Amazon RDS Performance Insights の 長期保存期間がより細かく設定出来るようになり、価格もかわりました

2022.07.07

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いわさです。

Amazon RDS では Performace Insights 機能を有効化することで、データベースの負荷状況を視覚化して分析やチューニングに活用することが出来ます。
Performace Insight は個別の有効化が必要で、デフォルトでは7日間まで負荷状況が無料で保存されます。
他のオプションとして、長期保存を選択した場合は有料で2年間まで保存することが出来ました。

これまでは無料の7日間か有料の2年間しか選択肢が無かったのですが、今回のアップデートでより細かい履歴保持期間を選択することが出来るようになりました。
また、今回料金モデルが変わって今後はインスタンスタイプごとの単価ではなくなります。
そのため、従来2年間の有料オプションで高単価なインスタンスタイプを利用されていた方は、今回のアップデートで料金がかなり安くなりそうです。

設定方法

従来

従来は以下のように、デフォルト(7日)か長期保存(2年)のどちらかを選択する形でした。

これからは以下のように、有料の保存期間として1ヶ月~24ヶ月まで1ヶ月刻みで選択することが可能に。
最長が2年という仕様は引き続き同様ですね。

料金

ここが少し興味深いですが、料金計算が2022年6月30日までと、2022年7月1日以降で変わっています。
少し見てみましょう。

ここでは、上記公式ドキュメントの本日時点の東京リージョンの価格表に沿って試算してみます。

プロビジョニングインスタンスの長期保存の現在の料金 (2022 年 6 月 30 日まで)

長期保存は、2 年間のローリングパフォーマンス履歴を提供します。長期保存は有効化された各データベースインスタンスの 1 か月当たりの vCPU ごとに料金が設定されています。料金はお客様のデータベースで使用される RDS インスタンスタイプごとに決まり、リージョンによって異なる場合があります。

インスタンスタイプごとにvCPUの単価として月額料金が定義されていたようです。保存したデータ量には左右されません。
また、以下の記述からCPUのコア数ではなく純粋にvCPUのみで計算されていたようです。

たとえば、db.r4.xlarge には 4 つの vCPU が含まれるため、月額料金は表の料金を 4 倍した値になります。

db.r5.2xlarge(vCPU 8, メモリ 64 GiB)の場合であれば、vCPUの数は 8 なので、以下のようになるでしょうか。

  • 8 * 6.192 USD ≒ 50 USD/月
  • 24ヶ月の保存で、 50USD * 24ヶ月 = 1,200 USD

6月まではdb.r5.2xlargeであれば 24ヶ月 で 約1,200USD 必要でした。

Amazon RDS インスタンスタイプ | AWS

プロビジョニングされたインスタンスの新しい柔軟な保存の料金 (2022 年 7 月 1 日以降)

2022 年 7 月 1 日以降、お客様はパフォーマンス履歴の保存期間を 1 か月から 24 か月まで指定することができます。1 か月以上の保存は、プロビジョニングされたインスタンスに対して 1 か月あたり vCPU ごとに料金が発生します。保存期間が長くなると月額料金が高くなり、リージョンによって異なる場合があります

こちらも同様にvCPUごとの計算となるのですが、単価がインスタンスタイプに関わらず一律となっていて、設定した保存期間に応じて月額単価が変動する仕組みとなっています。

  • 1 か月の保存を選択した場合、1.7561USD を 1 か月あたり vCPU ごとに支払います。
  • 保存が 1 か月追加するごとに (最大 24 か月)、0.0739USD が月額料金に追加されます。
  • 例えば、2 か月の保存を選択した場合、(1.7561USD + 0.0739USD) を 1 か月あたり vCPU ごとに支払います。

先程と同じように、24ヶ月保存とする場合は、(1.7561USD + 0.0739USD * 23ヶ月) で 約3.5 USD / vCPU が月額単価になります。
先程と同条件でdb.r5.2xlargeだと vCPU 8 なので、

  • 8 * 3.5 USD = 28 USD
  • 24ヶ月の保存で、 28 USD * 24ヶ月 = 672 USD

672USD !?
R4,R5は旧来のPerformance Insightsの単価では一番高価なのですが、めちゃくちゃ安くなってますね。半分くらいになってる。
単価がT2,T3くらいまで下がったことになります。
今までPerformance Insightsの2年間利用で、

  • R系インスタンスを使っていた方は大幅に安くなる
  • M系インスタンスを使っていた方は少し安くなる
  • T系インスタンスを使っていた方は変わらない

というところでしょうか。

さらに、「そもそも2年は不要でしょせいぜい半年くらいでいいのでは」、というケースも今後は適切な期間で運用出来ると思うのですが、その場合の試算もしてみます。
比較のためにインスタンスサイズは同じものを前提にします。

  • 8 * (1.7561USD + 0.0739USD * 5ヶ月) ≒ 17 USD
  • 6ヶ月の保存で、 17 USD * 6ヶ月 = 102 USD
  • 6ヶ月の保存期間を24ヶ月継続で、 17 USD * 24ヶ月 = 408 USD

ほう。
仮に、半年のために2年間で1,200USDを支払っていたとするとそれが約100USD程度になるのは、なかなかですね。
仮に、半年のために2年間で1,200USDを支払っていたとするとそれが約400USD程度になるのは、なかなかですね。

ランニング期間を24ヶ月と6ヶ月で比較してしまっていたので修正しました(2022.7.13)

さいごに

本日は RDS Performance Insights の新しい料金計算方法と期間保持オプションをご紹介しました。
まず、何もせずとも今月から Performance Insights が多くの場合安くなるだろうということのようです。

さらに、適切な期間を設定することも出来るようになったので、長すぎるけどやむを得ないと考えていた方に朗報ですね。

今までは無料ということで7日間を選択するケースも多かったと思いますが、7日間だと少し心許ない感じもありました。
この料金プランであれば、1~2ヶ月で設定してみるかーみたいなケースも今後増えそうです。かなり良いアップデートですね。