Amazon Q in Connectを利用する際、押さえておきたいサービスクォータまとめ

Amazon Q in Connectを利用する際、押さえておきたいサービスクォータまとめ

Clock Icon2025.04.25

はじめに

Amazon Q in Connectを利用・運用する際、個人的に押さえておくべきと考えるサービスクォータをまとめました。
これらは実際の設計や運用において、特に注意を払うべきと感じた項目です。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/amazon-connect-service-limits.html#q-in-connect-quotas

Amazon Q in Connect のサービスクォータは、以下に記載の通り、上限緩和できない固定値です。
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なお、利用用途や環境によって確認や考慮すべきランタイムクォータは異なるため、本記事はあくまでも参考情報としてご活用ください。

確認すべきランタイムクォータ

以下の5つは、特に重要だと考えるクォータです。

  • アシスタント数 - 1アカウントあたりの最大ドメイン数
  • アシスタントの関連付け - Connectインスタンスあたりの関連付け可能な最大ドメイン数
  • ナレッジベースの最大サイズ - データソース全体の容量制限
  • ナレッジベースあたりのコンテンツ - データソース内のドキュメント数の上限
  • ドキュメントあたりの最大サイズ - 個別ファイルの容量制限

アシスタント数

Q in Connectにおける「アシスタント」という用語は馴染みがないかもしれませんが、これは「ドメイン」を指します。

Connectインスタンスで Amazon Q を有効化するには、1つのドメインを使用する必要があります。

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Amazon Q in Connect を有効にすると、Amazon Q in Connect ドメイン (単一のナレッジベースで構成されるアシスタント) が作成されます。ドメインを作成する際は、次のガイドラインに従います。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/enable-q.html#enable-wisdom-requirements

アシスタント数の上限は 5 つです。
つまり、1つのAWSアカウントでQ in Connectサービスを利用できるConnectインスタンスは最大5つまでです。

複数の Connect インスタンスを運用している環境では、この制限に注意が必要です。

アシスタントの関連付け

アシスタントの関連付けの上限は 1 つです。

これは、1 つの Connect インスタンスに関連付けられるドメイン(アシスタント)の数が最大 1 つであることを意味します。
つまり、1 つの Connect インスタンスで複数の独立したナレッジベースを持つことはできません。

この制限により、1つのConnectインスタンスで複数の独立したナレッジベースを持つことができない点に注意が必要です。

ナレッジベースの最大サイズとナレッジベースあたりのコンテンツ

「ナレッジベースの最大サイズが5GB」とは、すべてのデータソースの総ファイルサイズが最大5GBまでという制限です。

「ナレッジベースあたりのコンテンツが5000」とは、データソース内のファイル(ドキュメント)数が最大5000件までという制限です。

ナレッジベースでは、以下のデータソースを利用できます。

  • Amazon S3
  • Salesforce
  • ServiceNow
  • Zendesk
  • SharePoint Online
  • Web クローラー

残念ながら、ナレッジベースの現在の容量やコンテンツ数を直接確認するためのAPIは提供されていません。

そのため、データソースごとに個別に確認する必要があります。

例えば、S3 バケットをデータソースとして使用している場合は、バケットメトリクスの[合計バケットサイズ]と[オブジェクトの合計数]から確認できます。

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Web クローラーを使用している場合は、各ページの Content-Length ヘッダーの値などからファイルサイズを推定し、クロールした URL の総数からコンテンツ数を把握するとよいでしょう。

ドキュメントあたりの最大サイズ

「ドキュメントあたりの最大サイズ」とは、データソースに保存された個々のドキュメントのサイズ上限のことで、1 MB に制限されています。これは、Amazon Bedrock ナレッジベースの上限である 50 MB と比較すると、かなり小さい値です。

この制限により、1MBを超えるファイルを取り込む場合は、分割するなどの対応が必要になります。

Q in Connect がサポートするファイル形式と上限は以下の通りです。

  • HTML ファイル
  • Word ファイル
  • PDF ファイル
  • テキストファイル

詳細は以下のドキュメントをご参照ください。

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/enable-q.html#q-content-types

特に気にしなくてもよいランタイムクォータ

以下のクォータは、一般的な利用シナリオでは上限に達することが少ないため、通常はあまり気にする必要がありません。

  • ナレッジベース数
  • テンプレート関連のクォータ
  • API のレート制限(RateLimit)

ナレッジベース数

ナレッジベースとは「統合」を指します。

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1 つのナレッジベースは 1 つのドメインしか関連付けできないため、特に気にする必要性は低いでしょう。

テンプレート関連

メッセージテンプレートは、E メールや SMS で頻繁に送信するメッセージを保存・再利用できるコンテンツと設定のセットです。
リッチテキスト書式、パーソナライズ属性、添付ファイルなどの機能を含め、エージェントの業務効率化に役立ちます。

以下のテンプレート関連のクォータは、実は Q in Connect の機能そのものとは直接関係ありません。これらは Amazon Q in Connect API を利用しているため、同じクォータ一覧に記載されているだけです。

  • メッセージテンプレートあたりのバージョンの最大数
  • E メールメッセージテンプレートあたりの添付ファイルの最大数
  • E メールメッセージテンプレートの添付ファイルあたりの最大サイズ
  • E メールメッセージテンプレートの最大文字数
  • SMS メッセージテンプレートの最大文字数

これらの機能を利用しない場合、クォータを意識する必要はありません。

https://docs.aws.amazon.com/connect/latest/APIReference/API_Operations_Amazon_Q_Connect.html

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/create-message-templates1.html

API のレート制限(RateLimit)

Amazon Q in Connect の API には、以下のようなレート制限があります。

  • 基本的にすべての API:10 TPS(1秒あたり10リクエスト)
  • DeleteQuickResponse と SearchQuickResponses:20 TPS(1秒あたり20リクエスト)

実際の運用では、1秒間に10回以上 AI エージェントや AI プロンプトを作成・削除するようなシナリオはほとんど考えられません。そのため、通常の利用では API のレート制限に達することはないでしょう。

ただし、Connect フロー上で AI エージェントを切り替える場合に使用される UpdateSession API については、高トラフィック環境では注意が必要かもしれません。特に受電や発信数が多いコンタクトセンターでは、このレート制限に近づく可能性があります。

UpdateSession API を使い、Connect フロー上で AI エージェントを切り替える方法は以下の記事をご参照ください。

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-q-in-connect-ai-agent-switching/

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