【アップデート】Amazon CloudFront 定額料金プランが最大 60 億リクエスト / 600 TB までスケール可能になりました

【アップデート】Amazon CloudFront 定額料金プランが最大 60 億リクエスト / 600 TB までスケール可能になりました

Amazon CloudFront の定額料金が最大 60 億リクエスト / 600 TB まで選択可能になりました。
2026.05.13

ウィスキー、シガー、パイプをこよなく愛する大栗です。

Amazon CloudFront 定額料金のプレミアムプランで、月間使用量をセルフサービスで設定できるアップデートがありました!従来は 5 億リクエスト / 50 TB の単一プランだったプレミアムが、最大 60 億リクエスト / 600 TB までコンソール上で選択できるようになっています。

これまでの Amazon CloudFront 定額料金プラン

CloudFront の定額料金プランは 2025/11 に 無料 / Pro / ビジネス / プレミアム の 4 階層で登場しました。

最上位のプレミアムプランはこれまで、月額 $1,000 で 5 億リクエスト / 50 TB という単一の使用量しかありませんでした。これを超える規模で使いたい場合には、定額プラン内でセルフサービスでスケールアップする手段はなく、従量制料金か AWS への個別問い合わせが必要でした。

設定可能な使用量レベル

今回のアップデートで、プレミアムプランは 6 段階の使用量レベルから選択できるようになりました。コンソールで使用量レベルを選ぶと、対応する月額料金がその場で表示されます。

月間データ転送量 月間リクエスト数 月額料金 $/TB $/M リクエスト
50 TB (デフォルト) 500 M $1,000 $20.00 $2.00
75 TB 750 M $1,450 $19.33 $1.93
125 TB 1.25 B $2,250 $18.00 $1.80
200 TB 2 B $3,500 $17.50 $1.75
350 TB 3.5 B $6,000 $17.14 $1.71
600 TB 6 B $10,000 $16.67 $1.67

ベースラインの利用が 6 B リクエストまたは 600 TB を超える場合は、引き続き AWS への問い合わせでカスタム料金の相談が必要になります。

最下位のプレミアム (デフォルト) と最上位の 600 TB レベルを比べると、使用量は 12 倍に増える一方で料金は 10 倍に抑えられており、上位レベルになるほど単価が下がる構造になっています。

どの使用量レベルでも「リクエスト数 : データ転送量 = 10 : 1」の比率は一貫しています。一般的な Web サイトでは、データ転送量よりも先にリクエスト数が制約になるケースが多いです。過去記事で確認したとおり、一般的な Web サイトの 1 リクエスト当たりの平均データ量は デスクトップで 38.5 KB、モバイルで 36.2 KB 程度であるため、月間リクエスト数を使い切ったタイミングで実際に流れるデータ量は以下のようになります。

月間データ転送量 月間リクエスト数 実効データ量 (デスクトップ) 実効データ量 (モバイル)
50 TB (デフォルト) 500 M 19.25 TB 18.10 TB
75 TB 750 M 28.88 TB 27.15 TB
125 TB 1.25 B 48.13 TB 45.25 TB
200 TB 2 B 77.00 TB 72.40 TB
350 TB 3.5 B 134.75 TB 126.70 TB
600 TB 6 B 231.00 TB 217.20 TB

どの使用量レベルでも、月間データ転送量の半分以下(デスクトップで約 39 %、モバイルで約 36 %) のデータ量で月間リクエスト数の制限に到達する計算となります。プレミアムプランの使用量レベルを選ぶ際は、データ転送量よりも リクエスト数を主軸に検討 するのが良いかと思います。データ転送量だけを大きくしたい・リクエスト数だけを大きくしたい場合には、定額プラン以外の選択肢も検討するのが良いかと思います。リクエスト数とデータ転送量の比率に着目した定額プランの選び方については、過去記事で整理していますので合わせてご覧ください。

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-cloudFronts-flat-rate-plan-should-focus-on-request-counts-and-features-rather-than-data-transfer-volume/

使用量超過時のポリシー

使用量レベルが変わっても、定額プランの超過料金が発生しない料金モデル(no-overage model)はそのまま適用されます。

  • 月内の 最初のスパイクは使用量レベルの 3 倍まで その月の影響なく吸収されます。コンテンツの拡散や大型ローンチによる突発的な増加を想定した設計となっています。
  • それを超える持続的な使用量は 2-3 ヶ月以上の単位で評価 されます。短期的な変動や緩やかな成長は許容されます。
  • 使用量に応じて 50% / 80% / 100% のタイミングでメール通知 が送られます。コンソールでも使用状況を確認できます。
  • 上記を超えても 超過料金は発生しません。代わりに、大幅かつ持続的に超過した場合に、トラフィックの配信方法が調整されることがあります(より少ない・遠いエッジロケーションから配信するなど)。使用量レベルを上げれば元のパフォーマンスに戻ります。

なお、ブロックされた DDoS 攻撃と AWS WAF でブロックされたリクエストは使用量にカウントされません。WAF を通過した正規のトラフィックのみがカウントされる仕様で、これも定額プラン共通のポリシーです。

使用量レベルを変更しても変わらない機能

どの使用量レベルでも、プレミアムプランで利用できる機能セットは同一です。使用量レベルを上げて変わるのは「月間使用量と月額料金だけ」となります。プレミアムプラン特有の主要機能は以下のとおりです。

  • Origin Shield による高速オリジンルーティングとオリジン負荷軽減
  • 自動オリジンフェイルオーバー
  • 高度な DDoS 対策(AntiDDoS AMR)
  • WAF ルールの数: 75
  • ボット管理と分析(AI bots 対応)
  • VPC 内のプライベートオリジン
  • オリジンおよびビューワー向けの Mutual TLS(mTLS)
  • キャッシュ動作の数: 100
  • ホストゾーンあたりのレコード数: 5,000
  • Amazon S3 ストレージクレジット: 5 TB

プランごとの機能比較表の全体は、公式ドキュメントの Features by pricing plan tier セクションでご確認ください。

2025/11 ローンチから対象機能が増えています

過去記事を書いた 2025/11 時点と比べると、定額プランの対象機能はかなり拡充されています。以下のようになっていました。

機能 適用プラン 種別
キャッシュタグによる無効化(Invalidations by cache tag) Pro 以上 新規
AI トラフィック分析(AI traffic analytics) Pro 以上 新規
CAPTCHA チャレンジ(CAPTCHA challenge) Pro 以上 新規
ボット管理と分析の AI bot 対応(Bot management and analytics +AI bots) ビジネス以上 既存機能の拡張
オリジンへの Mutual TLS(Mutual TLS origin) ビジネス以上 新規
ビューワーからの Mutual TLS(mTLS) プレミアムのみ 新規
Lambda@Edge の全プラン利用(従量課金扱い) 全プラン 明示化

特にビューワーからの mTLS はプレミアムプラン限定の機能となっており、今回プレミアムプランの使用量レベルが拡張されたことと合わせて、エンタープライズ向けの選択肢として整理されたと考えても良いと思います。

DNS の取り扱いも明示化されています。CloudFront ディストリビューションを指す ALIAS レコードへのクエリは全プランで無制限(無料)となり、それ以外の DNS クエリには以下の許容量が設定されています。

機能 無料 Pro ビジネス プレミアム
ALIAS レコード(CloudFront 等)への DNS クエリ 無制限 無制限 無制限 無制限
その他のレコードへの DNS クエリ(月間) 1 M 5 M 20 M 100 M

Route 53 ホストゾーンを定額プランにアタッチした場合に、上記の許容量が適用されます。アタッチしていない場合は従量課金のままです。

(作成の直前まで)やってみる

新規ディストリビューションの場合は、作成時にプレミアムプランを選択して使用量レベルを選ぶ流れになります。既存のディストリビューションについては、ディストリビューションの設定画面で Manage Plan から Change plan を選び、使用量レベルを変更します。

CloudFront コンソールで「ディストリビューションを作成」をクリックします。

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「プレミアム」を選択して「Configure usage」をクリックします。

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使用量を選択します。ここでは 6B / 600TB を選択してみます。

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ディストリビューションのオプションを設定します。

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オリジンの詳細を設定します。

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セキュリティ内容を設定します。

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設定内容を確認して「Create distribution」をクリックすると確定して作成されます。が $10,000 は厳しいのでキャンセルしました。。。

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この様に設定可能です。

さいごに

CloudFront 定額料金のプレミアムプランで、月間使用量をセルフサービスで設定できるようになったアップデートをご紹介しました。これまでプレミアムプランの単一の使用量を超えるとカスタム料金の相談が必要だったところが、$1,000 から $10,000 までの 6 段階から選んでコンソールで即座に変更できるようになっています。

合わせて 2025/11 のローンチ以降に対象機能もかなり追加されており、特にプレミアムプランで使えるビューワー向け mTLS は、定額プランをエンタープライズ用途で選択するための後押しになると思います。

定額プランは予測可能性と運用のシンプルさが魅力で、CloudFront / WAF / Route 53 / CloudWatch Logs などのサービスを 1 つの月額料金にまとめられるところが大きな利点です。今回のアップデートでスケールの上限が大きく広がりましたので、これまで「定額プランの上限を超えるから諦めていた」というケースでも改めて検討してみる価値があるのではないでしょうか。

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