
Amazon Q Developer Pro と Kiro Pro を比較したら月額1ドルの差に大きな意味があった
はじめに
Amazon Q Developer Pro と Kiro Pro、どちらも月額 $20 前後の AI 開発支援ツールですが、料金を見比べたときに「この $1 の差はなんだろう」と疑問に思いました。
調べてみると、両者の大きな違いは月次制限を超えたときの動作にありました。
Amazon Q Developer Pro は制限到達で利用停止となる一方、Kiro は追加課金で継続利用できる「超過設定 (Overage)」が用意されています。
この超過設定が実際にどう機能するのか、Kiro のコンソールで確認してみました。
サービス概要と正確な仕様比較
まず、両サービスの基本仕様を確認しましょう。Kiro は複数のプランがありますが、ここでは Amazon Q Developer Pro の対になる Pro プランで比較してみます。
| 項目 | Amazon Q Developer Pro | Kiro Pro |
|---|---|---|
| 月額料金 | $19 | $20 |
| 月次制限 | 10,000 inference calls | 1,000 credits |
| 制限超過時 | 利用停止 | 継続利用可能 ($0.04/credit) |
大前提として、Kiro CLI や Kiro IDE は既存の Amazon Q Developer Pro サブスクリプションでも利用可能です。
これまで Amazon Q Developer Pro をサブスクリプションしている人であれば、そのまま Kiro CLI も Kiro IDE も使えるということです。
Will Kiro CLI work with my Q Developer Pro subscription?
Yes, you can use Kiro CLI with your Q Developer Pro subscription. Kiro CLI will also support a Kiro subscription.
ここで注目すべきは、両者の月額料金に $1 の差があること、制限超過時の動作が異なること、です。
Q Developer Pro のほうが安いのであればそちらを使えば良いのでは、となりそうですが、制限超過時でも継続利用が可能という点は大きなメリットとなります。
開発継続性の重要性
開発作業において、ツールが突然使えなくなることは単なる不便ではなく、プロジェクト全体に影響を及ぼす重大な問題です。
- 重要なリリース直前の中断回避: 本番デプロイ前の最終調整中に制限到達しても作業を継続できる
- 月末の制限管理からの解放: 使用量を気にせず、必要なときに必要なだけ使える安心感
- チーム開発での柔軟性: メンバーの使用量が予想より多くても、プロジェクト全体が停止しない
Kiro の場合、超過料金を支払うことで継続利用が可能となるため、上記の恩恵を得ることが可能です。
一方、Amazon Q Developer Pro では制限到達後は次の月次リセットまで待つか、別のツールに切り替える必要があります。
$1 でリスクを減らせるわけですから、Kiro を選択する合理性は十分にあるのではないでしょうか。
超過設定を有効化してみた
というわけで、Kiro のコンソール画面に移動して超過設定を有効化してみましょう。

デフォルトでは無効になっていますが、ワンクリックで有効化できます。

無効化したい場合は、セッティングから変更しましょう。

Kiro IDE 側でも有効化されていることが確認できました。

IAM Identity Center を利用している場合は IDE 側からは変更できないようですね。
また、クレジットの使用量もここから確認できそうです。
CLI からは /usage で確認できます。
> /usage
Estimated Usage | resets on 01/01 | KIRO PRO
Credits (0.00 of 1000 covered in plan)
████████████████████████████████████████████████████████████████████████████████ 0%
Overages: Enabled billed at $0.04 per request (managed by your organization)
Credits used: 0.00
Est. cost: $0.00 USD
Since your account is through your organization, for account management please contact your account administrator.
超過設定もこちらから確認できますね。
まとめ
開発スタイルと優先順位によって、最適な選択肢は異なります。
Amazon Q Developer Pro を選ぶべきケース
Amazon Q Developer Pro は「固定予算で確実性が欲しい」というケースに適しています。
月額 $19 という明確なコストが確定するため、厳密な予算管理が必要な企業や個人開発者に向いています。
ただし、これは月次制限 (10,000 inference calls) に達しない低使用量の利用者であることが前提です。
もし使用量を計画的にコントロールできない環境や、月によって使用量にばらつきがある場合は、制限到達のリスクが高まります。
そのような状況では、Kiro の柔軟性の方が結果的に安心といえるでしょう。
Kiro Pro を選ぶべきケース
Kiro Pro を選ぶべきケースは、大きく2つのパターンに分かれます。
1つ目は「開発の不確実性が高い」場合です。
月によって使用量が変動する、予期しないバグ修正や急な開発要求が頻繁に入る、チーム開発で個人の使用量が予測しづらいといった環境では、固定制限に引っかかる可能性が高くなります。
Kiro の $0.04/credit という超過設定なら、急な需要増にも柔軟に対応できます。
2つ目は「開発の中断が許されない」プロジェクトです。
重要なリリース直前、本番対応中など、クリティカルなタイミングで制限に達してしまうと、プロジェクト全体に影響を及ぼします。
こうした状況では、追加課金してでも作業を継続できることが大きな価値になります。
重要なのは、単純な月額料金の比較ではなく、自分の開発スタイルと制限超過時のリスクを考慮して選択することです。
言うまでも無いですが、日常的にクレジットを超過してしまう場合は、Kiro プランの見直しを検討しましょう。
この記事がユースケースに応じた選択の材料になれば幸いです。






