Amazon Q in Connectの統合(ナレッジベース)を切り替えるには、ナレッジベースの削除と再作成が必要です
困っていること
Amazon Connect インスタンスで Amazon Q in Connect を利用する際、統合(ナレッジベース)の切り替え検証を行いたいと考えています。
■検証したいこと
以下の2種類のナレッジベースをそれぞれ検証し、必要に応じて切り替えたいと考えています。
- S3バケットをデータソースとするナレッジベースA
- WebクローラーをデータソースとするナレッジベースB
現在はナレッジベースAとConnectインスタンスがデータ統合しています。
ドメインにはAIエージェントなどのリソースが既に含まれているため、ドメイン自体は削除しません。
そのため、ドメインは残したまま、ナレッジベースのみを切り替えて検証したいという状況です。
■想定している手順
以下の手順で切り替えができないか考えています。
- 既存のナレッジベースA(例:S3バケット)の関連付けを解除する(削除はしない)
- 新規にナレッジベースB(例:Webクローラー)を作成し、関連付ける
- 検証終了後、ナレッジベースBの関連付けを解除する(削除はしない)
- ナレッジベースAを再度関連付ける
■質問内容
- 手順1, 3における「関連付け解除」の具体的な方法
- 手順4における「既存ナレッジベースの再関連付け」の具体的な方法
UpdateDataIntegration APIのドキュメントを確認しましたが、データ統合の「説明の更新」は記載されているものの、関連付け解除の方法は見当たりませんでした。
回答
結論として、現時点のAmazon Q in Connectでは、既存の関連付けられたデータ統合を削除せずに、ナレッジベースの関連付け解除や再関連付けを実施する機能はありません。
そのため、以下の手順が必要となります。
- マネジメントコンソールで、既存の統合(ナレッジベース)を削除する
- AWS CLIで、統合(ナレッジベース)に紐づくデータ統合を削除する
- マネジメントコンソールで、新しい統合(ナレッジベース)を作成する(自動でドメインと統合が関連付けられ、同時にデータ統合も作成される)
統合(ナレッジベース)とデータ統合の違い
Amazon Q in Connectにおける統合(ナレッジベース)とデータ統合の違いは以下です。
統合(ナレッジベース)
- 役割:ドメインが参照する情報源
- 概要:FAQ、製品情報、手順書などのデータソース
- マネジメントコンソール上では「統合」と表示
- API上では「ナレッジベース(knowledge-bases)」として扱われる
- マネジメントコンソールで作成・削除が可能
データ統合
- 役割:外部データソース(S3、Salesforce、ServiceNow、Zendesk、SharePoint Online、Web crawler等)をナレッジベースに取り込む設定
- 統合(ナレッジベース)作成時に、同じ名前で自動的に作成される
- マネジメントコンソール上では確認できない
- AWS CLIでのみ管理可能
- リージョンごとの作成可能数が上限10個(上限緩和可能)
公式ドキュメントの記載
CreateDataIntegration APIのドキュメントには、以下のように明記されています。
Note
You cannot create a DataIntegration association for a DataIntegration that has been previously associated. Use a different DataIntegration, or recreate the DataIntegration using the CreateDataIntegration API.日本語訳
以前に関連付けられたデータ統合に対して、新しい関連付けを作成することはできません。別のデータ統合を使用するか、CreateDataIntegration APIを使用してデータ統合を再作成してください。
これは、一度関連付けられたデータ統合に対して新しい関連付けを作成できず、別のデータ統合を使用するか、CreateDataIntegration APIを使用してデータ統合を再作成する必要があることを意味しています。
実際の検証手順
検証環境でナレッジベースを切り替える場合は、以下の手順となります。
想定していた手順
- ナレッジベースAの関連付けを解除(不可能)
- ナレッジベースBを作成・関連付け
- ナレッジベースBの関連付けを解除(不可能)
- ナレッジベースAを再関連付け(不可能)
実際の手順
- マネジメントコンソールで、統合(ナレッジベース)Aを削除(自動でデータ統合Aとの関連付けも削除される)
- AWS CLIで、データ統合Aを削除
- マネジメントコンソールで、統合(ナレッジベース)Bを作成(自動でデータ統合Bの作成、データ統合との関連付けが作成される)
- 統合(ナレッジベース)Bでの検証を実施
- マネジメントコンソールで、統合(ナレッジベース)Bを削除(自動でデータ統合Bとの関連付けも削除される)
- AWS CLIで、データ統合Bを削除
- マネジメントコンソールで、統合(ナレッジベース)Aを再作成(自動でデータ統合Aの作成、データ統合との関連付けが作成される)
- 統合(ナレッジベース)Aでの検証を実施
データ統合の削除について
マネジメントコンソールで統合(ナレッジベース)を削除しても、データ統合は削除されません。
データ統合は、リージョンごとの作成可能数が上限10個(上限緩和可能)となっているため、上限に達しないよう、AWS CLIで明示的に削除する必要があります。
削除の順序や詳細な手順については、以下の記事を参照してください。
Amazon Q in Connectの無効化手順をまとめてみた | DevelopersIO
ナレッジベースとドメインの関係
統合(ナレッジベース)を削除した場合でも、ドメイン自体は残ります。
削除されるのは統合(ナレッジベース)のみであり、元となるデータソース(例:S3バケット、SharePoint、Salesforceなど)には影響しません。再作成時に同じデータソースを指定することで、再び同じデータソースから統合(ナレッジベース)を構築できます。
ドメインにAIエージェントなどのリソースが含まれている場合でも、統合(ナレッジベース)の削除はドメインに影響を与えません。
ドメインと統合(ナレッジベース)は独立したリソースとして管理されているため、統合(ナレッジベース)の削除と再作成を行っても、ドメイン内の他のリソースは保持されます。
最後に
Amazon Q in Connectの統合(ナレッジベース)管理において、関連付けの解除・再関連付けという柔軟な切り替えは現時点では対応していません。
S3バケットとWebクローラーのような異なるタイプの統合(ナレッジベース)を検証環境で切り替える場合は、削除と再作成のプロセスが必要です。ドメイン自体は削除されないため、AIエージェントなどの既存リソースへの影響はありません。
ただし、マネジメントコンソールでの統合(ナレッジベース)削除に加えて、AWS CLIでのデータ統合削除が必要な点に注意してください。
柔軟な切り替えが必要な場合は、AWSサポートを通じてフィードバックしましょう。