Amazon保有のIPv4パブリックアドレスをCIDR単位で払出し、連番のEIPを利用してみた
2024年8月28日、Amazon VPC の IPAM (IP Address Manager) のアップデートにより、Amazonが保有する IPv4パブリックIPアドレスを連番で、CIDR を /30 (4 IP) 〜 /26 (64 IP) の範囲で指定したプロビジョニングが可能になりました。
この新機能は、多数のパブリックIPv4アドレスやEIPを利用するワークロードで、CIDR単位のセキュリティグループなどの管理を効率化できる可能性があります。
今回、無料枠のIPAMで、Amazonから払い出しを受けた /30 の CIDR のIPアドレスプールを作成しました。連番のElastic IP アドレス(EIP)の作成と、このEIPを利用した NLB、NAT Gatewayの作成を試す機会がありましたので、ご紹介いたします。
IPAM
VPC IP アドレスマネージャー(IPAM) は、VPCダッシュボードの左メニュー最下段からアクセスできます。
Amazon保有のIPv4パブリックアドレスは、無料利用枠のIPAMで利用可能です。
無料IPAMを作成、運用リージョンは「ap-northeast-1(東京)」を指定しました。
パブリックIPアドレス管理スコープとプールを、最小のCIDR(/30)で新規作成しました。
- ロケール: ap-northeast-1(東京)
- サービス: EC2(EIP/VPC)
- パブリックIPソース: Amazon所有
- CIDRネットマスク長: /30 (4IPs)
IPAMプールの作成完了後、プールの詳細情報でAmazonより払い出されたIP情報が確認できます。
Amazon 所有のパブリック IPv4 CIDR、2024年9月時点でデフォルトで確保可能できるのは、/30(4IPs)、/29(8IPs)に制限されているため、/28以上の指定は IPAMプール作成に失敗します。
/28(16IPs)以上の設定が必要な場合、IPAMの上限緩和手続きをサポートケースを起票して実施してください
Acceptable size is between /29 and /30. To request an increase, contact the AWS Support Center as described in AWS service quotas in the AWS General Reference.
- IPAM サービスクォーター
- 2024年9月時点、ipv4 contiguous block はサービスクォーターの対象外です。
EIP
IPAMプールを指定して、Elastic IP アドレス (EIP)の割当を行いました。
4つのEIPが連続したIPアドレスで作成する事ができました。
NLB
連番のパブリックIPアドレスを持つNLBを作成できました。
接続先のIPアドレスやファイアウォールなどで制限されている環境からNLBを利用する場合、ファイアウォールの許可設定を簡略化できる可能性があります。
NATGateway
NATGatewayにも、連番のパブリックIPを付与できました。
この機能は、以下のようなワークロードで特に有用と思われます:
AZ障害に備え、NAT Gatewayを各AZに配置している場合
性能確保のため一つのGatewayに複数のEIPを付与しているワークロード
外部APIの接続元IP登録が必要な場合の手続き簡略化
料金
連続したIPv4アドレスの利用には、以下の料金が適用されます:
1アドレス1時間あたりの単価:$0.008
最小CIDR(/30)で1ヶ月利用した場合の概算: $0.008 (1時間単価) x 4 (IP数) x 24 (時間) x 30(日) = 23.04ドル
注意: 通常の/32の1アドレスごとのIPv4アドレス(1時間あたり$0.005)と比較すると、1
アドレスあたり0.005)と比較すると、1アドレスあたり0.003高額になります。
連続したIPv4を一定数以上確保する場合、事前にコスト試算いただくことをおすすめします。
まとめ
今回のアップデートにより、無料枠のIPAMでAmazonからIPv4パブリックアドレスを/30 (4 IPs)から /26 (64 IPs)の範囲で払い出しを受けることが可能となり、連続したパブリックIPアドレスの利用が容易になりました。
主なメリット:
- セキュリティグループの管理効率化
- 外部APIとの連携時のIP登録手続き簡略化
- 意図しないEIP解放時のリスク軽減
注意点:
- 通常のIPv4アドレスよりも若干高額
- 必要以上に大きなCIDRブロックを確保しないよう注意
- /28(16IPs)以上を必要とする場合、事前に上限緩和申請が必要
多数のパブリックIPv4アドレス、特にEIPを継続的に利用する場合や、従来の /32 のEIPを多数のセキュリティグループなどに反映して利用、その管理が課題となっている場合、この新機能の活用をご検討ください。