
Amazon Quick の Cost Explorer 料金明細を使用タイプごとに確認して、どの機能がどう課金されるのか整理してみた
いわさです。
Amazon QuickSight は Amazon Quick としてリブランドされ、従来のダッシュボード BI に加えてエージェント機能(Research / Flows / Automate)やナレッジベース(Quick Index)が使えるようになっています。
料金ページを見ると、従来のユーザーサブスクリプションや SPICE に加えて「エージェント時間」「インデックスストレージ」「インフラ料金」といった新しい課金項目が追加されているのですが、どれがどう課金されるのかまだ把握されていない方も多いと思います。
今回は実際にクラスメソッド社内で使っている検証環境の Cost Explorer から料金ページの内容がどう明細に出てくるのかを確かめてみましたので紹介します。
Cost Explorer で全体を眺める
まず Cost Explorer で QuickSight サービスに絞り込み、使用タイプ別にグループ化してみます。

使用タイプが 20 種類出てきます。
私が使っている Amazon Quick 検証環境はメインリージョンが東京リージョンなのですが、東京リージョンでの Quick GA 前からバージニア北部リージョンで検証などをしていたためバージニア北部リージョンでも料金が発生しています。
料金ページと照らし合わせると、大きく以下のカテゴリに分類できそうです。
- ユーザーサブスクリプション(非 Pro / Pro / Reader)
- SPICE ストレージ
- インフラ料金($250/月)
- Quick Index(ナレッジベースストレージ)
- エージェント時間(Flows / Research / Automate / AgentActivity)
- しきい値アラート
ここからカテゴリごとに使用タイプを絞り込んで、料金ページの単価と突き合わせていきます。
ユーザーサブスクリプション(非 Pro)
これは BI 機能(旧 Amazon QuickSight)の機能だけを使えるユーザーの料金です。
料金ページでは「作成者: $24/ユーザー/月」「閲覧者: $3/ユーザー/月」と記載されています。
Cost Explorer で QS-User-Enterprise-Month と APN1-Reader-Enterprise-Month に絞り込んでみます。

使用量の単位は Users で、小数で表示されています。
月途中でのユーザー追加・削除が日割り計算されるためですね。
ここで QS-User-Enterprise-Month の単価を逆算してみます。
2 月: $52.25 ÷ 2.18 Users ≒ $24.0/ユーザー/月。
料金ページの「作成者: $24/ユーザー/月」と一致するので、これが非 Pro の作成者(管理者)に対応していることがわかります。
APN1-Reader-Enterprise-Month も同様に: $3.00 ÷ 1.00 Users = $3.0/ユーザー/月。
料金ページの「閲覧者: $3/ユーザー/月」と一致。
Quick コンソールのユーザー管理画面で突き合わせてみます。

「管理者」ロールが非 Pro(= 料金ページの「作成者」)、「管理者プロ」が Pro ユーザー(= 料金ページの「作成者プロ」)に対応しています。
SPICE ストレージ
SPICE は Quick Sight のインメモリ計算エンジンで、データをインポートしておくことでダッシュボード閲覧時のクエリが高速になります。
料金ページでは「$0.38/GB/月」「作成者に 10 GB の SPICE 割り当てが含まれる」と記載されています。
Cost Explorer で APN1-QS-Enterprise-SPICE と USE1-QS-Enterprise-SPICE に絞り込みます。

使用量の単位は GB-Month です。
単価を逆算すると: $26.60 ÷ 70.00 GB-Month = $0.38/GB/月。料金ページと一致しますね。
ただ、ここで気になるのが使用量の 70 GB-Month という数字です。
料金ページには「作成者に 10 GB の SPICE 割り当てが含まれる」とあるので、無料枠分は引かれて課金されることを期待しますが、Cost Explorer 上は無料バンドル分も含めた総容量が使用量として表示されているように見えます。
Quick コンソールの SPICE 容量画面を確認してみます。

「無料でバンドルされた容量」(約 42.8 GB)と「購入済み容量」(約 28.5 GB)の内訳が表示されています。
Cost Explorer の料金 $26.60 ÷ $0.38 = 70 GB で、バンドル容量 + 購入済み容量の合計に近い値です。
あれ、無料バンドル分も課金されてる?気の所為か・・・?
Pro ユーザー
Pro ユーザーは非 Pro(作成者/閲覧者)の機能に加えて、チャットエージェントや Research、Flows などの AI 機能を利用できるロールです。
料金ページでは「作成者プロ: $40/ユーザー/月」と記載されています。
Cost Explorer で APN1-Author-Pro-Enterprise-Month に絞り込みます。

2〜5 月は 8 Users で安定しており $320/月。
$320 ÷ 8 Users = $40/ユーザー/月で、料金ページの「作成者プロ: $40/ユーザー/月」と一致します。

Quick コンソールで確認すると「管理者プロ」ロールのユーザーがこれに該当します。
Pro ユーザーが 1 名でもいると次に説明するインフラ料金が発生するので、ここは意識しておきたいポイントです。
インフラ料金($250/月)
Quick Sight の生成 AI 基盤(Amazon Q in Quick)を動かすための固定費です。
料金ページに「アカウントに少なくとも 1 人のプロユーザー、またはトピック経由で Q&A が有効になっている、またはダッシュボードの Q&A が有効になっている場合、アカウントあたり月額 250 USD のインフラストラクチャ料金が適用されます」と記載されています。
Cost Explorer で APN1-Amazon-Q-QS-Fee に絞り込みます。
期間を広げて確認してみました。

APN1-Amazon-Q-QS-Fee-Free-Trial が最初に表示され、0.97 Months 分の無料枠を消費した後に APN1-Amazon-Q-QS-Fee に切り替わっています。
この無料トライアルは、アカウントで初めて Pro ユーザーを作成した(あるいは Q&A を有効化した)タイミングから約 30 日間自動で付与されるものです。
9 月は日割りで $222.92、10 月以降は $250.00/月の固定。料金ページの記載通りですね。
Quick コンソールの「サブスクリプションを管理」画面で状態を確認できます。

「Amazon Q in Quick」が「有効」と表示されており、これが有効 = $250/月が発生する、という対応関係です。
なお、無効化の条件(Pro ユーザーの変更や Topic 削除など)については料金ページや以下のドキュメントを参照してください。
即時に無効化されるわけではなく、条件を満たした翌月から課金が停止されるようです。
Quick Index(ナレッジベースストレージ)
Quick Suite 統合後に追加された課金項目です。
スペース(Spaces)のナレッジベースにドキュメントやファイルをアップロードすると、チャットエージェントや Research がそのデータを参照できるようになりますが、そのストレージに対する料金です。
Quick の料金ページ FAQ「インデックスストレージはどのように測定されますか?」によると、インデックスストレージは未フォーマットストレージの GB 単位で測定され、プランごとにユーザーあたりのプール容量が割り当てられます。
超過分の料金は $5/GB/月で、全プラン共通です(Enterprise の場合はユーザーあたり 50 GB がプールとして組織に割り当てられる)。
Cost Explorer で USE1-QuickSuite-Index と APN1-QuickSuite-Index に絞り込んで確認します。

使用量の単位は GB-Month です。
4月の明細から逆算すると: $2.50 ÷ 0.50 GB-Month = $5.00/GB/月。
料金ページの超過料金 $5/GB/月 と一致します。
Quick コンソールの「インデックスキャパシティ」画面を確認します。

スペース(Spaces)のナレッジベースにアップロードしたファイルがここに計上されています。
「キャパシティの購入の合計」が 252.25 GB のうち 0.25 GB となっていますが、252.25 GB は Enterprise ユーザー × 50 GB プラスでスケールされた分を加えたプールされた上限枠です。
オートスケールが有効なので、使用量に応じて自動で確保されます。
エージェント時間(Agent Hours)
料金ページの FAQ「エージェント時間とは何ですか?」に記載がある項目です。
Quick Research、Quick Flows、Quick Automate、デスクトップアプリ、カスタム AI を活用したアプリの使用時間が秒単位で計測されます。
料金ページによると、月額枠は以下の通りです。
- Professional: エージェント機能に 2 時間 + リサーチに 2 時間(合計 4 時間)
- Enterprise: エージェント機能に 4 時間 + リサーチに 4 時間(合計 8 時間)
超過分の料金:
- エージェンティック機能(Flows / Automate): $3/時間
- Quick Research: $6/時間
- Quick Automate にデプロイされたオートメーション: $3/時間
Cost Explorer でエージェント関連の使用タイプをまとめて見てみます。

Extra(超過・有料)と Included(無料枠内・$0.00)に分かれて記録されています。
使用量の単位ですが、機能によって異なっています。


Flows / Automate / AgentActivity は Agent-Hours、Research は Research-Agent-Hours と別の単位で記録されています。
単価を逆算して確かめてみます。
FlowsUsageEnterprise-Extra: $13.74 ÷ 4.58 Agent-Hours ≒ $3.0/時間。
AutomateUsageEnterprise-Extra: $0.75 ÷ 0.25 Agent-Hours = $3.0/時間。
どちらも料金ページの $3/時間と一致しますね。
Research については今回超過が発生していないので逆算はできませんが、単位が別(Research-Agent-Hours)になっているのは超過単価が $6/時間と異なるためだと考えられます。
無料枠の確認
Included の行はコスト $0.00 ですが使用量は記録されています。
Enterprise プランではユーザーごとに以下の無料枠が毎月付与されるとのことです。
- Flows + Automate(テスト/検証): 4 時間/ユーザー/月
- Research: 4 時間/ユーザー/月
Quick コンソールでの確認
Quick コンソールの「Quick Suite の使用状況メトリクス」画面でも確認できます。

「自動化とフローのエージェント時間」と「リサーチエージェントの使用時間」のタブに分かれていて、Cost Explorer の単位の違いとここが対応しています。

4 月は「自動化とフロー」タブでエンタープライズ時間の合計が 6.29、追加時間が 0.17 と表示されています。
追加時間 0.17 × $3/時間 ≒ $0.51 なので Cost Explorer の数字とも整合性がありそうです。
注意書きに「デプロイされた自動化実行は、これらの時間にはカウントされません」とあります。
Quick Automate ではワークフローを作成した後に「デプロイ」して本番稼働させることができるのですが、デプロイ後に自動実行された分はこの画面の無料枠とは別枠で、最初から $3/時間の従量課金になるということのようです。
Cost Explorer の AgentActivityEnterprise がこのデプロイ済み実行に対応していると思われます。
逆算すると: $0.67 ÷ 0.22 Agent-Hours ≒ $3.0/時間で、料金ページの記載通りでした。

Research タブでは 4 月に 1.5 Research-Agent-Hours 消費していますが、無料枠(4 時間)内なので追加料金は発生していません。
使用状況メトリクス画面の注意点
なお、この画面は過去すべての期間のデータが表示されるわけではないみたいです。
Cost Explorer では 1 月に超過が記録されていますが、Quick コンソール側で 1 月を選択すると「表示するデータはまだありません」と出ます。

この画面が後から追加された機能のため、それ以前のデータは確認できないようです。
過去分の確認は Cost Explorer が確実。
しきい値アラート(Threshold Alerts)
ダッシュボードの KPI やゲージ、テーブル、ピボットテーブルのビジュアルにしきい値を設定し、データが閾値を超えたときにメール通知してくれる機能です。
料金ページでは「$0.50/1,000 メトリクス処理〜」の階段料金が記載されています。
Cost Explorer で Global-QS-ENT-Alerts-Paid に絞り込みます。

使用量の単位が kilometric です。1 kilometric = 1,000 メトリクス処理ということみたいです。
単価を逆算: $15.27 ÷ 30.54 kilometric ≒ $0.50/kilometric。料金ページの最初のティア($0.50/1,000 メトリクス処理)と一致します。
使用タイプのプレフィックスが Global- になっており、リージョンに紐づかないグローバル課金項目として計上されています。
アラートの料金はルールの「チェック回数」に応じて決まります。
SPICE データセットの場合はデータリフレッシュのたびに、ダイレクトクエリの場合はデフォルト毎晩チェックが走るので、アラートルール数 × チェック頻度で月間の kilometric が積み上がっていく仕組みです。
自分の検証環境では Global-QS-ENT-Alerts-FreeTrial として無料トライアル中でした。

使用量は記録されているけどコストは $0.00 です。
トライアル終了後に Paid に切り替わって課金が始まるパターンですね。
なお、しきい値アラートの使用状況をアカウント全体で一括確認する管理画面は現時点では存在しないようです。
個別のダッシュボードを開いて確認する必要があり、「どのアラートがどれだけメトリクス処理を消費しているか」の内訳は Cost Explorer からも見えません。
さいごに
本日は Amazon Quick の料金ページの内容を、実環境の Cost Explorer 明細と突き合わせてひとつずつ確認してみました。
逆算した単価は料金ページの記載とほぼ一致していて、使用タイプ名から対応する機能も特定できました。
新しく加わったエージェント時間については、Cost Explorer の使用量単位が Agent-Hours と Research-Agent-Hours に分かれているのが少しわかりにくいですが、超過単価の違い($3 vs $6)に対応しているとわかれば納得です。
SPICE の無料枠が効いてないような気がするが...別途確認してみます。








