オーケーストア様事例紹介:小売業におけるデータ活用の進化!AlteryxによるExcelの自動化と一貫性の実現 #alteryx

2023年7月20日Alteryx社主催「Inspire On Tour Tokyo」へクラスメソッドはゴールドスポンサーとして協賛しました。様々な業界のユーザー企業によるデータ戦略や活用事例が紹介され、クラスメソッドを含むパートナー企業からも講演や展示ブースを設けました。多くの来場者様がいらっしゃいましたので、本イベントの内容をレポートします。
2023.07.26

こんにちは!アライアンス事業部の清水です、7/20にAlteryx Inspire On Tour Tokyoが開催されました。

本記事では、弊社顧客でもあるオーケー株式会社 田中様による「小売業におけるデータ活用の進化!AlteryxによるExcelの自動化と一貫性の実現」のセッションをレポートします。

セッション概要

「小売業におけるデータ活用の進化!AlteryxによるExcelの自動化と一貫性の実現」

当社では、Excelレポート作成をAlteryxに移行することで職人技のデータ加工の全貌を明らかにするとともに、業務効率を大幅に向上させました。同じ処理を他のレポートにも適用することで一貫性のあるデータ活用が可能になり、人に依存したデータメンテナンスの必要がなくなりました。さらに、Google BigQueryからデータを抽出しExcelレポートを作成することで、BIツールの活用だけでなく、従来から慣れ親しんだExcelでのデータ活用も高度化しました。この講演では、これらの実践を通じて得られた知見と成果を共有します。

オーケー株式会社 IT本部 執行役員 IT本部長 田中 覚氏

アクセンチュアとGEでの経験を経て、スシローではIT改革をリード。店舗支援システムの構築とスシローアプリ、ネット予約システムを開発。その後、独立して会社を設立し、国内外のクライアントに対する業務改革や事業再生のコンサルティング、システム開発サービスを提供。現在はオーケーにおいて、基幹システムのフルクラウド・サーバレス化を推進する一方、ネットスーパーとオーケーアプリを立ち上げ、デジタルマーケティングの推進にも注力している。

冒頭

はじめに

1都3県にスーパーマーケットを展開しているオーケーストア様。

筆者も首都圏に在住していた際には、毎週末必ずと言っていいほど(買い溜め)買い出しに行っていた、かなりのヘビーユーザーでして『オーケークラブ 会員カード』まで保持していました。

そのためイベント概要を見たときから、クラスメソッドのスタッフとしてはもちろんですが、1人の顧客としても、オーケー様のデータ活用が非常に気になっていました。そして会場には、やはり私と同様にオーケー様のデータ活用が気になっている来場者で、このように座席が埋め尽くされておりました。

ご経歴

元々アクセンチュアでコンサルをされていた田中様。統計学を使ってオペレーションを改善する業務に従事し、その経験を活かして回転寿司チェーンのスシローで、寿司皿からデータ分析に携わっていたとのこと。現在は、オーケー株式会社にてデジタルマーケティング改革に携わっていらっしゃいます。

本日の登壇にあたり

「ChatGPT」へ尋ねてみた

今回の登壇にあたり、内容をどうするかChatGPTに尋ねてみたと冒頭でお話しがありました。

  • どのような内容を含めるべきか
  • 30分の発表で何枚のスライドが適切なのか
  • ビジュアルコンテンツは?
    • ビジュアルコンテンツの作成には対応不可、代わりに「ビューティフルドットAI」を提案された

「ビューティフルドットAI」

  • 写真の選択やレイアウトの調整などを自動化
  • ただし完全に自動化されるわけではなく、操作にはある程度の時間がかかる

お伝えしたいポイント

最先端ではないが、alteryxの有益性について

経理部出身の女性が主にalteryxを操作しており、その女性が業務に詳しいため改革が進んでいる。また、現場のスタッフが自己流でExcelを使いデータを加工し取り扱っていたが、alteryxを使えば業務に必要なデータが見える化され、不明確だった値の組み合わせが明らかになってきた。

alteryxは多機能であるが、現時点でのExcelでのレポート作成に最適なツールであると評価しています。多数のデータソースから集められたデータを組み合わせて使うことが求められる現在、alteryxはそのようなタスクに非常に適していると述べています。

オーケーストアの成功要因

  • 売上高が非常に強く、スーパーマーケット業界でも特に力を持っている。
  • 地域ナンバーワンの価格を謳っている。
    • 特売を行わず、常に安定した価格を提供していることで、顧客はいつ来ても安いと感じる。また、競合店舗の価格に負けた場合には価格を下げることで対抗している。
  • 最大の強みとして、オーナー企業であること。
    • 現在も高齢ながら活動的な会長がいて、その決定力は非常に強い。彼のリーダーシップのもと、大きな課題から小さな課題まで見つめ直し、問題を解決するためのPDCAサイクルを回すことができている。

メイン

データ管理と分析の課題

小売業は経常利益が低く、大規模なIT投資が難しい

データ活用の困難性と複雑性について説明。店舗で得たデータをエクセルで管理し、マクロやアクセスを使ってデータを加工していたが、そのプロセスが複雑で結果的にデータが理解しにくい状況だった。

理由

  1. 店舗ごとにデータの取り扱い方や条件が異なるため、一律のデータ処理ルールが適用できない。
  2. ある店舗ではベーカリーのデータをレジのデータとは別に扱わなければならず、これが全体のデータの混乱を招いた。

ExcelとAccessの限界

課題

  • 現在のDBやツールは、データがオーバーフローしやすい、大量のデータ処理に不向きで、バージョンアップが難しいなど、多くの課題。
  • ツールは現場でフルに活用され、ビジネス上の成果を出している。しかしそれには多くの困難が伴う。(データ作成の難しさ、コピペミス、時間の制約)
  • ビジネスでは時間が非常に重要で、データが素早く必要とされる。しかし既存のシステムではすぐにデータを提供することが難しい。
  • ネットスーパーのようなビジネスで、広告や売上データなどの迅速な対応が求められる場合、現状のシステムでは課題がある。
  • このような課題を解決するためには、新しい基盤が必要。

基幹システムとデータ活用基盤のクラウド化

既存のオンプレミス(オンプレ)システムが、データ活用を阻害していると感じていたため、まず情報系のシステムをクラウドへ。

GoogleのBigQueryを利用し各システムからデータを集約、年中に全ての基幹システムのクラウド移行を完了する予定とのこと。また費用を抑えるため、コンサルタントの助けを借りず、自社でシステムを作り上げるというアプローチをとっていると述べました。

alteryx導入時

なぜ導入したか

このツールがGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)ベースで、今のトレンドに合っているローコードの環境を提供していることが挙げられています。

最初にやったこと

社内のレポート作成プロセスを追跡し、データの流れをIT部門が把握する作業をまず行ったとのこと。特に、各部門や個人がどのようにExcelを活用しているか、どのデータをどのように扱っているか、具体的なデータ活用法や問題点を把握するための試みだったようです。このプロセスを通じて運用部分の自動化を推進し、効率化を図るとともに、IT部門の管理下にレポート作成を持ってくることの事例が紹介されました。

IT部門の管理下に

IT部門がこれらのプロセスを管理することで、不規則なデータの使用や不正確なデータの利用を抑制し、より信頼性のあるデータの利用が可能に。例えば、個々のエクセルデータからデータを取得する代わりに、クラウド上のマスターデータからデータを取得し、それに基づいてレポートを作成するような改善策が語られています。

→これにより、正確なデータがタイムリーにレポートに反映されるように

棚卸速報の自動化

導入前>>棚卸し業務

  1. 店舗の商品は理論在庫を持っているが、レジでのカウント、万引き、廃棄などにより実際の在庫数と理論在庫数が合わなくなることも。
  2. スタッフは特定の棚の商品を数え、その結果をデジタル端末や紙に記録し、定期的に店舗で商品の在庫数を確認。
  3. 集計が完了したら、実際の在庫数と理論在庫数が一致しているかを確認していた。

商品

  • 商品の数え方は複雑で、ペットボトルのお茶は単品で販売される場合、6本セット、箱入りで販売される場合がある。
  • これにより在庫を数える際、商品名だけでなく、商品の包装の詳細(バラ売りかパック販売かなど)を確認しなければならないという問題点が存在。結果、カウントされた数と理論在庫数が異なる場合があった。
  • 理論在庫数と実際の在庫数が大きく異なる場合、その差分を早急に見つけ出す必要がある。

導入後

全体像をalteryxで可視化

成果

日報作成の自動化

導入前>>日報作成

  1. 作成過程では「理論在庫」をシステムで数えるなど、一般的な日報作成とは異なる独自の方法を取っている。
  2. 前回の棚卸から何個仕入れた商品がどれくらいの金額になるか、またそれを売り上げたときにどれくらいの金額になるか、といった日々の金額の出し入れを計算。そしてその結果を持っていくことで日報が完成。
  3. 日報作成は、集計や計算など、多くの手間がかかる作業を含んでおり、これが時間も取るし大変。

DATA

  • 店舗運営:毎日の売り上げや、仕入れの商品量、在庫、その日の仕入れと昨日の在庫に基づく評価など、店舗運営に関連するさまざまな情報
  • 報奨金と目標達成:目標達成に対する報奨金や、その基準など。これらの達成状況に基づいて報奨金の分配を行っている。
  • 勤怠管理と事務経費:シフトに入ったスタッフの数や、その日にかかった事務経費など、勤怠管理と事務経費に関する情報。

導入後:BigQueryを間に挟み安定化を目指した

全体像をalteryxで可視化

同じツールを繰り返し使って単純作業ではあったが、データの流れの実態をIT部門が把握できたのに、大きな意味があった

成果

まとめ

レポート作成の自動化によって、手作業によるミスやトラブルなどのエラーは減少。また創業者のエクセルのレポートは継承し続け、ユーザーとしてはExcelでの業務を続けることが出来た。その一方で、業務フロー(データフロー)が明確に可視化され、裏側のデータ管理がBigQueryに変更し、管理効率が向上しデータの一元化できたことが成果として挙げられています。

次のステップ

業務プロセスの更なる可視化と、alteryxの活用を進めることで、業務改善と効率化を図ると述べています。また、適切なリテラシーを持つ人材を増やすため、alteryxの教育も重視していくとまとめました。

おわりに

スーパーマーケットの中でも群を抜いて、あれだけ商品が低価格にも関わらず、キャッシュレスも素早く導入されていたオーケーストア様。毎週もしくは2週に1度位のペースで通っていた際にも、何かしらルールの変更が掲げられていたり、その事業展開の早さやシステムに強い、といった印象を顧客側で常に感じていました。

オーケーストア様の裏側を、今回セッションで身近に聞け、このようにブログも執筆OKまでいただけて感激です。企業努力の部分も多数見受けられ、弊社も見習わないといけない部分があると感じました。

『高品質・Everyday Low Price・オーケーに行けば損をすることはないわ♪』を聞きに、またお買い物をしに行きたいと思います!この記事が、どなたかのお役に立てば幸いです。