[Amazon Connect] 「問い合わせフロー(インバウンド)」以外のタイプのフローについて〜デフォルトフローが適用されるタイミング〜
1 はじめに
Amazon Connect(以下、Connect)では、顧客からの着信はあった時、その処理の流れを定義する 「問い合わせフロー(インバウンド)」 があります。
この問い合わせフローを定義することで、顧客に対するアナウンスや、番号入力を促したりする事ができます。
しかし、Connectの管理画面で問い合わせフローを開くと、「問い合わせフロー(インバウンド)」以外のフローもたくさん定義されています。
今回は、この 「問い合わせフロー(インバウンド)」 以外のフローについてまとめてみました。
2 問い合わせフローの種類(タイプ)
問い合わせフローエディタで詳細を表示すると、Typeを確認することができます。
問い合わせフローのタイプは、一覧でも確認が可能です。
「問い合わせフロー(インバウンド)」 とは、実は、このタイプの一種であり、これ以外にも8種類のタイプが存在します。
全てのタイプを、その「内容」と「体験者」で一覧してみると以下のようになります。
タイプ | 内容 | 体験者 |
---|---|---|
問い合わせフロー(インバウンド) | 電話着信後に体験するフロー | 顧客 |
顧客キュー | 接続がキューに入れられて、エージェントが対応するまでの間に体験するフロー | 顧客 |
顧客保留 | 接続が保留に入れられた際に体験するフロー | 顧客 |
顧客ウィスパー | 接続がエージェントに繋がる直前に体験するフロー | 顧客 |
アウトバウンドウィスパー | アウトバウンドコールでエージェントと繋がる直前に体験するフロー | 顧客 |
エージェント保留 | 接続が保留の間に体験するフロー | エージェント |
エージェントウィスパー | 顧客と接続する直前に体験するフロー | エージェント |
エージェントへの転送 | 別のエージェントに転送する際に体験するフロー | エージェント |
キューへの転送 | 別のキューへの転送時に体験するフロー | エージェント |
そして、電話番号に紐付けられて、着信後の流れを定義できるのは、問い合わせフロー(インバウンド) のみです。
3 デフォルトのフロー
インスタンスを生成後、問い合わせフローの一覧には、下記のようなデフォルトフローが含まれおり、別途定義しない限り、各種の状態になったときに、これらがが自動的に適用されます。
たとえば、顧客からの接続がキューに入れられて、エージェントが対応するまでの間に流れるオーディオは、Default customer queueに定義されているものです。
名前 | タイプ | 説明 |
---|---|---|
Default agent hold | エージェント保留 | 保留中にエージェントに再生されるデフォルトのオーディオ |
Default agent transfer | エージェントへの転送 | 別のエージェントに転送する場合のデフォルトのフロー |
Default agent whisper | エージェントウィスパー | 顧客と接続する直前のデフォルトのフロー |
Default customer hold | 顧客保留 | 保留中に顧客が聞くデフォルトオーディオ |
Default customer queue | 顧客キュー | 顧客がキューで待機しているときに再生されるデフォルトのオーディオ |
Default customer whisper | 顧客ウィスパー | 接続がエージェントに繋がる直前に流れるデフォルトの囁き |
Default outbound | アウトバウンドウィスパー | アウトバウンドコールでエージェントと繋がる直前に流れるデフォルトの囁き |
Default queue transfer | キューへ転送 | キューに転送のデフォルト設定 |
4 デフォルトが動作する流れ
デフォルトのフロー定義が、どのように適用されるかを確認するために、下記のような簡単な問い合わせフローを作成して試してみます。
着信したら、特定のキューを設定して、キューへ転送するだけのフローです。
上記のフローでは、下記のタイミングでデフォルトのフローが適用されます。
タイミング | 適用されるデフォルトキュー |
---|---|
キュー入れられた時(エージェントが対応するまでの待機中も含む) | Default customer queue(顧客キュー) |
エージェントが対応する直前 | Default customer whisper(顧客ウィスパー) |
ここで適用される、2つのデフォルトフローの内容を確認してみると以下のようになっています。
(1) Default customer queue(顧客キュー)
プロンプトのループ には、Thank you for calling.Your call .... のアナウンスに続いて、Music_Pop_ThisAndTatIsLife_Inst.wavのループ再生が定義されています。
(2) Default customer whisper(顧客ウィスパー)
プロンプトの再生 の内容は、Beep.wavの再生になっています。
このことから、作成したサンプルでは、電話をかけた顧客は、次のような体験をすることになります。
- 着信
- Thank you for calling.Your call .... のアナウンス
- Music_Pop_ThisAndTatIsLife_Inst.wavのループ再生
- Beep.wavの再生
- エージェントの対応
5 デフォル以外のフローの設定
予め定義されているデフォルトのフローの内容を書き換えても、顧客の体験を変えることができますが、もし、デフォルト以外の定義をしたい場合は、適用される前にデフォルト以外のフローを指定しなければなりません。
下記は、 顧客キューフローの設定 を使用して、顧客キュータイプのフローをデフォルトから置き換えています。
また、「問い合わせフロー」のページでは、「問い合わせフローの作成」の右の三角を選択すると、下記のようにリストが表示され、これを選択することで、「問い合わせフロー(インバウンド)」 以外のタイプのフローの作成が可能です。
6 最後に
今回は、「問い合わせフロー(インバウンド)」 以外のフローについてまとめてみました。
顧客の体験をすべて制御するためには、予め定義されている、「問い合わせフロー(インバウンド)」 以外のタイプのデフォルトフローが適用されるタイミングをしっかり把握して、定義する必要があると思います。