Amazon Q in ConnectとServiceNowの統合におけるポイントをまとめてみた

Amazon Q in ConnectとServiceNowの統合におけるポイントをまとめてみた

2025.12.01

Amazon Connect アドベントカレンダー 2025、2日目の記事です!

クラスメソッドとギークフィードさん、AWS Japanさんの有志が募ってチャレンジしている企画になります。

(アドベントカレンダーのカレンダー一覧はこちら↓)

https://qiita.com/advent-calendar/2025/amazon-connect

はじめに

Amazon Q in Connectのナレッジソースとして、S3バケットやServiceNowなどの外部ナレッジベースとの統合が可能です。

本記事では、ServiceNowとの統合時に知っておくべきポイントや便利な機能、注意すべき仕様についてまとめました。

ServiceNowとの統合方法については、以下の記事をご参照ください。

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-connect-q-in-connect-servicenow/

エージェントワークスペースからServiceNowのナレッジ記事に遷移可能

エージェントワークスペースのナレッジソースから、ServiceNow側のナレッジ記事に直接遷移できます。

cm-hirai-screenshot 2025-11-17 17.26.12

以下の通り、ServiceNowのナレッジ記事に遷移されました。なお、事前にServiceNowにログインしておく必要があります。

cm-hirai-screenshot 2025-11-17 17.26.52

ナレッジ記事に画像がある場合、エージェントワークスペース側では表示されません。
その際、ServiceNow側のナレッジ記事に遷移することで、画像も含めて確認できます。

取り込み開始日が1969/12/31と表示される

ServiceNowとの統合設定時、取り込み開始日を選択できます。選択肢は以下の2つです。

  • すべてのレコードを取り込む
  • 次よりもあとに作成されたレコードを取り込む

cm-hirai-screenshot 2025-10-17 16.19.25

「すべてのレコードを取り込む」を選択し、統合完了後に統合の詳細を確認すると、以下のように「1969/12/31」と表示されます。

cm-hirai-screenshot 2025-11-17 16.53.50

AWS自体が1969年には存在しないため、気になる方もいるかもしれませんが、不具合ではありません。これは1969/12/31以降のレコードを取り込むという意味であり、特に気にする必要はありません。

全フィールドを選択すると不要な情報が表示される

cm-hirai-screenshot 2025-10-17 16.19.03

フィールドをすべて選択した場合(60以上)でも、フィールドを制限して選択した場合でも、コンテンツの取得は問題なく可能です。

しかし、エージェントワークスペースでソースとして設定されていないフィールドの情報(true/falseや[object Object]など)が不要な情報として表示されます。

ナレッジ記事から取得したいフィールドのみを選択しましょう。

cm-hirai-screenshot 2025-10-20 16.36.33

AWSドキュメントにも記載されおりますが、ServiceNowの場合、以下の9つのフィールドを選択するとよいです。

ナレッジベースのフィールドを選択します。以下のフィールドが必要です。

  • short_description
  • number
  • workflow_state
  • sys_mod_count
  • active
  • text
  • sys_updated_on
  • wiki
  • sys_id

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/enable-q.html#enable-q-step-3

統合の設定変更は不可

フィールドの修正など、統合の設定変更はできません。統合(ナレッジベース)を一度削除し、再作成する必要があります。

cm-hirai-screenshot 2025-11-17 16.53.50
設定変更など編集は不可

このAPIを使用する場合、Amazon AppIntegrationsのDataIntegrationsをSalesforceやServiceNowなどの外部ナレッジベースで再利用することはできません。再利用するとInvalidRequestExceptionエラーが発生します。
例えば、外部ナレッジベースをプログラムで管理していて、Salesforceから取得するフィールドの1つを追加または削除したいとします。その場合は、以下の手順を実行してください。

DeleteKnowledgeBaseを呼び出します。
DeleteDataIntegrationを呼び出します。
CreateDataIntegrationを呼び出してDataIntegration を再作成するか、別のものを作成します。
CreateKnowledgeBase を呼び出します。

https://docs.aws.amazon.com/cli/latest/reference/wisdom/create-knowledge-base.html#create-knowledge-base

実際の統合の削除については、以下の記事が参考になります。

https://dev.classmethod.jp/articles/amazon-q-in-connect-disable/

ナレッジ記事は廃止 (Retired)

Amazon Q in Connectで、Amazon Qの検索対象から外したい不要なナレッジ記事は、ServiceNow側で記事を削除(Delete)するのではなく、記事のステータスを廃止(Retired)にする必要があります。

廃止ステータスは、情報が古くなったため非公開となり、利用者は閲覧できませんが、管理者は閲覧可能です。

If you delete objects from SaaS applications, such as SalesForce and ServiceNow, Amazon Q in Connect does not process those deletions. You must archive objects in SalesForce and retire articles in ServiceNow to remove them from those knowledge bases.

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/connect/latest/adminguide/enable-q.html#enable-q-step-3

ナレッジ記事の廃止:https://www.servicenow.com/docs/ja-JP/bundle/washingtondc-servicenow-platform/page/product/knowledge-management/concept/c_RetiredKnowledgeArticles.html

手動同期は未対応

同期頻度は、最短1時間です。それよりも短くすることはできません。AWS CLIによる手動同期実行もできません。そのため、ナレッジ記事を修正後、最大1時間は反映されません。

同期実行タイミングや同期される時間帯は、後述しますが、Amazon AppFlowのフロー詳細から確認できます。

同期実行の確認

Amazon AppFlowで、ServiceNowとQ in Connectの連携状況を一部確認できます。

フロー詳細を確認すると、送信元名がServiceNow、送信先名がAppIntegrationsと確認できます。

cm-hirai-screenshot 2025-11-17 17.08.40

同期タイミングも1時間に1回、11:01から1時間ごとに実行していることが確認できました。

cm-hirai-screenshot 2025-11-17 17.11.43

CloudWatch メトリクスをクリックすると、以下のメトリクスが確認できます。

  • FlowExecutionsStarted
    • 開始されたフロー実行の回数。フローが起動された総数を示します。
  • FlowExecutionTime
    • フロー実行の開始から終了までにかかった時間(ミリ秒単位)。パフォーマンスを測定する指標です。
  • FlowExecutionsFailed
    • 失敗したフロー実行の回数。エラーで終了したフローの数を追跡します。
  • FlowExecutionRecordsProcessed
    • フロー実行でAppFlowが処理を試みたレコードの総数。転送成功と失敗の両方を含みます。
  • FlowExecutionsSucceeded
    • 成功したフロー実行の回数。正常に完了したフローの数を示します。
      cm-hirai-screenshot 2025-11-17 17.23.46

https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/appflow/latest/userguide/monitoring-cloudwatch.html

実行履歴も確認できます。同期したデータのバイト数も確認できます。

cm-hirai-screenshot 2025-11-17 17.08.45

AppFlowの編集は不可

ServiceNowとの統合で利用するAppFlowですが、編集やコピーはできません。

編集すると、以下のエラーが表示されます。

Missing required key 'name' in params.connectorFields[0]

cm-hirai-screenshot 2025-11-17 17.39.08

「新しいフローにコピー」を選択しても、送信先が以下のようになっており、既存の「AppIntegrations」を選択するとエラーになります。

AppIntegrations_AppIntegrations_Desc_

cm-hirai-screenshot 2025-11-17 17.37.32

これは、Amazon Qとの統合がAWS側で管理されているため、ユーザー側では編集できない仕様となっていると考えられます。

同期対象の記事ステータス

ServiceNowのナレッジ記事において、AWSドキュメントには「廃止」ステータスの記事は同期対象外と記載されています。

それ以外のステータスについては明記されていませんが、実際に検証したところ、以下の記事ステータスは同期対象外でした。「公開済」の記事のみが同期対象です。

  • レビュー
  • 廃止待ち
  • 廃止
  • ドラフト

最後に

Amazon Q in ConnectとServiceNowを統合する際のポイントについてまとめました。

統合後の設定変更ができない点や、記事の廃止には削除ではなくRetiredステータスを使う必要がある点など、事前に知っておくべき仕様がいくつかあります。
一方で、エージェントワークスペースから直接ServiceNowの記事に遷移できるなど、便利な機能も備わっています。

ServiceNowとの統合を検討されている方の参考になれば幸いです。

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