Amazon Q in ConnectとServiceNowの統合におけるポイントをまとめてみた
Amazon Connect アドベントカレンダー 2025、2日目の記事です!
クラスメソッドとギークフィードさん、AWS Japanさんの有志が募ってチャレンジしている企画になります。
(アドベントカレンダーのカレンダー一覧はこちら↓)
はじめに
Amazon Q in Connectのナレッジソースとして、S3バケットやServiceNowなどの外部ナレッジベースとの統合が可能です。
本記事では、ServiceNowとの統合時に知っておくべきポイントや便利な機能、注意すべき仕様についてまとめました。
ServiceNowとの統合方法については、以下の記事をご参照ください。
エージェントワークスペースからServiceNowのナレッジ記事に遷移可能
エージェントワークスペースのナレッジソースから、ServiceNow側のナレッジ記事に直接遷移できます。

以下の通り、ServiceNowのナレッジ記事に遷移されました。なお、事前にServiceNowにログインしておく必要があります。

ナレッジ記事に画像がある場合、エージェントワークスペース側では表示されません。
その際、ServiceNow側のナレッジ記事に遷移することで、画像も含めて確認できます。
取り込み開始日が1969/12/31と表示される
ServiceNowとの統合設定時、取り込み開始日を選択できます。選択肢は以下の2つです。
- すべてのレコードを取り込む
- 次よりもあとに作成されたレコードを取り込む

「すべてのレコードを取り込む」を選択し、統合完了後に統合の詳細を確認すると、以下のように「1969/12/31」と表示されます。

AWS自体が1969年には存在しないため、気になる方もいるかもしれませんが、不具合ではありません。これは1969/12/31以降のレコードを取り込むという意味であり、特に気にする必要はありません。
全フィールドを選択すると不要な情報が表示される

フィールドをすべて選択した場合(60以上)でも、フィールドを制限して選択した場合でも、コンテンツの取得は問題なく可能です。
しかし、エージェントワークスペースでソースとして設定されていないフィールドの情報(true/falseや[object Object]など)が不要な情報として表示されます。
ナレッジ記事から取得したいフィールドのみを選択しましょう。

AWSドキュメントにも記載されおりますが、ServiceNowの場合、以下の9つのフィールドを選択するとよいです。
ナレッジベースのフィールドを選択します。以下のフィールドが必要です。
- short_description
- number
- workflow_state
- sys_mod_count
- active
- text
- sys_updated_on
- wiki
- sys_id
統合の設定変更は不可
フィールドの修正など、統合の設定変更はできません。統合(ナレッジベース)を一度削除し、再作成する必要があります。

設定変更など編集は不可
このAPIを使用する場合、Amazon AppIntegrationsのDataIntegrationsをSalesforceやServiceNowなどの外部ナレッジベースで再利用することはできません。再利用するとInvalidRequestExceptionエラーが発生します。
例えば、外部ナレッジベースをプログラムで管理していて、Salesforceから取得するフィールドの1つを追加または削除したいとします。その場合は、以下の手順を実行してください。DeleteKnowledgeBaseを呼び出します。
DeleteDataIntegrationを呼び出します。
CreateDataIntegrationを呼び出してDataIntegration を再作成するか、別のものを作成します。
CreateKnowledgeBase を呼び出します。
実際の統合の削除については、以下の記事が参考になります。
ナレッジ記事は廃止 (Retired)
Amazon Q in Connectで、Amazon Qの検索対象から外したい不要なナレッジ記事は、ServiceNow側で記事を削除(Delete)するのではなく、記事のステータスを廃止(Retired)にする必要があります。
廃止ステータスは、情報が古くなったため非公開となり、利用者は閲覧できませんが、管理者は閲覧可能です。
If you delete objects from SaaS applications, such as SalesForce and ServiceNow, Amazon Q in Connect does not process those deletions. You must archive objects in SalesForce and retire articles in ServiceNow to remove them from those knowledge bases.
手動同期は未対応
同期頻度は、最短1時間です。それよりも短くすることはできません。AWS CLIによる手動同期実行もできません。そのため、ナレッジ記事を修正後、最大1時間は反映されません。
同期実行タイミングや同期される時間帯は、後述しますが、Amazon AppFlowのフロー詳細から確認できます。
同期実行の確認
Amazon AppFlowで、ServiceNowとQ in Connectの連携状況を一部確認できます。
フロー詳細を確認すると、送信元名がServiceNow、送信先名がAppIntegrationsと確認できます。

同期タイミングも1時間に1回、11:01から1時間ごとに実行していることが確認できました。

CloudWatch メトリクスをクリックすると、以下のメトリクスが確認できます。
- FlowExecutionsStarted
- 開始されたフロー実行の回数。フローが起動された総数を示します。
- FlowExecutionTime
- フロー実行の開始から終了までにかかった時間(ミリ秒単位)。パフォーマンスを測定する指標です。
- FlowExecutionsFailed
- 失敗したフロー実行の回数。エラーで終了したフローの数を追跡します。
- FlowExecutionRecordsProcessed
- フロー実行でAppFlowが処理を試みたレコードの総数。転送成功と失敗の両方を含みます。
- FlowExecutionsSucceeded
- 成功したフロー実行の回数。正常に完了したフローの数を示します。

- 成功したフロー実行の回数。正常に完了したフローの数を示します。
実行履歴も確認できます。同期したデータのバイト数も確認できます。

AppFlowの編集は不可
ServiceNowとの統合で利用するAppFlowですが、編集やコピーはできません。
編集すると、以下のエラーが表示されます。
Missing required key 'name' in params.connectorFields[0]

「新しいフローにコピー」を選択しても、送信先が以下のようになっており、既存の「AppIntegrations」を選択するとエラーになります。
AppIntegrations_AppIntegrations_Desc_

これは、Amazon Qとの統合がAWS側で管理されているため、ユーザー側では編集できない仕様となっていると考えられます。
同期対象の記事ステータス
ServiceNowのナレッジ記事において、AWSドキュメントには「廃止」ステータスの記事は同期対象外と記載されています。
それ以外のステータスについては明記されていませんが、実際に検証したところ、以下の記事ステータスは同期対象外でした。「公開済」の記事のみが同期対象です。
- レビュー
- 廃止待ち
- 廃止
- ドラフト
最後に
Amazon Q in ConnectとServiceNowを統合する際のポイントについてまとめました。
統合後の設定変更ができない点や、記事の廃止には削除ではなくRetiredステータスを使う必要がある点など、事前に知っておくべき仕様がいくつかあります。
一方で、エージェントワークスペースから直接ServiceNowの記事に遷移できるなど、便利な機能も備わっています。
ServiceNowとの統合を検討されている方の参考になれば幸いです。






