。商船三井様は、エネルギー資源、工業製品、鉄鉱石や穀物、など、あらゆる貨物の輸送を対象とし、多様化する輸送ニーズに対応しています。

クラスメソッドによる支援内容について

Alteryx導入前の課題

商船三井様では以前から予実算管理業務においてExcelが用いられており、年々業務の規模が大きくなるにつれて作業への負担が大きくなっていたそうです。具体的には、『100シートを超える手作業での入力・転記・集計などの工数負担』『膨大な作業に伴うミスの発生』のような問題が発生しており、何か対策が必要だったとのことで、Alteryx(アルテリックス)の導入をしていただき、ワークフロー開発についてもサポートさせていただきました。

複雑なExcel作業をAlteryxのワークフローに変換する難しさ

今回ワークフロー化を行う予実算管理業務では、営業部がそれぞれ担当のシートに手作業でデータを記入しているため想定外なデータが入ってくるリスクや、不要なシートが含まれるなど、データ取り込みの段階でも課題が多い事例でした。課題を整理してみると、

  • フォルダやExcelファイルにまたがる100シートの取り込み方法
  • 想定外のデータが入った場合のエラー検知
  • 項目名やデータ型の整合性の確認
  • シートをまたぐ計算や複雑な計算の反映
  • Alteryxで処理したデータとExcelデータの差分確認

などなど…

以上のように様々な要件がありましたが、これらをAlteryxに反映させ予実算管理業務プロセスの簡略化を実現することができました!

Alteryxではこんなことも実現できます!

前述の通り、複雑なExcelファイルでの作業を自動化するには難しいポイントもいくつかありましたが、今回の事例のワークフロー開発では以下のようなポイントを意識しました。

1. 複数フォルダやファイルにまたがるExcelを一気に取り込みしつつ、想定外のデータが入った場合にエラー検知

これを実現するため、今回の事例ではマクロを使ったデータ取り込みの方法をとりました。

通常、AlteryxでExcelを取り込む場合は1シートずつしか取り込めません。『動的入力ツール』を使うことで複数シートを読み込むことは可能なのですが、これは同じデータ型・列名であるなど、同じスキーマ構造のデータしか受け入れず、想定外のデータが入ってきた場合に対応するにはマクロで取り込む必要がありました。今回の事例では、以下のポイントを抑えて開発しました。

  • 入力フォーマットでは取り込み対象となる複数のフォルダのみを指定
  • マクロ側ではシート単位でデータを取り込み、列項目に間違いがないかチェック
    • 間違いがあった場合は中止しエラーメッセージを出力

具体的な設定内容は割愛しますが、このようなポイントをワークフローに組み込むことでAlteryxで複数フォルダやファイルにまたがるExcelの取り込みと想定外のデータが入った場合のエラーチェックを実現しました。

2. シートをまたぐセルの参照や複雑な計算処理

こちらはむしろAlteryxの得意領域かと思います。ExcelでいうVLOOKUPなどの処理をAlteryxでは『結合』ツールを利用して実現させます。また、『フィルター』や『フォーミュラ』ツールを使って、複雑な条件分岐や計算を行うことが可能です。例えばExcelで複雑な計算をしている場合は、別の人が処理内容を理解することが難しかったりしますが、Alteryxでは処理の内容ごとにツールを配置していくので、処理が見える化されるというのがポイントです!
こちらについては、以下のことを意識してワークフロー開発しました。

  • マスタ情報とトランザクション情報に分けて取り込むことで、シートをまたぐデータ参照を実現
  • 複雑な計算箇所は、注釈やコメント機能を利用してワークフロー自体をドキュメント化

▽こんなイメージでドキュメント化できます!

3. Excelの数値を正として、Alteryxでの処理結果との差分を確認

こちらもマクロを使った差分確認フローを組み込みました。
Alteryxでの計算処理は完全にフロー化できる反面、Excel側に項目のズレや欠落したデータなど、取り込みに不備があると正しく計算されないなどはよくあるケースで、その場合、元ファイルとの差分チェックが必要になるかと思います。今回の事例でもExcelとの差分チェックのフローをマクロで組み込みました。

  • Excel側のシート単位の合計値を取得
  • Alteryxで計算後のシート単位の合計値と比較し、差分のあるシートを出力

以上のポイントを押さえてマクロを作成しました。マクロは複雑な処理を実現できるというのと、処理の内容を”一つのツール”として管理できるのも便利なポイントです!

ワークフロー運用後は業務が大きく改善しました

これまでご紹介させていただいた通り、Excel業務のワークフロー化には苦戦するポイントも多かったように思います。しかしこれを実現できたことで、運用開始後、予実算管理の業務は大きく改善しました。これにより、チームメンバーの残業時間を数十%削減する効果が得られたそうです。

クラスメソッドではお客様のAlteryx活用の段階に応じた支援を行っています!

初期導入パッケージや活用支援パッケージなど、お客様の活用段階の沿った技術支援を提供しています。「導入済みだけどうまく活用できていない方」「Alteryxを導入したいけど取り組み方がわからない」などの悩みやご要望に応じて、クラスメソッドが技術支援を提供いたします。

さいごに

クラスメソッドでの技術支援内容について少しでもイメージが沸いていれば幸いです。今回の事例のように、Alteryxでワークフロー化するのは難しそう・・と思っても、意外と出来ることは多いと感じていただけたのではないでしょうか?Alteryxの導入を検討している方や、ワークフローの構築にお悩みの方、お悩みがなくてもAlteryxの相談相手が欲しい方などなど、是非クラスメソッドまでご連絡ください!